貸家建付地とは――アパートの敷地はなぜ評価が下がるのか

貸家建付地とは、ひとことでいえば「自分が所有する土地の上に、自分が建てた建物があり、その建物を他人に貸している」場合の、その土地のことです。賃貸アパート、賃貸マンション、貸店舗、貸ビルなどの敷地が典型例です。

財産評価基本通達26は、貸家建付地を「貸家の敷地の用に供されている宅地」と定義しています。そして「貸家」については、通達94(借家権の評価)に定める借家権の目的となっている家屋と定めています。つまり「借家権が成立している建物の敷地かどうか」が、貸家建付地にあたるかどうかの分かれ目になります。

なぜ評価を下げるのか――所有者の自由が制限されているから

土地を自分で使っている場合(自用地)、所有者はその土地を自由に使えます。売ることも、建て替えることも、更地にすることもできます。

ところが、その土地の上の建物を人に貸していると、事情が変わります。借家人には借地借家法によって手厚く保護された居住・利用の権利があり、大家さんの都合で「来月出ていってください」と言うことはできません。建て替えたくても、売りたくても、まず借家人との調整が必要になります。

建物を貸している
→ 土地の使い方が 制限される
→ その分だけ 評価を下げる
この考え方を算式にしたものが財産評価基本通達26

この「使いにくさ」を金額に置き換えたものが、貸家建付地の減額です。土地の評価方法の全体像のなかでも、実務でとりわけ登場頻度が高い論点です。

貸家建付地の評価――財産評価基本通達26の算式

財産評価基本通達26が定める算式は、次のとおりです。

貸家建付地の価額
= 自用地としての価額
− 自用地としての価額 × 借地権割合 × 借家権割合 × 賃貸割合
財産評価基本通達26。3つの割合をすべて掛け合わせた分だけが控除される

用語を順に確認します。

用語内容
自用地としての価額 その土地を自分で使っているものとした場合の評価額。路線価方式または倍率方式で計算した、減額前の金額
借地権割合 通達27(借地権の評価)の定めによるその宅地に係る借地権割合。路線価図にA〜Gの記号で表示される。なお通達27ただし書に定める地域にある宅地については100分の20とされる
借家権割合 通達94(借家権の評価)に定める借家権割合。国税局長の定める割合による
賃貸割合 その貸家に各独立部分がある場合に、その賃貸の状況に基づいて床面積で計算した割合

計算してみる

実際の数字で確認してみましょう。

  1. 前提を整理する 自用地としての価額 8,000万円/借地権割合 60%(路線価図の記号D)/借家権割合 30%/全室が賃貸中で賃貸割合 100%のアパートの敷地。
  2. 控除する金額を計算する 8,000万円 × 0.6 × 0.3 × 1.0 = 1,440万円
  3. 自用地としての価額から差し引く 8,000万円 − 1,440万円 = 6,560万円(減額率は18%)

この例では1,440万円の減額になりました。減額の幅は借地権割合が高い地域ほど大きくなる点が特徴です。借地権割合70%の地域であれば 0.7 × 0.3 = 21%、借地権割合50%の地域であれば 0.5 × 0.3 = 15%が、賃貸割合100%のときの減額率になります。

[借地権割合はどこで調べるか]
借地権割合は、国税庁ホームページの路線価図・評価倍率表で確認できます。路線価の数字の後ろに付いているアルファベット(A=90%からG=30%)が借地権割合を表します。地域によって数値が異なりますので、必ず対象の土地が面する路線の記号をご確認ください。詳しくは借地権の相続の記事でも解説しています。

借家権割合は「国税局長の定める割合」――通達94のしくみ

ここで、実務家でも意外と正確に説明されないのが借家権割合の根拠です。

財産評価基本通達94(借家権の評価)は、借家権の価額を算式により評価するとしたうえで、その算式における「借家権割合」は、国税局長の定める割合によると定めています。つまり通達そのものに「30%」という数字が書かれているわけではありません。数値は各国税局長が定め、路線価図・評価倍率表とあわせて公表される、という構造になっています。

「30%」は通達の数字ではなく、国税局長が定めた割合

借家権割合は、現在はすべての国税局において30%とされています。ただしこれは通達に固定的に書かれた数値ではなく、国税局長が定めるものです。申告にあたっては、その年分の路線価図・評価倍率表で必ず最新の割合をご確認ください。

また通達94にはただし書があり、借家権が権利金等の名称をもって取引される慣行のない地域にあるものについては、評価しないとされています。借家権そのものを財産として評価する場面(借家人側の評価)では、この点が問題になります。もっとも貸家建付地の減額(通達26)は、この慣行の有無にかかわらず適用されるのが実務の取扱いです。両者を混同しないようご注意ください。

賃貸割合の計算――床面積で測る、一時的な空室の扱い

3つの割合のうち、唯一、大家さんの努力で変わるのが賃貸割合です。そして実務でもっとも争いになりやすいのも、この賃貸割合です。

算式は「床面積の割合」

通達26は、賃貸割合について、その貸家に各独立部分(構造上区分された数個の部分の各部分)がある場合に、その各独立部分の賃貸の状況に基づいて計算するとしています。算式の考え方は次のとおりです。

賃貸割合
課税時期において賃貸されている各独立部分の床面積の合計
÷ 当該家屋の各独立部分の床面積の合計
財産評価基本通達26(2)。戸数ではなく「床面積」で計算する点に注意

戸数の割合ではなく、床面積の割合である点にご注意ください。同じ「10室中8室が入居」でも、空いているのが広い部屋か狭い部屋かで、賃貸割合は変わります。

[計算例]
各室の床面積が同じ50㎡の10室のアパート(各独立部分の床面積の合計500㎡)で、課税時期に8室が賃貸中の場合――賃貸割合 = 400㎡ ÷ 500㎡ = 0.8(80%)。前掲の例で賃貸割合が80%なら、控除額は 8,000万円 × 0.6 × 0.3 × 0.8 = 1,152万円となり、賃貸割合100%のとき(1,440万円)より減額が小さくなります。

「各独立部分」とは何か

通達26の注記は、各独立部分を、建物の構成部分である隔壁・扉・階層(天井および床)等によって他の部分と完全に遮断されている部分で、独立した出入口を有するなど独立して賃貸その他の用に供することができるものと説明しています。

したがって、ふすま、障子またはベニヤ板等の堅固でないものによって仕切られているだけの部分や、階層で区分されていても独立した出入口を有しない部分は、各独立部分にあたりません。なお注記は、外部に接する出入口を持たない部分であっても、共同で使用すべき廊下・階段・エレベーター等の共用部分のみを通って外部と出入りできる構造となっているものは、「独立した出入口を有するもの」に該当するとしています。マンションの各住戸が該当するのは、この定めによります。

一時的な空室は「賃貸中」に含めてよい

賃貸経営では、入退去のタイミングで一時的に空室が生じるのは避けられません。この点について通達26の注記は、重要な取扱いを定めています。

財産評価基本通達26 注記(要旨)

算式の「賃貸されている各独立部分」には、継続的に賃貸されていた各独立部分で、課税時期において一時的に賃貸されていなかったと認められるものを含むこととして差し支えない

つまり、たまたま相続開始のタイミングで空いていた部屋であっても、継続的に賃貸されており、一時的な空室と認められるものは「賃貸中」として賃貸割合に算入して差し支えないということです。

ただし、これはあくまで「一時的」と認められる場合の取扱いです。何年も入居者を募集せずに放置していた部屋まで賃貸中として扱えるわけではありません。国税庁は、この判定にあたって考慮すべき事情として、各独立部分が課税時期前に継続的に賃貸されてきたものであること、賃借人の退去後すみやかに新たな賃借人の募集が行われ、空室の期間中、他の用途に供されていないこと、空室の期間が課税時期の前後の一定期間(たとえば1か月程度)であること、課税時期後の賃貸が一時的なものではないことなどを挙げています。これらの事実関係から総合的に判断されるものであり、期間だけで機械的に決まるものではありません。判断が微妙な場合は、募集広告や管理会社とのやり取りなど、継続的に賃貸の用に供していたことを示す資料を残しておくことが実務上きわめて重要です。個別の当てはめは、必ず税理士および国税庁の一次情報でご確認ください。

建物側の評価――貸家は通達93、自用家屋は通達89

ここまでは土地の話でした。建物のほうも、貸していれば評価が下がります。

自用家屋の評価――通達89

まず前提として、財産評価基本通達89(家屋の評価)は、家屋の価額をその家屋の固定資産税評価額に別表1に定める倍率を乗じて計算した金額により評価するとしています。この倍率は1.0とされていますので、実務上は固定資産税評価額がそのまま自用家屋としての価額になります。

貸家の評価――通達93

そのうえで通達93(貸家の評価)が、貸家の価額を算式により評価すると定めています。考え方は次のとおりです。

貸家の価額
= 自用家屋としての価額
− 自用家屋としての価額 × 借家権割合 × 賃貸割合
財産評価基本通達93。土地と違い、借地権割合は掛けない

土地の算式と見比べてください。建物の算式には借地権割合が入りません。借地権はあくまで土地に関する権利だからです。したがって、借家権割合30%・賃貸割合100%であれば、建物の評価は一律に30%下がることになります。

[土地と建物をあわせて計算してみる]
自用地としての価額8,000万円(借地権割合60%)、建物の固定資産税評価額4,000万円、借家権割合30%、賃貸割合100%のアパートの場合――
・土地:8,000万円 −(8,000万円 × 0.6 × 0.3 × 1.0)= 6,560万円
・建物:4,000万円 −(4,000万円 × 0.3 × 1.0)= 2,800万円
合計 9,360万円。減額前の合計1億2,000万円と比べ、2,640万円低い評価となります。

貸家建付地にならない場合――空き家・社宅・使用貸借

「賃貸用に建てた建物だから当然に減額される」と思い込むと、思わぬ落とし穴にはまります。貸家建付地の評価ができないケースを確認しておきましょう。

①課税時期に現実に貸し付けられていない場合

国税庁の質疑応答事例「貸家が空き家となっている場合の貸家建付地の評価」は、この点を明確にしています。貸家建付地として評価する宅地は、借家権の目的となっている家屋の敷地の用に供されているものに限られるため、以前は貸家であっても空き家となっている家屋の敷地は、自用地としての価額で評価するとされています。

さらに、その家屋がもっぱら賃貸用として新築されたものであっても、課税時期において現実に貸し付けられていない家屋の敷地については、自用地としての価額で評価するとされています。理由は、現実に貸し付けられていなければ土地に対する制約がなく、貸家建付地としての減価を考慮する必要がないからです。

「建てただけ」では減額されない

相続直前に賃貸アパートを新築したものの、入居者がまだ一人もいない状態で相続が発生した場合、その敷地は原則として自用地としての価額で評価することになります。前述の「一時的な空室」の取扱いは、継続的に賃貸されていた部分についてのものですので、一度も貸したことがない部屋には及びません。

②社宅の敷地

国税庁のタックスアンサーNo.4614(貸家建付地の評価)は、貸家建付地の評価の対象となる宅地は借家権の目的となっている家屋の敷地をいうため、一般的に借地借家法の適用がないとされている「社宅」の敷地の用に供されている宅地は、貸家建付地の評価は行わず、自用地としての価額で評価するとしています。

③無償で貸している場合(使用貸借)

親が所有する建物を、子どもにただで住まわせている――こうした無償の貸し借りを使用貸借といいます。使用貸借では借家人としての強い保護が生じないため、貸家・貸家建付地としての減額はできないのが原則です。

また、固定資産税相当額程度しか受け取っていないような場合も、賃貸借とは認められないことがあります。「家賃をもらっているか」ではなく「賃貸借といえる実態があるか」が判断のポイントになります。

ケース貸家建付地の評価
課税時期に現実に賃貸中(一時的な空室を含む) できる
空き家になっている(一時的な空室と認められない) できない(自用地としての価額で評価)
賃貸用に新築したが、まだ一度も貸していない できない(自用地としての価額で評価)
社宅として社員に使わせている できないとされている(借地借家法の適用がないため)
子や親族に無償で貸している(使用貸借) できないのが原則

小規模宅地等の特例との関係――貸付事業用宅地等と「3年縛り」

貸家建付地の減額と、小規模宅地等の特例(租税特別措置法69条の4)は、別の制度です。要件を満たせば両方を適用できます。まず通達26で貸家建付地として評価額を出し、その評価額に対して小規模宅地等の特例による減額を行う、という順序になります。

貸付事業用宅地等――200㎡まで50%減額

賃貸アパートの敷地は、要件を満たせば小規模宅地等の特例のうち貸付事業用宅地等に該当します。その内容は限度面積200㎡・減額割合50%です。自宅の敷地(特定居住用宅地等・330㎡・80%減額)に比べると、面積も減額割合も小さく設定されています。

貸家建付地の減額(通達26)
+ 小規模宅地等の特例・貸付事業用宅地等
200㎡まで50%減額
租税特別措置法69条の4。両者は別制度で、要件を満たせば重ねて適用できる

相続開始前3年以内に貸付けを始めた土地は原則対象外

この特例には、いわゆる「3年縛り」と呼ばれる制限があります。相続開始前3年以内に新たに貸付事業の用に供された宅地等は、原則として貸付事業用宅地等から除かれます。相続の直前にあわてて賃貸を始めて特例の適用を受ける、という節税策を封じるために、平成30年度の税制改正で設けられた要件です。この改正は2018年(平成30年)4月1日以後に開始する相続から適用されています。

[例外もあります]
相続開始の日まで3年を超えて引き続き特定貸付事業(貸付事業のうち準事業以外のもの。いわゆる事業的規模の貸付け)を行っていた人については、この3年縛りの適用が除かれる取扱いが設けられています。該当するかどうかは保有物件の規模や貸付けの実態によりますので、適用の可否・限度面積の調整計算(複数種類の宅地がある場合)を含め、必ず税理士および国税庁の一次情報でご確認ください。
よくある相談事例
※以下の事例は実際のご相談をもとにした架空のケースです。実在の個人・団体とは関係ありません。

「相続直前に建てたアパートが、思ったほど評価が下がらなかったケース」

お父さまが、相続対策として所有地に10室の賃貸アパートを新築されました。ところが完成からわずか2か月後にお倒れになり、そのままお亡くなりになりました。相続開始時点で入居していたのは10室のうち3室。残り7室は募集中でしたが、まだ一度も貸したことがない状態でした。

ご長男は「賃貸アパートを建てたのだから、土地の評価は大きく下がるはずだ」とお考えでした。しかし実際に計算すると、賃貸割合は3室分=30%にとどまります。各室の床面積が同じ50㎡(合計500㎡)とすると、賃貸割合は 150㎡ ÷ 500㎡ = 0.3。自用地としての価額が1億円、借地権割合60%の土地であれば、控除額は1億円 × 0.6 × 0.3 × 0.3 = 540万円にすぎません。全室が埋まっていれば1,800万円の控除だったところ、1,260万円分の差が生じた計算になります。

ご長男は「まだ貸していない部屋も、一時的な空室として扱えないのか」とおたずねになりました。私たちは、通達26の一時的空室の取扱いは「継続的に賃貸されていた」部分についてのものであり、一度も賃貸されたことのない部屋には及ばないと解されていることをご説明しました。あわせて、貸付事業用宅地等としての小規模宅地等の特例についても、相続開始前3年以内に新たに貸付事業の用に供された宅地であるため、原則として適用が難しい旨をお伝えし、税理士におつなぎしました。賃貸経営は「建てた時点」ではなく「貸せている状態」が評価に反映される――そのことを痛感された事例です。

― 私たちから一言 ―

「評価が下がるのは、結果であって目的ではありません」

賃貸不動産のご相談をお受けしていると、「アパートを建てれば相続税が下がる」という言葉だけが独り歩きしている場面によく出会います。たしかに、貸家建付地の減額も、貸家の減額も、小規模宅地等の特例も、いずれも実在する制度です。数字の上では、確かに評価は下がります。

けれども私たちがお伝えしたいのは、これらの減額は「土地が自由に使えなくなったこと」の裏返しにすぎないということです。評価が下がったということは、それだけ換金しにくく、動かしにくい財産になったということでもあります。相続税の納税資金をどう用意するか、複数のお子さんでどう分けるか――評価額が下がったことと、相続がうまくいくこととは、まったく別の問題です。

そして、本記事で繰り返しお伝えしたとおり、減額の可否を分けるのは「実態」です。現実に貸せているか。募集を続けているか。家賃は相場に見合っているか。無償で親族に貸しているだけになっていないか。書類の上の体裁ではなく、賃貸事業としての実態があるかどうかが問われます。

ですから私たちは、賃貸物件をお持ちの方には、入居状況・募集の記録・賃貸借契約書・入出金の記録を、日ごろから整えておいてくださいとお願いしています。相続が起きてから振り返って集めるのは、想像以上に大変です。そして何より、節税のために無理な建築をしないこと。空室が続けば、減額の恩恵は小さくなり、借入金の返済だけが残ります。制度は上手に使いつつ、ご家族が引き継いで困らない形を一緒に考えてまいりましょう。

一般社団法人相続なんでも相談センター 代表理事 宮野 宏樹

貸家建付地の評価でよくある7つの落とし穴

当センターへのご相談や情報収集の中で見えてきた、貸家建付地・貸家の評価をめぐるよくある誤解と落とし穴を7つに整理いたしました。

  1. 賃貸割合を「戸数」で計算してしまう 通達26(2)の算式は、賃貸されている各独立部分の床面積の合計を、家屋の各独立部分の床面積の合計で割って求めます。広い部屋が空いているか狭い部屋が空いているかで結果が変わります。
  2. 「賃貸用に建てたのだから減額される」と思い込む 課税時期において現実に貸し付けられていない家屋の敷地は、もっぱら賃貸用として新築されたものであっても自用地としての価額で評価するとされています。建てただけでは足りません。
  3. 長期の空室まで「一時的な空室」として扱う 通達26の注記が認めるのは、継続的に賃貸されていた各独立部分が課税時期に一時的に賃貸されていなかったと認められる場合です。募集もせず長期間放置していた部屋は該当し得ません。募集の記録を残しておくことが重要です。
  4. 親族への無償の貸付けでも減額できると考える 使用貸借(無償)では借家人としての保護が生じないため、貸家・貸家建付地としての減額はできないのが原則です。名目だけの低額な家賃も同様の問題が生じ得ます。
  5. 建物の評価にも借地権割合を掛けてしまう 通達93の貸家の算式に借地権割合は入りません。借家権割合と賃貸割合のみを掛けます。土地の算式(通達26)と混同しやすいところです。
  6. 借家権割合を通達に書かれた固定値だと思い込む 通達94は「国税局長の定める割合による」としています。現在はすべての国税局で30%とされていますが、申告時にはその年分の路線価図・評価倍率表で必ずご確認ください。
  7. 小規模宅地等の特例の「3年縛り」を見落とす 相続開始前3年以内に新たに貸付事業の用に供された宅地等は、原則として貸付事業用宅地等から除かれます(2018年4月1日以後に開始する相続から適用)。直前の駆け込み賃貸では特例が使えない可能性があります。

この記事のまとめ

  • 貸家建付地とは、財産評価基本通達26にいう「貸家の敷地の用に供されている宅地」。ここでの貸家とは、通達94に定める借家権の目的となっている家屋をいう。
  • 貸家建付地の価額は「自用地としての価額 − 自用地としての価額 × 借地権割合 × 借家権割合 × 賃貸割合」で評価する(通達26)。借地権割合は通達27の定めによる(通達27ただし書に定める地域にある宅地については100分の20)。
  • 借家権割合は通達94により国税局長の定める割合による。現在はすべての国税局で30%とされているが、通達に固定的に書かれた数値ではないため、その年分の路線価図・評価倍率表で確認する。
  • 賃貸割合は、課税時期において賃貸されている各独立部分の床面積の合計を、家屋の各独立部分の床面積の合計で割って求める。戸数ではなく床面積で計算する。
  • 通達26の注記により、継続的に賃貸されていた各独立部分で課税時期に一時的に賃貸されていなかったと認められるものは、賃貸中に含めて差し支えないとされている。ただし「一時的」といえるかは個別事情の総合判断。
  • 建物側は、自用家屋としての価額(通達89により固定資産税評価額に別表1の倍率を乗じた金額)から、借家権割合と賃貸割合を乗じた金額を控除して評価する(通達93)。建物の算式に借地権割合は入らない。
  • 課税時期に現実に貸し付けられていない家屋の敷地、社宅の敷地、使用貸借による無償の貸付けは、貸家建付地としての評価ができず、自用地としての価額で評価することになる。
  • 小規模宅地等の特例(租税特別措置法69条の4)の貸付事業用宅地等は限度面積200㎡・減額割合50%。相続開始前3年以内に新たに貸付事業の用に供された宅地等は原則対象外(2018年4月1日以後に開始する相続から適用)。

参考文献(一次情報)

※本記事は一般的な解説を目的としたものであり、個別の事情により取り扱いが異なる場合がございます。貸家建付地・貸家に該当するかどうかの判定、賃貸割合の計算、一時的な空室と認められるかどうか、使用貸借や社宅の取扱い、小規模宅地等の特例の適用の可否や限度面積の調整計算などは、建物の構造、賃貸借契約の内容、募集や入居の状況、貸付けを開始した時期などによって結論が変わり得ます。通達・法令・国税局長の定める割合は、今後の改正によって変わる可能性があります。本記事の内容は2026年7月時点の情報に基づいていますが、実際の評価・申告にあたっては、必ず税理士などの専門家、および国税庁等の一次情報で最新の内容をご確認ください。本記事の情報を利用したことによる損害等について、当センターは責任を負いかねます。

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