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相続・終活マガジン

相続・終活に役立つ情報をお届けいたします

相続・土地相続・終活・事業承継に関する最新情報や、実務に即した豆知識を、
専門家監修のもと、分かりやすくお届けしてまいります。どうぞご期待ください。

相続手続き実務
2026年10月1日

相続人が自己破産していたら相続はどうなる――破産手続開始の「前」か「後」かで分かれる遺産の行方、破産法238条と相続放棄、遺産分割と破産管財人、免責後の相続まで完全ガイド

相続人が自己破産していても、破産は相続欠格・廃除の事由ではないため、相続人であることは変わりません。ただし、相続した財産が債権者への配当に回るかどうかは、被相続人の死亡が「破産手続開始の決定」の前か後かで分かれます(破産法34条の固定主義)。開始決定の前に相続が開始し、開始決定の後に単純承認や相続放棄をした場合は、破産財団に対しては限定承認の効力になる破産法238条のルールがあります。家庭裁判所での相続放棄と、遺産分割協議で取り分をゼロにすることの違い(最判昭和49年9月20日・最判平成11年6月11日)、破産管財人と遺産分割、免責後の相続まで整理しました。

相続税
2026年10月1日

親子間のお金の貸し借りと相続――「借りただけ」なのに贈与とされないための契約書・返済実績・利息の考え方、親が貸していたお金(貸付金)が相続財産になる点、返済免除・時効・遺産分割での扱いまで完全ガイド

親子間のお金の貸し借りは、返済能力や返済状況からみて真に金銭の貸借と認められなければ、借りたお金そのものが贈与とされるおそれがあります。「出世払い」「ある時払いの催促なし」は贈与として扱われ、無利子なら利子相当額が贈与とされる場合もあります(国税庁タックスアンサーNo.4420)。契約書・振込での返済・利息の考え方を整理したうえで、親が亡くなったときの貸付金の評価(元本+既経過利息)と申告、子から借りていた場合の債務控除を解説しました。返済免除が贈与とみなされる相続税法8条、時効、遺産分割での特別受益との違いまでまとめています。

相続の基礎知識
2026年9月28日

同性パートナーに相続権はあるのか――法定相続人にならない理由、パートナーシップ制度の限界、遺言・生命保険・祭祀承継で備える方法と、相続税の2割加算・非課税枠が使えない注意点まで完全ガイド

現行法では、同性パートナーは民法上の「配偶者」(民法890条)に当たらず、何十年一緒に暮らしていても法定相続人になりません。自治体のパートナーシップ制度にも相続の法的効力はなく、同性婚をめぐる訴訟は2026年9月時点で最高裁の判断が示されていません。何もしなければ財産は父母などや兄弟姉妹へ、相続人がいなければ国庫へ向かいます。公正証書遺言と遺言執行者の指定、父母の遺留分(3分の1)への配慮、生命保険の受取人指定、祭祀承継者の指定、養子縁組の注意点(離縁後も婚姻できない)まで整理しました。相続税では2割加算の対象となり、配偶者の税額軽減や生命保険金の非課税枠が使えない点にも注意が必要です。

終活
2026年9月28日

リバースモーゲージと相続――自宅を担保に借りたお金は亡くなったあとどうなるか。リ・バース60のノンリコース型・リコース型、社協の不動産担保型生活資金、相続放棄・債務控除まで完全ガイド

リバースモーゲージは、自宅に住み続けながら自宅を担保にお金を借り、元金は契約者が亡くなったときに一括で返すのが基本の仕組みです。相続が始まると、相続人は「一括返済して自宅を残す」「担保物件の売却代金で返す」「相続放棄する」のいずれかを選ぶことになります。住宅金融支援機構のリ・バース60では、売却代金で足りなくても不足分の返済が不要なノンリコース型が申込みの約99%を占めますが、返済不要分に所得税等が課税される可能性もあります。社協の不動産担保型生活資金の要件、相続税の債務控除、利用前に家族で確認しておきたいことまで整理しました。

不動産
2026年9月26日

明治・大正の古い抵当権が残る土地を相続したら――休眠担保権の抹消、不動産登記法70条4項の「所在不明+弁済期から20年経過+全額の供託」、公示催告と除権決定、2023年4月施行の解散法人の特例(70条の2)まで完全ガイド

相続登記のために登記簿を取ったら、明治・大正時代の抵当権が残っていた――いわゆる「休眠担保権」です。抹消は原則として抵当権者(亡くなっていればその相続人)との共同申請ですが(不動産登記法60条・62条)、所在が知れない場合には、簡易裁判所の公示催告と除権決定を経る方法(70条1項・3項)や、弁済期から20年を経過した後に債権・利息・損害金の全額を供託して単独で抹消する方法(70条4項後段)があります。2023年4月1日からは、解散した法人の担保権について、清算人の所在が判明せず弁済期と解散の日から30年を経過していれば供託なしで単独抹消できる特例(70条の2)も使えます。調査の進め方や費用まで整理しました。

遺言書
2026年9月26日

遺言が無効になるのはどんなときか――方式違反・遺言能力・偽造・共同遺言、遺言無効確認の調停と訴訟(家事事件手続法257条)、争っている間に遺留分の「1年」を逃さない方法まで完全ガイド

遺言が無効になる主な原因は、方式違反(民法960条・968条)、遺言能力の欠如(963条)、偽造・変造、共同遺言(975条)、証人欠格(974条)などです。「吉日」の日付は無効、花押は押印に当たらないとした最高裁判例もあります。錯誤・詐欺・強迫は現行民法では「取消し」の問題です。無効を争うには、まず家庭裁判所の家事調停を申し立て(家事事件手続法257条の調停前置)、まとまらなければ地方裁判所の遺言無効確認訴訟へ進みます。争っている間も遺留分侵害額請求の1年(民法1048条)が進むおそれがあるため、予備的な請求の意思表示が重要です。

相続税
2026年9月25日

結婚・子育て資金の一括贈与の非課税特例――受贈者1人1,000万円(結婚関係は300万円まで)、18歳以上50歳未満・所得1,000万円以下、適用期限2027年3月31日、贈与者死亡時の相続税と2割加算まで完全ガイド

父母や祖父母から結婚・子育て資金をまとめて贈与するとき、金融機関の専用口座を通すなどの要件を満たせば、受贈者1人につき1,000万円(うち結婚関係は300万円)まで贈与税が非課税になります(租税特別措置法70条の2の3)。受贈者は契約締結日に18歳以上50歳未満で、前年の合計所得金額が1,000万円以下であることが要件です。国税庁の案内では、適用対象は2027年3月31日までの拠出分です。一方、贈与者が亡くなったときの管理残額は相続税の対象となり、孫などの場合は2割加算がかかることもあります。受贈者が50歳になったときの残額への贈与税や、必要な都度の援助との比較まで整理しました。

相続手続き実務
2026年9月25日

相続放棄の「3か月」は延ばせる――熟慮期間の伸長の申立て(民法915条1項ただし書)の申立人・申立先・費用800円・必要書類、再度の伸長と起算点の最高裁判例まで完全ガイド

相続放棄や限定承認ができる期間(熟慮期間)は、原則として自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内です(民法915条1項)。借金の有無が分からない、財産の調査が終わらないといったときは、家庭裁判所に期間の伸長を申し立てることができます。申立ては熟慮期間内に、被相続人の最後の住所地の家庭裁判所へ行い、費用は伸長を求める相続人1人につき収入印紙800円と郵便切手です。熟慮期間は相続人ごとに進むこと、起算点についての最高裁判例、伸長中に避けたい法定単純承認まで整理しました。

終活
2026年9月24日

献体と臓器提供の意思表示――献体は大学・献体の会への登録と肉親の同意(献体法4条)、臓器提供はマイナンバーカード・運転免許証・インターネット登録・意思表示カードで(臓器移植法6条)、葬儀・遺骨の返還・相続手続きとの関係まで完全ガイド

死後に自分の体を役立ててほしいという願いをかなえる制度には、医学・歯学教育の解剖のために遺体を提供する「献体」と、移植のために臓器を提供する「臓器提供」の2つがあります。献体は医科・歯科の大学または献体の会に登録し、本人が書面で意思を示していても遺族が拒めば行われないため(献体法4条)、肉親の同意を得ておくことが大切です。献体をしても通夜・告別式は行え、遺骨の返還までは普通2年ほどかかります。臓器提供の意思は、マイナンバーカード・運転免許証・インターネットによる意思登録・意思表示カードの4つの方法で表示でき、提供は15歳以上、拒否は年齢を問わず表示できます。葬儀や相続手続きとの関係まで整理しました。

相続手続き実務
2026年9月24日

遺産分割の禁止とは――遺言なら相続開始から5年以内(民法908条1項)、相続人の不分割契約と家庭裁判所の禁止は「相続開始から10年」が上限(2023年4月1日施行)、相続税の未分割申告と「やむを得ない事情」の承認申請まで完全ガイド

遺産分割は原則としていつでもできますが(民法907条1項)、一定期間「分割しない」と決める方法が3つあります。被相続人が遺言で相続開始の時から5年を超えない期間を定めて禁止する方法(民法908条1項)、共同相続人が5年以内の期間を定めて不分割契約を結ぶ方法(同2項・3項)、特別の事由があるとき家庭裁判所が禁止する方法(同4項・5項)です。2023年4月1日施行の改正で、契約と家庭裁判所の禁止は終期が相続開始の時から10年までとされました。分割禁止中も相続税の申告期限は変わらず、3年を過ぎる場合は承認申請が必要です(相続税法施行令4条の2)。10年ルールや相続人申告登記との関係まで整理しました。

相続税
2026年9月23日

山林と立木の相続税評価――土地は純山林・中間山林・市街地山林の3区分(財産評価基本通達45)、立木は別に評価して相続人・包括受遺者なら時価の85%(相続税法26条)、保安林の控除と特定計画山林の5%減額まで完全ガイド

山林を相続したとき、相続税の評価は「土地」と「その上に生えている木」を分けて考えます。土地である山林は純山林・中間山林・市街地山林の3つに区分され(財産評価基本通達45)、純山林・中間山林は固定資産税評価額に倍率を掛ける倍率方式(通達47・48)、市街地山林は宅地であるとした場合の価額から宅地造成費を差し引く比準方式(通達49)によります。急傾斜地などで宅地への転用が見込めない場合は、近隣の純山林に比準して評価します。立木は標準価額に地味級・立木度・地利級を連乗して評価し(通達113)、相続税法26条により一定の場合は時価の85%で評価されます。保安林等の控除割合、特定計画山林の5%減額、山林の納税猶予まで整理しました。

事業承継
2026年9月23日

合同会社の社員が亡くなったら――定款に定めがなければ相続人は社員になれず「持分の払戻し」になる(会社法607条1項3号・608条1項)、一人社員の会社は解散して継続もできない理由を完全ガイド

合同会社の「社員」とは従業員ではなく出資者のことで、株式会社の株主にあたります。株式会社の株式は原則そのまま相続されますが、合同会社では社員の死亡は「退社」の事由とされ(会社法607条1項3号)、持分は当然には相続されません。分かれ目は、定款に「相続人その他の一般承継人が持分を承継する」旨の定めがあるかどうか(会社法608条1項)。定めがなければ相続人が受け継ぐのは持分の払戻しを受ける権利にとどまり(同611条1項)、社員が1人だけの会社では「社員が欠けたこと」により解散し(同641条4号)、継続の規定も使えません。権利行使者の指定、債権者の異議手続、出資の相続税評価までを条文にもとづいて整理しました。

遺言書
2026年9月22日

予備的遺言(補充遺言)とは――財産を渡す相手が先に亡くなるとその部分の遺言は原則として効力を生じない(民法994条・最判平成23年2月22日)、孫が当然には引き継がない理由と文例・書き方の注意点を完全ガイド

「自宅は長男に相続させる」と書いた遺言。その長男が遺言者より先に亡くなったら、孫が代わりに自宅をもらえるのでしょうか。民法994条1項は、遺贈は受遺者が遺言者の死亡以前に死亡したときは効力を生じないと定め、最高裁平成23年2月22日判決は「相続させる」遺言についても、特段の事情のない限り効力を生じないと判断しました。孫は代襲相続人として相続人にはなりますが、遺言の内容までは当然に引き継がず、財産は遺産分割の対象に戻ります。これに備える予備的遺言(補充遺言)の文例と、「死亡以前」と書く理由、割合の明記、遺言執行者の予備など書き方の注意点を整理しました。

不動産
2026年9月22日

根抵当権の債務者が亡くなったら――元本確定前なら「6か月以内」に指定債務者の合意の登記(民法398条の8)、しなければ相続開始時に元本確定、事業を継ぐ相続人の選び方と登記の順序を完全ガイド

事業のために自宅や工場に根抵当権を設定していた方が亡くなると、その根抵当権はどうなるのでしょうか。民法398条の8は、元本の確定前に債務者について相続が開始したとき、根抵当権者と設定者の合意で定めた相続人(指定債務者)が相続開始後に負担する債務も担保すると定めています。ただし、その合意について相続開始後6か月以内に登記をしないと、元本は相続開始の時に確定したものとみなされます。相続登記の3年よりずっと短いこの期限に向けた、所有権の相続登記・債務者の変更・指定債務者の合意という登記の順序と費用を整理しました。事業を継がない場合の借入れの分かれ方や、会社の借入れに自宅を担保提供していた場合の注意点もあわせて解説します。

相続税
2026年9月22日

建築中・増改築した家屋の相続税評価――建築中は「費用現価×70%」(財産評価基本通達91)、リフォームが固定資産税評価額に反映されていなければ増改築部分を加算、前払金と未払金の整理と小規模宅地等の特例まで完全ガイド

「父が自宅の建替えを進めていて、工事が半分ほど進んだところで亡くなりました。この建てかけの家は、相続税でいくらになるのでしょうか」――このようなご相談を、ときどきお受けします。家屋の相続税評価は原則として固定資産税評価額×1.0ですが(財産評価基本通達89)、建築中の家屋には固定資産税評価額がまだありません。そこで通達91は、建築中の家屋を「費用現価の100分の70」で評価すると定めています。費用現価とは、亡くなった日までにその家屋に投下された建築費用の額を課税時期の価額に引き直した額で、支払った代金の額とは限りません。支払済みの代金との差は、前払金として財産に、あるいは未払金として債務控除の対象として整理するのが一般的です。増改築やリフォームが固定資産税評価額に反映されていない場合の国税庁の考え方(増改築部分の価額を加算)、門・塀・庭園設備の評価(通達92)、建替え中の自宅の敷地と小規模宅地等の特例(措置法通達69の4-8)まで整理しました。

相続の基礎知識
2026年9月22日

生活保護を受けている人が相続人になったら――相続財産は「利用し得る資産」(生活保護法4条1項)、61条の届出義務、亡くなった日以後の保護費は63条で返還、相続放棄の可否と福祉事務所への相談を完全ガイド

「父が亡くなりました。相続人は私と弟の2人ですが、弟は生活保護を受けています。弟には相続放棄をしてもらったほうがよいのでしょうか」――このようなご相談を、ときどきお受けします。生活保護を受けていても、相続権は何も制限されません。ただし生活保護法4条1項は、利用し得る資産を活用することを保護の要件としており、相続で取得する財産はこの「資産」に当たります。相続が起きたら61条にもとづいて福祉事務所に届け出る必要があり、63条によって、資力があるのに受けていた保護費を返還するのが通常です。厚生労働省の問答集では、相続による資力の発生時点は原則として被相続人が亡くなった日とされています。届け出ずに保護を受け続けると、78条の徴収(100分の40以下の上乗せを含む)や85条の罰則が問題になり得ます。相続放棄の可否と注意点、生活保護を受けていた親が亡くなった場合の葬祭扶助と遺留金品まで整理しました。

相続手続き実務
2026年9月20日

有料老人ホームの入居一時金は相続でどうなるか――老人福祉法29条10項の返還契約、入居3か月以内なら「月額÷30×日数」しか引けない(施行規則21条)、未償却分の返還金は相続財産であることを完全ガイド

「母が有料老人ホームに入居したのが4月でした。入居一時金として1,200万円を支払ったのですが、6月に亡くなってしまいました。ホームからは『初期償却30%と2か月分の償却をしていますので、お返しできるのは約800万円です』と言われています」――このようなご相談を、たびたびお受けします。前払金の返還には、法律と省令が定めたルールがあります。老人福祉法29条9項は、前払金を一括して受領する設置者に、算定の基礎を書面で明示することと、返還債務に備えた保全措置を講じることを義務づけています。そのうえで同条10項は、入居した日から厚生労働省令で定める一定の期間を経過する日までの間に契約が解除され、または入居者の死亡により終了した場合に、前払金から省令で定める方法により算定される額を控除した額を返還する旨の契約を締結しなければならないと定めています。その期間と控除方法を定めるのが老人福祉法施行規則21条で、入居後3月が経過するまでの間に終了した場合、控除できるのは「家賃等の月額を30で除した額 × 入居の日から終了の日までの日数」だけ――つまり初期償却を差し引く形にはなっていません。実務で「90日ルール」「短期解約特例」と呼ばれているのがこの定めですが、条文上の表現は「3月」ですので、日数は入居の時期によって変わります。そして、入居者の死亡によって生じた未償却分の返還金を受け取る権利は、原則としてご本人に帰属していた金銭債権ですから、本来の相続財産として遺産分割の対象になり、相続税の課税対象にもなります。相続財産の中でもっとも見落とされやすいもののひとつです。重要事項説明書で確認すべき初期償却・償却期間・返還金の算定方法、請求の進め方、そして子が親の入居一時金を負担していた場合の贈与税と「出したのは私なのに返還金は相続人全員のもの」という落とし穴まで整理しました。

終活
2026年9月20日

後見制度支援信託・後見制度支援預貯金とは――親族が後見人になるとき、家庭裁判所の「指示書」がなければ下ろせないしくみ、対象は成年後見と未成年後見、令和7年の利用状況を完全ガイド

「母に後見人が必要になり、長男の私が選ばれました。ところが家庭裁判所から、母の預金のうち2,000万円を信託銀行に預けるように言われたのです。母のお金なのに、私が自由に下ろせないのでしょうか」――成年後見のご相談で、たびたびうかがう戸惑いです。これが後見制度支援信託・後見制度支援預貯金と呼ばれるしくみで、ご本人の財産を「日常的な支払をするのに必要十分な金銭」と「通常は使わない金銭」に分け、後者は信託銀行等や金融機関に預けて、払い戻すときには家庭裁判所が発行する「指示書」を必要とするというものです。最高裁判所事務総局家庭局の資料によれば、支援信託が導入されたのは平成24年2月1日。大切なのは、すべての後見で使えるわけではないという点で、支援信託の対象は成年後見及び未成年後見のみ、保佐・補助・任意後見では利用できません。一方、支援預貯金の対象は成年後見・未成年後見・保佐・補助で、任意後見では利用できず、保佐及び補助は一部の金融機関で令和7年10月から利用可能となりました。令和7年1月から12月に新たに利用した方は支援信託615人・支援預貯金2,005人、累計は支援信託31,234人、支援預貯金13,511人(平成30年1月以降)です。まとまったお金が必要になったときの一時金交付は同年708件、請求額は100万円以上500万円未満が約66.7%、7日以内の発行が約82.5%でした。このしくみが「後見人を疑うもの」ではなく、ご本人の財産とまじめに務める後見人の双方を守るものである理由、専門職後見人が関与する場面と報酬、そして相続が起きたあとの扱いまで、最高裁判所の一次資料にそって整理しました。

相続税
2026年9月18日

畑・原野・駐車場の相続税評価――農地は4区分(財産評価基本通達36〜36-4)、市街地農地は宅地比準方式(通達40)、生産緑地は5%〜35%を控除(通達40-3)、雑種地は近傍地比準(通達82)を完全ガイド

「母の財産は自宅と畑が3枚だけ。固定資産税評価額は合わせて200万円ほどですから、相続税はかからないと思うのですが」――こうお考えだったご相談者が、概算で4,000万円を超えると分かって絶句される。農地や雑種地の相続では、めずらしくない場面です。相続税の土地評価は財産評価基本通達にそって地目ごとに行われ、その地目は登記簿の記載ではなく課税時期の現況で判定されます(通達7)。農地は純農地(通達36)・中間農地(36-2)・市街地周辺農地(36-3)・市街地農地(36-4)の4つに区分され、評価方法もそれぞれ通達37・38・39・40で別に定められています。純農地・中間農地は固定資産税評価額に倍率を乗じる倍率方式、市街地周辺農地は市街地農地として評価した価額の80%、そして市街地農地は「宅地であるとした場合の1平方メートル当たりの価額から造成費を差し引き、地積を乗じる」宅地比準方式です。造成費は国税局長が定め、財産評価基準書に掲載されています。生産緑地は通達40-3により、買取りの申出ができることとなる日までの期間に応じて10%から35%を控除しますが、既に買取りの申出ができるものは5%にとどまります。被相続人が主たる従事者だった場合は生産緑地法10条ただし書で申出が可能となり得るため、大きな減額を当て込むと試算が外れます。市街化調整区域内の雑種地のしんしゃく割合、評価単位、農業委員会への届出、納税猶予の注意点まで、通達番号から順に整理しました。

不動産
2026年9月18日

賃貸アパート・貸家を相続したら――賃貸人の地位は民法896条で当然に承継、敷金の返還債務も引き継ぐ、遺産分割前の賃料は各相続人に分割帰属(最高裁平成17年9月8日)、賃借人への通知と青色申告の期限を完全ガイド

「父のアパートを相続します。入居者さんとの契約は結び直さなければいけないのでしょうか」――賃貸不動産をお持ちのご家庭の相続で、いちばん多いご質問です。結論から申し上げると、結び直す必要はありません。賃貸人としての地位は、相続開始の時に当然に相続人へ移ります。根拠は民法896条の包括承継で、賃借人の承諾も、賃借人への通知も、法律上の効力発生要件ではありません(売買などの譲渡の場面を規律するのは民法605条の2です)。ただし、引き継ぐのは家賃を受け取る権利だけではありません。使用収益させる義務と修繕義務、そして預かっている敷金の返還債務も一緒についてきます。敷金は「名称のいかんを問わず」債務を担保する目的で交付された金銭とされ、賃貸借が終了し賃貸物の返還を受けたときに残額を返す債務です(民法622条の2)。手元に残っていなくても、返す義務は相続人に残ります。さらに見落とされがちなのが、相続開始から遺産分割までに発生した家賃の帰属です。最高裁平成17年9月8日判決は、この期間の賃料債権は遺産とは別個の財産であり、各共同相続人が相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得すると判示しました。賃借人への通知に書くべき7項目、火災保険と管理委託契約の名義、相続登記、準確定申告の4か月、そして見落としやすい青色申告承認申請の期限(死亡の日で3区分)まで、大家として最初の1か月にやることを順に整理しました。

終活
2026年9月15日

散骨・樹木葬・手元供養は法律上どう扱われるのか――墓埋法4条と刑法190条、厚生労働省「散骨に関するガイドライン」、熱海市の「10キロメートル以上」、遺骨は誰のものか(民法897条)を完全ガイド

「子どもたちにお墓の世話をさせたくない。私が死んだら、海に撒いてほしい」――終活のご相談で、ここ数年とくに増えているお話です。では、散骨は法律上許されているのでしょうか。散骨そのものを直接定めた法律はありません。墓地、埋葬等に関する法律(墓埋法)4条1項は「埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行つてはならない」と定めていますが、散骨は土に埋める「埋蔵」とは異なる行為であり、問題になるのは遺骨の遺棄等を三年以下の拘禁刑に処する刑法190条との関係です。厚生労働省が公表している「散骨に関するガイドライン(散骨事業者向け)」は、焼骨を形状を視認できないよう粉状に砕くこと、海洋では海岸から一定の距離以上離れた海域で行うこと、文書による契約や散骨証明書の交付などを示しており、熱海市のガイドラインは市内の土地(初島含む)から10キロメートル以上離れた海域を求めています。一方、樹木葬は許可を受けた墓地で行う焼骨の埋蔵であり、自宅の庭に遺骨を埋めることはできません。遺骨を誰が扱えるのか(民法897条の祭祀主宰者)、そして散骨の希望を確実に叶えるための遺言・エンディングノート・死後事務委任契約の使い分けまで整理しました。

遺言書
2026年9月15日

秘密証書遺言とは――内容を誰にも見せずに「自分の遺言であること」だけを公証人に証明してもらう方式、民法970条の4つの要件、971条で自筆証書遺言として生き残る条件、手数料1万3,000円と検認を完全ガイド

「遺言は残したい。けれども、中身は亡くなるまで誰にも知られたくないのです」――そんなお気持ちに応える方式が、秘密証書遺言(民法970条)です。遺言書を封じたまま公証人1人・証人2人以上の前に提出し、自己の遺言書である旨と筆者の氏名・住所を申述して、公証人に提出日付と申述を封紙へ記載してもらいます。本文はパソコンや代筆で作ってもかまいませんが、現行法では署名押印は本人が行い、証書に用いた印章で封印しなければなりません(2026年6月公布の民法改正の施行後は遺言者の押印・印章による封印が不要になります。施行日前にされた遺言は従前の例によります)。方式に欠けても、全文・日付・氏名を自書し押印していれば自筆証書遺言として効力を有しますが(民法971条)、パソコンで作った場合はこの救済を受けられません。公証人手数料は1万3,000円(公証人手数料令28条、2025年10月1日施行の改正後)。公証役場では保管されず、遺言検索システムの対象にもならず、無封が要件の法務局の自筆証書遺言書保管制度も使えません。亡くなった後は家庭裁判所の検認が必要で、封印のある遺言書を家庭裁判所外で開封すると5万円以下の過料の対象です。証人になれない人(民法974条)、公正証書遺言・自筆証書遺言との比較、向く人・向かない人まで整理しました。

相続税
2026年9月14日

社長個人の土地に会社の建物が建っているとき――「土地の無償返還に関する届出書」で貸宅地は80%、消えた20%は自社株に乗る、相当の地代の年6%を完全ガイド

「土地は私の名義で、その上に建っている工場は会社の名義です」――中小企業のオーナー経営者の方から、ほぼ必ずといってよいほどうかがう形です。創業のとき、社長個人の土地に会社の建物を建てた。そして何十年か経って、相続が起きる。このとき、その土地をいくらで評価するのかが、相続税額を大きく左右します。結論から申し上げますと、「土地の無償返還に関する届出書」が提出されている場合、その土地に係る貸宅地の価額は、自用地としての価額の100分の80に相当する金額で評価します。根拠は昭和60年6月5日付 直資2-58ほか1課共同「相当の地代を支払っている場合等の借地権等についての相続税及び贈与税の取扱いについて」という個別通達の8で、借地権の価額は零とされます(同5)。では、差し引かれた20%はどこへ行ったのか。消えてなくなるわけではありません。被相続人が同族関係者となっている同族会社に土地を貸し付けている場合には、昭和43年10月28日付 直資3-22ほか2課共同「相当の地代を収受している貸宅地の評価について」通達の適用があり、自用地としての価額の20%相当額が、同族会社の株式の評価上、純資産価額に算入されてまいります。さらに、もっとも見落とされやすい落とし穴があります。地代をまったく取っていない――つまり使用貸借の場合です。同通達8の(注)は、使用貸借に係る土地について無償返還届出書が提出されている場合の貸宅地の価額は、その土地の自用地としての価額によって評価すると定めています。届出書を出していても、20%の減額は受けられないのです。権利金の認定課税を避ける二つの道、相当の地代=自用地としての価額のおおむね年6%程度(法人税では平成元年直法2-2により当分の間年6%)、そして小規模宅地等の特例における特定同族会社事業用宅地等(400㎡・80%減額)まで、国税庁の通達にそって整理しました。

相続手続き実務
2026年9月14日

再転相続とは――祖父の相続を決めないまま父が亡くなったとき、民法916条と最高裁令和元年8月9日判決、「父の相続を放棄すると祖父の相続は選べなくなる」理由を完全ガイド

「祖父が亡くなって、相続をどうするか家族で話し合っている最中に、父まで倒れてしまいました」――このとき起きているのが再転相続です。相続人が承認も放棄もしないまま熟慮期間の途中で亡くなり、その相続人が「決める権利」ごと受け継ぐ場面をいいます。根拠は民法916条で、同条は「相続人が相続の承認又は放棄をしないで死亡したときは、前条第一項の期間は、その者の相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時から起算する」と定めています。ここでやっかいなのは、相続が二つ、同時に目の前にあるという点です。祖父の相続と父の相続は別の相続であり、それぞれ承認・放棄を選べます。ところが最高裁判所は昭和63年6月21日の判決で、父の相続を放棄すると、祖父の相続についての承認・放棄の選択権を承継しないという考え方を示しました。つまり、先に父の相続を放棄してしまうと、祖父の相続については承認も放棄もできなくなるのです。だから申述の順番が決定的に重要になります。また3か月をいつから数えるかについて、最高裁判所は令和元年8月9日の判決(民集73巻3号293頁)で、民法916条の「知った時」とは、亡くなった相続人からの相続により、その相続における相続人としての地位を自己が承継した事実を知った時をいうと判示しました。「父の死亡を知った時」ではありません。数次相続・代襲相続との違い、家庭裁判所への申述の実務、相続税法27条2項による申告期限と相次相続控除、中間省略登記(昭和30年12月16日民事甲第2670号)と2024年4月からの相続登記の申請義務まで、一次情報にそって整理しました。

終活
2026年9月13日

身元保証サービス(高齢者等終身サポート事業)とは――2024年6月の国のガイドライン、預託金の分別管理、「身元保証人がいないこと」だけを理由に入院・入所は断れない理由を完全ガイド

「入院するとき、身元保証人の欄に書ける人がおりません」――おひとりさまの終活で、いちばん多くうかがうご相談です。高齢者等終身サポート事業とは、本人との契約に基づき、入院・入所時の身元保証、日常生活の支援、そしてお亡くなりになったあとの死後事務までを継続的に引き受けるサービスの総称で、一般には身元保証サービスと呼ばれています。まず知っていただきたいのは、厚生労働省が2018年(平成30年)4月27日の通知で、医師法19条1項の応招義務に照らし、身元保証人等がいないことのみを理由として医療機関が入院を拒否することは認められない旨を示している点です。介護保険施設についても同様の考え方が示されており、2019年には身寄りがない方の入院や意思決定支援に関するガイドラインも公表されています。そして2024年(令和6年)6月、内閣官房を中心とする関係省庁により「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」が策定されました。契約書・重要事項説明書の書面交付、サービスの対価と預託金の区分、預託金の分別管理と使途の明確化、記録と報告、事業を続けられなくなったときの返還・引継ぎ――こうした考え方が示されています。ただしこれは行政の指針であって法律ではなく、許認可や登録の制度もありません。2016年の公益財団法人日本ライフ協会の破綻と2017年1月31日の消費者委員会の建議という背景、成年後見・任意後見・死後事務委任契約との守備範囲の違い、入会金・月額・預託金という費用の三層構造、そして「このサービスでは財産の行き先は決まらない(遺言が別に必要)」という最も見落とされやすい点まで、事業者を選ぶときの10の確認事項とあわせて整理しました。

不動産
2026年9月13日

未登記建物を相続したら――表題登記の申請義務は1か月以内(不動産登記法47条1項)、相続人は「相続により所有権を取得した者」として申請する、相続登記義務化の対象外でも放置できない理由を完全ガイド

「父の家を相続したのですが、法務局で『その建物は登記されていません』と言われました」――古いご実家の相続でうかがうご相談です。未登記建物とは、法務局にその建物の登記記録が作られていない建物のことで、表題部も権利部も存在しないため、登記記録をゼロから起こすところから手続きが始まります。不動産登記法47条1項は、新築した建物又は区分建物以外の表題登記がない建物の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から一月以内に表題登記を申請しなければならないと定めており、これに違反した者は同法164条1項により10万円以下の過料に処するとされています。47条1項は義務を負う人を「所有権を取得した者」と定めており、相続の場合、相続人は相続によって所有権を取得しているため、相続人自身がこの申請をする立場に立ちます。よく混同されますが、同法47条2項は区分建物(マンション等)を新築した場合の特則で、一戸建てなどの未登記建物には当てはまりません。そのうえで同法74条1項1号により、表題部所有者またはその相続人その他の一般承継人が所有権保存登記を申請します。被相続人名義の保存登記を経由する二度手間は要りません。意外に思われるのは、2024年4月1日に始まった相続登記の申請義務(同法76条の2・3年以内)が「所有権の登記名義人」について相続があった場合を対象とする制度であるため、登記名義人が存在しない未登記建物には直接かからないという点です。ただし47条1項の義務は別に残り、その期限は3年よりはるかに短い一月以内です。登記がなくても地方税法381条4項の家屋補充課税台帳により固定資産税は課され、相続税の課税対象にもなります。登記事項証明書だけを見て遺産分割協議書を作ると未登記の離れや倉庫が漏れること、売却・担保設定ができないこと、取り壊したときは滅失の登記ではなく市区町村への家屋滅失届が必要なことまで、一次情報にそって整理しました。

相続税
2026年9月8日

個人版事業承継税制とは――特定事業用資産の相続税・贈与税が100%猶予されるしくみと、2028年9月30日まで延長された個人事業承継計画の期限を完全ガイド

「父の工場と機械はそのまま継ぎます。ですが、相続税を払うお金がありません」――個人事業の承継でうかがうご相談です。会社であれば相続の対象は自社株ですが、個人事業では、事業に使っている土地・建物・機械そのものが相続財産になります。売れば納税できるけれども、売れば事業が終わる。この板ばさみに対して2019年に創設されたのが個人版事業承継税制で、根拠は租税特別措置法70条の6の8(贈与税)と70条の6の10(相続税)です。青色申告(正規の簿記の原則によるものに限る)に係る事業の用に供されていた特定事業用資産について、対応する税額の全額の納税が猶予されます。対象は宅地等400㎡まで、建物は床面積800㎡まで、そのほか機械・器具備品や車両運搬具などの一定の減価償却資産で、いずれも前年分の青色申告書の貸借対照表に計上されているものにかぎられ、不動産貸付業等は対象外です。期限は二段構えで、都道府県知事への個人事業承継計画の提出は2028年(令和10年)9月30日まで(令和8年度税制改正により2026年3月31日から延長)、実際の贈与・相続等は2028年12月31日まで。相続の場合の認定申請は相続開始の日の翌日から8か月以内で、申告期限の10か月より早く来ます。そして見落とされがちなのが、特定事業用宅地等について小規模宅地等の特例の適用を受ける者がある場合には、この納税猶予の適用を受けられないという点です。猶予は免除ではないこと、3年ごとの継続届出書が必要なことまで、一次情報にそって整理しました。

不動産
2026年9月8日

親の土地に子が家を建てたとき――使用貸借の相続税評価は「自用地としての価額」、借地権相当額の贈与税が原則としてかからない理由(昭和48年直資2-189)を完全ガイド

「父の土地に、私が家を建てております」――ご相続のご相談で、たいへんよくうかがうお話です。親子のあいだで地代も権利金もやりとりせずに土地を貸し借りすることを、民法では使用貸借といいます(民法593条)。2020年4月1日施行の改正により、いまは合意だけで成立する諾成契約です。使用貸借は借主の死亡によって終了しますが(民法597条3項)、貸主が亡くなっても当然には終了せず、貸主の地位は相続人に承継されます。税務では、昭和48年11月1日付 直資2-189ほか「使用貸借に係る土地についての相続税及び贈与税の取扱いについて」という一枚の個別通達により、使用貸借による土地の使用の権利の価額は零として取り扱われます。ですから、子が親の土地を無償で借りて家を建てても、借地権相当額の贈与税は原則としてかかりません。けれども、それは裏返せば「差し引くものが何もない」ということでもあり、親の相続ではその土地を自用地としての価額で評価します。貸宅地としての控除はなく、その建物を第三者に貸していても貸家建付地にはなりません。一方で、小規模宅地等の特例は使用貸借であること自体で排除されるものではなく、被相続人と生計を一にしていた親族の居住の用として適用の余地があります。ただし無償の貸付けは「相当の対価を得て継続的に行うもの」(租税特別措置法施行令40条の2第1項)に当たらないため、貸付事業用宅地等には該当しません。

相続の基礎知識
2026年9月7日

生命保険の受取人が古いままになっていませんか――遺言でも変更できる保険法44条、先に亡くなっていたら相続人全員が均等(保険法46条)、「相続人」指定は法定相続分(最判平成6年7月18日)を完全ガイド

「保険の受取人が、亡くなった母のままになっているのです」――ご相続のご相談で、たいへんよくうかがうお話です。生命保険の受取人は保険証券のたった一行にすぎませんが、その一行が、遺言よりも先に、遺産分割協議とは無関係に、誰にいくら渡るかを決めてしまいます。保険契約者は保険事故が発生するまでいつでも受取人を変更でき(保険法43条1項)、変更は保険者に対する意思表示によって行います。死亡保険契約では被保険者の同意がなければ効力を生じません(保険法45条)。受取人の変更は遺言によってもできますが(保険法44条1項)、遺言の効力が生じた後に保険契約者の相続人が保険者に通知しなければ、保険者に対抗できません。そして受取人が保険事故の発生前に死亡していたときは、その相続人の全員が保険金受取人となります(保険法46条)。このときの取得割合は原則として均等(最判平成5年9月7日)で、契約で受取人を「相続人」と指定した場合の法定相続分(最判平成6年7月18日)とは異なります。死亡保険金は受取人固有の財産(最判昭和40年2月2日)ですが、著しい不公平があるときは特別受益に準じて持戻しの対象となり得ます(最決平成16年10月29日)。相続税ではみなし相続財産(相続税法3条1項1号)となり、非課税枠500万円×法定相続人の数は相続税法12条1項6号に定められています。

相続税
2026年9月7日

医療法人の出資持分を相続したとき――経過措置型医療法人の持分が相続税を直撃する理由、財産評価基本通達194-2と認定医療法人制度による「持分なし」への移行を完全ガイド

「父の医院は法人になっていますが、株式会社ではないので株式はないと言われました。では、私は何を相続するのでしょうか」――医療法人の相続でいただくご相談です。相続の対象になるのは出資持分と呼ばれる財産権で、これを持つ法人を持分あり医療法人(経過措置型医療法人)といいます。平成18年法律第84号(平成19年4月1日施行)以後は新設できず、それ以前に設立された法人が同法附則の経過措置により存続しているものです。ここに難しさが集まっています。医療法54条は「医療法人は、剰余金の配当をしてはならない」と定めており、配当として外に出せないぶん利益は法人の内部に積み上がります。その結果、手元に一円も入らないのに出資持分の相続税評価額だけが年々ふくらんでいきます。評価は財産評価基本通達194-2により取引相場のない株式の評価に関する定めを準用して行いますが、194-2は配当還元方式(188)を準用していないため、持分の割合が小さくても評価が低くなるとはかぎりません。退社した社員の払戻しについては最高裁平成22年4月8日判決があり、「出資額に応じて返還する」旨の定款規定は、退社時の法人財産の評価額に出資割合を乗じた額の返還を請求できる趣旨と解されています。持分なし医療法人へ移行する認定医療法人制度、租税特別措置法70条の7の12・70条の7の14などの特例、遺産分割と遺留分の設計まで、一次情報にそって整理しました。

終活
2026年9月6日

特定贈与信託(特定障害者扶養信託契約)とは――障害のあるお子さまに6,000万円まで贈与税非課税で財産を遺すしくみと「親なきあと」の備えを完全ガイド

「私たちがいなくなった後、この子はどうなるのでしょうか」――障害のあるお子さまをお持ちのご家庭から、もっとも多くうかがうご相談です。多くの親御さまは「お金はできるだけ残しておいてやりたい」とおっしゃいますが、すぐに「まとまったお金を渡しても、この子が自分で管理できるとはかぎらない」という次の心配に行き当たります。お金を残すことと、そのお金が使えるようにすることは、別の設計を必要とします。渡すのではなく、託す。そのための制度が特定贈与信託です。税法上の名称は特定障害者扶養信託契約といい、根拠は相続税法21条の4。信託銀行等が受託者となって財産を管理し、ご本人の生活費や医療費を定期的に給付します。この信託受益権について、特別障害者は6,000万円まで、特別障害者以外の特定障害者は3,000万円まで、贈与税が非課税とされています。ただし、黙っていて適用されるものではありません。障害者非課税信託申告書を、信託会社の営業所を経由して受益者の納税地の所轄税務署長に提出する必要があり、提出期限は原則として信託がされる日まで。出し忘れれば非課税は受けられません。信託できる財産の範囲、給付のされ方、信託終了時の残余財産の扱い、そして相続税の障害者控除(相続税法19条の4。85歳までの年数×10万円、特別障害者は20万円)とはまったく別の制度であること。成年後見・遺言・負担付遺贈・生命保険・家族信託との組み合わせまで、国税庁の資料にそって整理しました。

遺言書
2026年9月6日

後継ぎ遺贈型受益者連続信託とは――「妻の次は長男に」を実現する信託法91条と30年ルール、遺留分・相続税の落とし穴を完全ガイド

「私が死んだら妻に住まわせてやりたい。けれども妻が亡くなった後は、血のつながった長男に戻してほしいのです」――再婚なさった方から、たびたびうかがうお話です。ふつうの遺言では、ここまでは決められません。遺言で「妻に相続させ、妻の死亡後は長男に」と書く、いわゆる後継ぎ遺贈については、その効力に争いがあり、確実な方法とはいえないとされています。妻が財産を取得した以上、その先は妻の相続の問題になってしまうからです。そこで用いられるのが信託です。信託法91条は、受益者の死亡により順次他の者が受益権を取得する旨の定めのある信託について定めており、これを用いたものが後継ぎ遺贈型受益者連続信託です。ただし無制限ではありません。信託がされた時から30年を経過した時以後に、その定めにより受益権を取得した受益者が死亡すれば、そこで連続は終わります。いわゆる30年ルールですが、これは「30年で信託が終わる」という意味ではないところが、もっとも誤解されています。信託法259条の20年(受益者の定めのない信託)とも別の話です。税務は相続税法9条の2により、受益権が移るたびに相続税の対象となるのが原則。9条の3により、期間や処分の制限は評価上ないものとみなされ、評価が下がるわけではありません。遺留分についても、東京地裁平成30年9月12日判決は、遺留分制度を潜脱する意図でされたと認められる部分を公序良俗違反として無効としました。終了事由(163条)、残余財産の帰属(182条)、信託の登記(不動産登記法97条・98条)まで整理しました。

不動産
2026年9月5日

がけ地・土砂災害特別警戒区域内にある宅地の相続税評価――財産評価基本通達20-5と20-6、付表8のがけ地補正率と付表9の特別警戒区域補正率を完全ガイド

「登記簿では200平方メートルありますが、半分は崖なんです」――斜面地の多い地域では、たびたびうかがうお話です。使えない部分にも同じように相続税がかかるのか。ご安心ください。相続税の土地評価には、その使いにくさを織り込む定めが置かれています。根拠は財産評価基本通達20-5「がけ地等を有する宅地の評価」。がけ地部分の地積を総地積で除した「がけ地割合」と、がけの斜面が向いている方位(南・東・西・北)の組み合わせで、付表8のがけ地補正率が決まります。表の区分は0.10以上から始まり、補正率の最小値は北向き・0.90以上の0.53。方位は接している道路の向きではなく斜面が下っていく向きで判定する点が、実務でもっとも間違えやすいところです。南東などの中間方向は、国税庁の質疑応答事例で二つの方位の補正率を平均する考え方が示されています。もう一つが通達20-6「土砂災害特別警戒区域内にある宅地の評価」。付表9の特別警戒区域補正率は0.90・0.80・0.70の3区分で、平成31年1月1日以後に相続・遺贈・贈与により取得した財産に適用されます。両方に当たるときは乗じますが、下限は0.50。そして最大の誤解が「イエローゾーンでも下がるはず」というもの。付表9の対象は特別警戒区域(レッドゾーン。土砂災害防止法9条1項)であり、警戒区域(同法7条1項)は対象になりません。倍率地域との関係、評価単位、傾斜地の宅地造成費との違い、申告後の更正の請求(法定申告期限から5年)まで整理しました。

相続税
2026年9月5日

相続税申告の「書面添付制度」とは――税理士法33条の2の添付書面と35条1項の意見聴取、税務調査の「前」に説明の機会が生まれるしくみを完全ガイド

「申告は終わりました。あとは、税務調査が来ないことを祈るだけです」――相続税の申告を終えられた方から、もっとも多くうかがう言葉です。けれども、祈るしかないわけではありません。税理士が申告書に一枚の書面を添えておくことで、調査に入る前に説明する機会が制度として置かれているからです。それが書面添付制度、根拠は税理士法33条の2。どの財産をどう探し、何をどこまで確かめ、どこを判断したのか――申告書という様式には結果の数字しか載りませんが、その過程を税理士自身の責任で書き残します。同条1項は税理士が自ら作成した申告書についての計算事項等記載書面、2項は他人の作成した申告書を審査した場合の審査事項等記載書面です。この書面が添付され、税務代理権限証書が提出されている申告書について調査を行おうとする場合、税務職員は原則として国税通則法74条の9の事前通知を行う前に、その税理士に意見を述べる機会を与えなければなりません(税理士法35条1項)。これが意見聴取で、調査そのものではありません。結果、問題とすべき事項が認められなければ「意見聴取結果についてのお知らせ」が出されますが、これも将来の調査を否定するものではない点は正確に押さえておきたいところです。国税庁の公表値では相続税の添付割合は令和6事務年度で24.6%(所得税1.5%、法人税10.2%)。相続税だけ突出して高い理由、名義預金をどう書くか、意見聴取後の修正申告と加算税の関係、そして依頼するときに聞いてよいことまで整理しました。

不動産
2026年9月2日

相続した実家と空家法――2023年12月13日に新設された「管理不全空家等」、勧告で住宅用地特例が外れるしくみ(空家法13条・22条)を完全ガイド

「実家は相続しましたが、誰も住んでいません」――もっとも多いご相談のひとつです。多くの方が「壊れているわけでもないし、まだ何も言われていないから大丈夫」とお考えになりますが、その前提が2023年12月13日に変わりました。空家等対策の推進に関する特別措置法(平成26年法律第127号)が令和5年法律第50号によって改正され、「管理不全空家等」という区分が新設されたのです(空家法13条1項)。これは、適切な管理が行われていないことにより、そのまま放置すれば特定空家等になるおそれのある状態のもの。従来のように倒壊のおそれがあるほど傷んだ「特定空家等」(2条2項)にならなくても、指導(13条1項)・勧告(13条2項)の対象になります。そして大切なのが税制との接続です。地方税法349条の3の2第1項により、13条2項または22条2項の勧告を受けた敷地は同項が定める「住宅用地」から除かれ、住宅用地特例(固定資産税は小規模住宅用地が課税標準の6分の1、一般住宅用地が3分の1)が適用されません。よく「固定資産税が6倍になる」と言われますが、負担調整措置や200㎡超の部分の扱いがあるため、実際の税額が必ず6倍になるわけではない点も丁寧に整理しました。特定空家等への措置は助言・指導(22条1項)→勧告→命令(22条3項)→行政代執行(22条9項)と段階を追って進み、命令違反は50万円以下の過料(30条1項)。代執行の費用は義務者から徴収されます。空家等管理活用支援法人(23条1項)や空家等活用促進区域(7条3項)といった活用側の枠組み、売る・貸す・壊す・国庫帰属という選択肢まで。結論が出ていなくても、できることがあります。

相続手続き実務
2026年9月2日

旧民法の家督相続とは――登記名義が何代も前のままの不動産、昭和22年5月2日以前の相続に今も旧法が適用される理由と相続分の変遷を完全ガイド

「相続登記をしようと登記簿を取ったら、名義が明治生まれのひいおじいさんのままでした」――このとき、まず申し上げなければならないのは、承継者はいまの民法では決まらない、ということです。相続に適用される法律は、相続が開始した日の法律。ですから昭和22年5月2日以前に開始した相続には、いまも旧民法(明治31年法律第9号の民法第四編・第五編、明治31年7月16日施行)の家督相続の規定が適用されます。家督相続は、戸主の地位と財産を原則としてただ一人が丸ごと承継する制度で、開始原因は戸主の死亡だけではなく、隠居・国籍の喪失なども含まれました(旧民法964条)。家督相続人は、第一種法定推定家督相続人(970条)→指定家督相続人(979条〜981条)→第一種選定家督相続人(982条)→第二種法定家督相続人(984条)→第二種選定家督相続人(985条)の順で判定するのが実務上の整理。先後は親等→男子→嫡出子→年長者の順で、「長男」と書かれた条文があったわけではありません。戸主でない家族が亡くなったときの「遺産相続」では、直系卑属が複数いれば同順位(994条)、配偶者は第2順位(996条1号)でした。昭和22年5月3日から同年12月31日までは応急措置法(昭和22年法律第74号)で配偶者3分の1・直系卑属3分の2、昭和23年1月1日施行の新民法では配偶者と子が3分の1対3分の2、そして昭和55年法律第51号(昭和56年1月1日施行)で現在の2分の1対2分の1になりました。相続登記の義務化は施行日前の相続にも及びます。戸籍の集め方、登記原因「年月日家督相続」の書き方まで。まず「亡くなった日」を確かめてください。

事業承継
2026年9月1日

同族会社の株式を相続したとき――遺産分割前の株式は「準共有」、権利行使者の指定(会社法106条)、相続人等に対する売渡請求(会社法174条〜177条)を完全ガイド

「父が亡くなりました。会社の株は全部父が持っていたのですが、次の株主総会は誰が出ればよいのでしょうか」――同族会社の相続では、必ずといってよいほどいただくご質問です。相続人が複数いる場合、遺産分割が成立するまで相続財産は相続人全員の共有に属し(民法898条1項)、株式は所有権以外の財産権ですので民法264条により「準共有」と整理されます。ここで誤解が多いのは、1,000株が自動的に400株・300株・300株へ分かれるわけではない、という点。株式の全体について相続人が相続分に応じた持分を持つ状態ですから、自分の相続分の分だけ単独で議決権を行使することは原則としてできません。会社法106条本文は、権利を行使する者一人を定めて会社に通知しなければ、その株式についての権利を行使することができないと定めています。ではその一人をどう決めるのか。最高裁平成27年2月19日判決は、共有株式の議決権行使は特段の事情がない限り管理に関する行為であり、民法252条1項本文により各共有者の持分の価格に従いその過半数で決するとしました。あわせて、会社が会社法106条ただし書の同意をしても、民法の共有に関する規定に従わない権利行使は適法にはならないとしています。さらに見落とされがちなのが、定款にある「相続人等に対する売渡しの請求」。会社法174条の定款の定めがあれば、会社は相続その他の一般承継があったことを知った日から1年以内に、相続人へ株式の売渡しを請求できます。対象とされた方は原則としてその株主総会で議決権を行使できませんので(175条2項)、後継者ご自身が対象にされ得る点にご注意ください。株主名簿の名義書換え、取得費加算と発行会社への譲渡の特例まで整理しました。定款は、相続が起きてはじめて読まれることが、ほんとうに多いのです。

相続税
2026年9月1日

個人年金保険の年金受給権と相続税――年金開始後は「定期金に関する権利」(相続税法24条)、開始前は「生命保険契約に関する権利」(解約返戻金)、500万円の非課税枠が使えない理由と長崎年金二重課税事件を完全ガイド

「父が入っていた個人年金保険があります。母が引き続き受け取ることになったのですが、年金ですから相続財産にはあたりませんよね」――お答えは、年金そのものではなく「年金を受け取る権利」が相続税の対象になります、です。分かれ目は、相続開始のときに年金の支給がもう始まっていたかどうか。すでに支給が始まっていて、保証期間中に遺族が引き継ぐ場合は相続税法3条1項5号の「保証期間付定期金に関する権利」となり、評価は同法24条により、解約返戻金の額・一時金の額・予定利率等による計算額の3つのうち最も多い金額によります。「最も少ない金額」でも「平均」でもありません。いっぽう、まだ支給が始まっていない場合は、条文の枠組みそのものが変わります。相続税法3条1項4号と25条には「(生命保険契約を除く。)」という括弧書きが置かれているため、生命保険会社の個人年金保険は定期金の規定から外れ、財産評価基本通達214により解約返戻金の額を基礎として評価するのが基本です。契約者が被相続人以外であれば同項3号の「生命保険契約に関する権利」、被相続人ご自身が契約者であれば本来の相続財産として整理されます。25条によるのは、生命保険契約以外の定期金給付契約。そして「500万円×法定相続人の数」の非課税枠は、相続税法12条1項6号――2026年4月1日施行の改正で5号から繰り下がりました――が定めるもので、同法3条1項1号の生命保険金等が対象ですから、年金受給権には原則として使えません。長崎年金二重課税事件(最高裁平成22年7月6日判決)と所得税法9条1項17号による非課税部分まで、順に整理しました。保険証券を、一度すべて広げてみてください。

不動産
2026年8月31日

相続した土地の境界があいまいなとき――筆界特定制度(不動産登記法123条以下)、「筆界」と「所有権界」の違い、地積更正登記と境界確定訴訟を完全ガイド

「相続した実家を売ろうとしたら、境界がはっきりしていないので売れないと言われました」――相続の現場で、たいへんよくあるご相談です。ここでまず整理しておきたいのは、ひとくちに「境界」といっても法律上は二つの意味がある、ということ。ひとつは「筆界」。その土地が登記されたときに範囲を区画するものとして定められた公法上の線で、お隣との話し合いや合意だけで動かすことはできません。もうひとつは「所有権界」。所有権が実際に及ぶ範囲を示す私法上の線で、売買や時効取得によって筆界とずれることがあります。この筆界がどこにあるのかを、裁判によらずに法務局の筆界特定登記官が明らかにする手続きが、不動産登記法123条以下に定められた筆界特定制度です。平成18年1月20日に始まりました。申請できるのは所有権登記名義人や表題部所有者のほか、その相続人も含まれますので、名義がまだ亡くなった方のままでも道はあります。費用は、対象土地の価額の合計額をもとに算定される申請手数料と、別途かかり得る測量費用の二層で考える必要があります。そして不動産登記法148条――筆界を確定する判決が確定したときは、その筆界特定は、当該判決と抵触する範囲において効力を失います。地積更正登記・分筆登記と境界の立会い、土地家屋調査士会のADRとの使い分けまで整理しました。境界は、いちばんよく知っている方がいなくなってから問題になります。

相続税
2026年8月30日

一般社団法人を使った相続対策と相続税法66条の2――「持分がないから課税されない」は過去の話、特定一般社団法人等の2つの判定と純資産額÷(同族理事+1)を完全ガイド

「知り合いから、一般社団法人をつくれば相続税がかからないと聞きました」――そのお話は、平成30年度の税制改正で終わっています。一般社団法人には株式会社の株式のような「持分」がありません。この構造を使い、財産を法人へ移して理事の地位だけを世代交代させれば、相続すべき株式が存在しないため課税の機会が消える。かつては、そうした対策が行われていました。これを封じるために創設されたのが、相続税法66条の2「特定の一般社団法人等に対する課税」です。相続開始の直前に同族理事の数が理事の総数の2分の1を超えている、または相続開始前5年以内に2分の1を超える期間の合計が3年以上である法人は「特定一般社団法人等」にあたり、理事が亡くなると、純資産額を死亡時の同族理事の数に1を加えた数で割った金額を遺贈により取得したものとみなし、法人を個人とみなして相続税が課されます。相続税額の2割加算も原則として適用。同族理事には配偶者・3親等内の親族のほか「特殊の関係がある者」が含まれ、直前の役員変更では外れません。既存法人の経過措置も、令和3年4月1日で終わっています。昔つくった法人を、そのままにしていませんか。

相続手続き実務
2026年8月30日

埋葬料・葬祭費は「請求しないともらえない」――健康保険法100条の5万円、国保の葬祭費、2年の時効(193条)、未請求の高額療養費が相続財産になる理由を完全ガイド

「母が亡くなって一年半になります。埋葬料が出ると、最近になって知りました」――健康保険の給付は、待っていても届きません。死亡届を出しても、給付は自動的には処理されないからです。会社の健康保険では、健康保険法100条1項の「埋葬料」が一律5万円。実際の葬儀費用の額とは関係のない定額給付で、受け取れるのは「生計を維持していた者であって、埋葬を行うもの」――相続人であることは要件ではありません。埋葬料を受ける方がいないときは、同条2項の「埋葬費」として実費が5万円を上限に。被扶養者が亡くなったときは113条の「家族埋葬料」5万円です。国民健康保険・後期高齢者医療では、国民健康保険法58条1項などにもとづく「葬祭費」が支給されますが、金額は条例で定められるため自治体ごとに異なります。いずれも健康保険法193条により時効は2年。ただし起算日は給付ごとに違い、埋葬費は埋葬を行った日から、高額療養費は診療月ごとに進みます。そして見落とされやすいのが最後の論点。未請求の高額療養費と未支給の傷病手当金は、埋葬料と違ってご本人に発生していた権利ですから、相続財産になり、相続放棄をすると請求できません。

相続手続き実務
2026年8月28日

死亡事故の損害賠償金は相続財産か――本人の慰謝料は相続され(最大判昭和42年11月1日)、遺族固有の慰謝料は民法711条、相続税は原則かからない理由を完全ガイド

「事故で父が亡くなりました。保険会社から示談のお話が来ているのですが、このお金は誰のものになるのでしょうか」――ご心痛のなかで判断を求められる、もっともお辛い場面のひとつです。死亡事故で動くお金は、大きく二つの性質に分かれます。ひとつは被害者ご本人に生じた死亡慰謝料や逸失利益で、これは民法896条により相続人が承継します。慰謝料請求権について最高裁大法廷は昭和42年11月1日の判決で、被害者が請求の意思を表明しなくても損害の発生と同時に発生し相続されるという趣旨を判示しました。即死の場合も同じです。もうひとつが、民法711条が父母・配偶者・子に認める遺族固有の慰謝料。これは相続した権利ではありませんから、相続放棄をしても請求でき、遺産分割の対象にもなりません。「借金があるから全部あきらめる」と決めてしまう前に、知っておいていただきたい一点です。税金は、国税庁タックスアンサーNo.4111のとおり原則として相続税はかからず、所得税も所得税法9条1項18号により非課税。ただし生前に賠償額が確定していた場合は債権として課税対象になります。消滅時効は民法724条の2により5年。示談は原則やり直せません。

相続の基礎知識
2026年8月28日

著作権は相続できるのか――著作者人格権が相続されない理由、死後70年の保護期間、共有著作権の落とし穴を完全ガイド

小説、随筆、写真、イラスト、楽曲、ソフトウェア、ブログの記事――亡くなられた方が創作物を遺していた場合、その著作権はどうなるのでしょうか。著作権は登録しなくても創作の瞬間に生まれており(著作権法17条2項の無方式主義)、「登録していないから相続財産ではない」ということはありません。そして著作者の権利は二階建てです。財産権としての著作権は民法896条により相続されますが、著作者人格権は著作権法59条により著作者の一身に専属し、譲渡も相続もされません。ただし60条と116条により、配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹という順位のご遺族が、故人の人格的利益を守るための差止め等を請求できます。保護期間は著作者の死後70年(51条2項)、起算は死亡した年の翌年から(57条)。70年への延長の施行日は2018年12月30日です。相続人がいないときは国庫に帰属せず消滅します(62条1項1号)。そして最大の落とし穴が共有著作権。行使には共有者全員の合意が必要(65条2項)で、一人でも連絡がつかなければ出版も配信も止まります。移転登録(77条)と相続税評価(財産評価基本通達148)まで、条文でたどります。

相続税
2026年8月24日

税務署から届く「相続税についてのお尋ね」とは――申告要否検討表12欄の読み方、返送の義務、様式が3年のままである理由を完全ガイド

「税務署から封筒が届きました。うちは相続税なんてかからないはずなのですが」――お見送りから数か月、ようやく落ち着かれたころに届くのが「相続税の申告等についてのご案内」や「相続税についてのお尋ね(相続税の申告要否検討表)」です。まずお伝えしたいのは、これは税務調査の通知ではないということ。申告よりも前の段階で、申告が必要かどうかを確かめるための照会です。ではなぜ税務署は亡くなったことを知っているのか。根拠は相続税法58条で、現行条文は1項が法務大臣から国税庁長官へ、2項が市町村長から所轄税務署長へ固定資産課税台帳の登録事項等を通知するという2本立てになっています。「市区町村が死亡届の情報を税務署へ送る」という説明は改正前のものです。本記事では検討表12の欄を順に読み、Ⓑ〜Ⓖを合計してⓁを出し基礎控除額Ⓜと比べる判定式まで追いかけます。そしてもうひとつ。公開されている様式は平成27年分以降用のままで、贈与を書く欄10は「亡くなる前3年以内」。ところが現行の相続税法19条の見出しは「相続開始前七年以内に贈与があつた場合の相続税額」です。様式の欄をそのまま埋めるだけでは足りない可能性がある――この点を、実物の様式と条文で確かめます。

遺言書
2026年8月24日

特別方式の遺言とは――危急時遺言・隔絶地遺言、証人3人と20日以内の家庭裁判所の確認、6か月生存で失効するしくみを完全ガイド

「父の容体が急変しました。今からでも何かできませんか」――病院からお電話をいただくことがあります。ペンを持つ力がもう残っていない、公証人を呼ぶ時間もない。そのときに使える可能性があるのが、特別の方式による遺言です。民法967条は遺言を自筆証書・公正証書・秘密証書の3方式に限りますが、ただし書で「特別の方式によることを許す場合は、この限りでない」としています。死亡の危急に迫った者の遺言(976条)は証人3人以上の立会いのもとその1人に遺言の趣旨を口授し、遺言の日から20日以内に家庭裁判所の確認を得なければ効力を生じません。船舶遭難者の遺言(979条)は証人2人以上・口頭でよく、確認は「遅滞なく」。伝染病隔離者の遺言(977条)は警察官1人と証人1人以上、在船者の遺言(978条)は船長または事務員1人と証人2人以上です。この記事でとくにお伝えしたいのは、危急の場に居合わせるご家族の多くが民法974条により証人になれないという事実。そして遺言者が回復して6か月生存すると効力を生じないこと(983条)。e-Gov法令検索の条文で一つずつ確かめながら、この「最後の非常口」を整理します。

相続税
2026年8月24日

相続税の非課税財産とは――相続税法12条が定める7つ、お墓と仏壇、500万円×法定相続人の数、申告期限までの寄附を完全ガイド

「先祖代々のお墓や、家の仏壇にも相続税がかかるのでしょうか」――ご相談の場でたいへんよくいただくご質問です。お答えを先に申し上げると、原則としてかかりません。これは慣習ではなく、法律にはっきり書かれていることです。根拠は相続税法12条で、その第1項は「次に掲げる財産の価額は、相続税の課税価格に算入しない」として7つの号を並べています。ここで注意していただきたいのが号数です。公益信託に関する法律(令和6年法律第30号)の施行にあわせて第4号が新設され、以降の号が繰り下がりました。「生命保険金の非課税は12条1項5号」と書かれたまま更新されていない解説が数多く残っていますので、号数を引用するときは必ずe-Gov法令検索で現行条文をご確認ください。本記事では非課税財産の全体像、お墓と仏壇(投資の対象となるものは除かれるという線引き)、生命保険金と退職手当金等それぞれ500万円×法定相続人の数という別枠、そしてお墓の未払代金が債務控除できない理由(13条3項)まで、落ち着いて整理します。

不動産
2026年8月24日

宅地の評価単位「1画地の宅地」とは――相続税は筆ごとに評価しない、財産評価基本通達7-2と「著しく不合理な分割」を完全ガイド

「土地は3筆あるので、3つに分けて評価するのですよね」――よくいただくご質問ですが、相続税の土地の評価は、登記簿の筆ごとに行うものではありません。評価の単位は「1画地の宅地」であり、その考え方は財産評価基本通達7-2に定められています。1筆の土地が2画地になることもあれば、3筆がまとめて1画地になることもある。分け方ひとつで評価額が大きく変わるのが、この論点の怖いところであり、面白いところでもあります。さらに、遺産分割で不合理に細かく分けた場合には「著しく不合理な分割」として、分割前の画地を単位に評価されることがあります。本記事では、評価単位という考え方がなぜ置かれているのか、自用地・貸宅地・貸家建付地・使用貸借・共有といった場面ごとの判定、そして不整形地補正や地積規模の大きな宅地の評価とどうつながるのかまで、通達の原文にあたりながら整理します。

終活
2026年8月22日

尊厳死宣言公正証書とリビング・ウイル――延命治療についての意思の残し方、法的拘束力の限界、ACP(人生会議)との関係を完全ガイド

「管につながれてまで生きたくないのです。そう書いておけば、その通りにしてもらえますか」――終活のご相談で、静かにこう切り出される方がいらっしゃいます。意思を残す方法として知られるのが、リビング・ウイル(尊厳死の宣言書)と、公証人が作る尊厳死宣言公正証書です。ただし2026年8月時点で、日本には尊厳死を一般的に制度化した法律はなく、これらの書面が医師や医療機関を直接法的に拘束するものとはいえない、というのが一般的な理解です。では無意味かというと、まったく違います。厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」(2018年3月改訂)は、本人の意思を基本に、医療・ケアチームで慎重に判断し、話し合いを繰り返して文書化・共有する手順を示しています。書面は「命令」ではなく、ご家族が本人の意思を推定するときの、いちばん確かな手がかりとして働くのです。本記事では、尊厳死と安楽死の違い、公証人手数料令にもとづく1万3,000円程度という費用の目安(2025年10月改定後)、ACP(アドバンス・ケア・プランニング、2018年11月に愛称「人生会議」を公表)の考え方、そして「遺言に書いても機能しない理由」(民法985条)や任意後見人に包括的な医療同意権が当然には生じないことまで、落ち着いて整理します。

遺言書
2026年8月22日

清算型遺贈(換価型遺言)とは――不動産を売ってお金で遺す遺言の書き方、相続登記を経由する登記実務、譲渡所得税の落とし穴を完全ガイド

「実家は、もう誰も住みません。私が死んだら売って、そのお金を子どもたちで分けてほしいのです」――遺言のご相談で、ほんとうによくいただくご希望です。ところが「甲土地を長男に相続させる」という通常の書き方では、この願いはそのまま実現できません。そこで用いられるのが清算型遺贈(換価型遺言)――換価・清算・分配の3つを遺言に書き込み、遺言執行者が実行する方式です。遺言執行者は、遺言の内容を実現するため必要な一切の行為をする権利義務を有し、遺贈の履行は遺言執行者のみが行うことができるとされています(民法1012条)。最大の値打ちは、「売るかどうか」という決断をご本人が生前に済ませてしまえること。遺されたご家族に議論をさせずに済みます。一方で、知らないと必ずつまずく実務論点が2つ。ひとつは登記で、買主名義に移す前提としていったん相続人名義への相続登記を経由する取扱いとされています(昭和45年10月5日民事甲第4160号民事局長回答)。もうひとつは税金で、売却に伴う譲渡所得税を誰が負担するかは事案により整理が分かれ得る論点です。書き方・登記・税金・段取り、そして「売れなかったとき」の備えまで整理します。

相続税
2026年8月21日

国外財産調書・財産債務調書と相続――5,000万円超と10億円以上の提出義務、加算税5%の軽減と加重、相続があった年の特例を完全ガイド

「父の海外口座を、税務署は把握しているのでしょうか」――そのご質問への答えの土台にあるのが、2つの調書制度です。国外財産調書は、非永住者以外の居住者で、その年の12月31日において国外財産の価額の合計額が5,000万円を超える方に提出義務があります(国外送金等調書法5条1項)。「以上」ではなく「超える」がポイントです。財産債務調書は、その年分の総所得金額および山林所得金額の合計額が2,000万円超かつ財産3億円以上、または国外転出特例対象財産1億円以上の方が対象で(同法6条の2第1項)、令和5年分以後は所得金額にかかわらず財産10億円以上の方も加わりました(同条3項)。提出期限はいずれも令和5年分以後、翌年6月30日――従来の3月15日から変わっています。実利として大きいのが加算税で、期限内に提出し記載があった財産の申告漏れは5%軽減、不提出・記載漏れは5%加重。資料の提示・提出を指定期限(原則60日以内)までに行わないと、軽減は受けられず加重は10%に引き上げられます。そして相続開始年については、令和2年分以後、相続または遺贈により取得した財産を記載しないで提出でき、提出義務の判定でも除外できる特例があります。被相続人の確定申告書に綴じられた調書は、海外資産を洗い出す最良の手がかりにもなります。

相続手続き実務
2026年8月21日

確定拠出年金(iDeCo・企業型DC)の死亡一時金とは――受取人の順位・5年の請求期限・500万円×法定相続人の非課税枠を完全ガイド

「父のiDeCoは、遺産分割協議書に書くのでしょうか」――いいえ、書きません。確定拠出年金の資産は、加入者が亡くなると「死亡一時金」として遺族に支給され、その受取人は遺言でも遺産分割でもなく、確定拠出年金法41条が決めています。生前に指定していればその方へ、指定がなければ①配偶者(事実婚を含む)、②生計を維持していた子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹、③その他の生計維持親族、④生計維持関係のなかった子・父母等という法定順位。民法の法定相続人と一致するとは限りません。指定できる範囲も配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹に限られ、おい・めいや友人は指定できません。期限は2つ。死亡から5年間、裁定請求がないと死亡一時金を受けられる遺族はないものとみなされ、資産は相続財産として扱われます(同条5項・4項)。もうひとつは税務の3年で、支給額が死亡後3年以内に確定すれば退職手当金等としてみなし相続財産となり(相続税法3条1項2号)、500万円×法定相続人の非課税枠(同法12条1項6号)を使える余地があります。3年経過後の確定は一時所得で、非課税枠は使えません。通帳のない財産だけに、ご家族が存在に気づかないことも少なくありません。

不動産
2026年8月17日

所有者不明土地管理制度・管理不全土地管理制度とは――2023年4月施行、隣の空き地・放置された隣家に使える民法264条の2以下を完全ガイド

隣の空き地の持ち主が分からない。登記名義人は昔に亡くなり、相続人は十数人で所在も不明――そんなときに使える制度が、2023年(令和5年)4月1日に始まりました。従来の不在者財産管理人や相続財産清算人が「人の財産全体」を対象にしていたのに対し、新しい制度は「土地・建物ごと」に管理人を選任します。所有者不明土地管理命令は民法264条の2、所有者不明建物管理命令は264条の8。所有者は分かっているのに管理がひどい場合に使う管理不全土地管理命令は264条の9、管理不全建物管理命令は264条の14です。管理人の権限は、保存行為と性質を変えない範囲の利用・改良までで、売却など、これを超える行為には裁判所の許可が必要(264条の3第2項)。管理不全の場合は、許可に加えて所有者の同意も必要です(264条の10第3項)。手続きは不動産の所在地を管轄する地方裁判所で、公告と1か月以上の異議期間を経なければ命令は出せません(非訟事件手続法90条)。費用は条文上は所有者の負担ですが、実務では申立人が予納金を納めます。制度の全体像と使い分けを整理しました。

終活
2026年8月17日

遺品整理の進め方――始める時期と手順、業者に必要な許可、相続放棄の前に触ってはいけない物を完全ガイド

「四十九日までに実家を片づけてしまいたい」――そのお気持ちはよく分かります。けれども遺品整理は「片づけ」ではなく、相続手続きのいちばん最初の入口です。正しい順番は、①探す → ②分ける → ③処分する。多くのご家庭が③から始めてしまい、通帳・保険証券・権利証・督促状・パソコンといった手がかりを失ってしまいます。さらに深刻なのが相続放棄との関係で、相続財産の全部または一部を処分すると単純承認をしたものとみなされるとされています(民法921条1号)。業者選びで見るべきは肩書ではなく許可の有無です。中古品の買取り・転売には古物商許可(古物営業法3条)、家庭から出る廃棄物を業として収集運搬するには市町村長の一般廃棄物収集運搬業の許可(廃棄物処理法7条1項)。その場での買取りには8日間のクーリング・オフがあります(特定商取引法58条の14)。相続税では家庭用財産も評価対象で、1個または1組が5万円以下のものは一括評価できます(財産評価基本通達128)。

相続手続き実務
2026年8月16日

個人事業主が亡くなったときの相続手続き――廃業届と準確定申告4か月、青色申告は引き継がれない、消費税とインボイスの落とし穴を完全ガイド

「父の商売を、私がそのまま続けます。特別な手続きは要りませんよね」――お気持ちはよく分かるのです。看板も、取引先も、道具も、従業員も、昨日までと何ひとつ変わらないのですから。ところが税務の世界では、そうは見てくれません。法人であれば代表者が亡くなっても会社という人格は生き続けますが、個人事業は事業主その人と一体のものです。被相続人の事業は死亡により廃止され、それを続ける相続人は「新しく事業を始めた人」として扱われるのが基本の考え方になります。この一点を知らずにいると、期限のある手続きが次々と抜け落ちます。準確定申告は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内(所得税法125条)。そして最も見落とされやすいのが、被相続人が受けていた青色申告の承認は相続人に引き継がれないという点です。相続人が青色申告をするには、死亡日が1月1日〜8月31日なら4か月以内、9月1日〜10月31日ならその年の12月31日、11月1日〜12月31日なら翌年2月15日という特別な期限までに申請書を出さなければなりません。「4か月あるはず」と思い込んで年末に落とす事例が実際にございます。さらに消費税は、消費税法10条により相続があった年・翌年・翌々年で判定が変わり、年の途中から課税事業者になっていたということも起こります。インボイスの登録番号も引き継げず、「みなし登録期間」で凌ぐことになります。従業員の源泉徴収関係、減価償却資産の引継ぎ、純損失、そして許認可と保証債務まで、期限順に整理いたします。

不動産
2026年8月16日

相続した不動産の固定資産税――納税義務者は「1月1日の所有者」、相続人代表者指定届と現所有者申告、住宅用地特例が外れる怖さを完全ガイド

「亡くなった父あてに、固定資産税の納税通知書が届いてしまいました」――四月から六月にかけて、当センターに最も多く寄せられるご質問のひとつです。宛名は、もうこの世にいらっしゃらない方のお名前。「本人が亡くなっているのだから払わなくてよいのでは」とお考えになる方もいらっしゃいますが、そうはまいりません。固定資産税には賦課期日という考え方があり、その年の1月1日時点の所有者に1年分の税額が課されるしくみです(地方税法359条・343条)。年の途中で亡くなられても、日割りにはなりません。そして納付の義務は、地方税法9条により相続人へ引き継がれます。問題はそこから先で、相続人が何人もいるとき市区町村は誰に通知を送るのか――その答えが「相続人代表者指定(届出)書」(同9条の2)です。代表者になったからといって全額を負担すると決まるわけではない、という点は誤解の多いところです。さらに相続登記が終わらないまま年を越すと、343条2項の「現に所有している者」が納税義務者となり、2020年度に新設された現所有者の申告制度(同384条の3)による申告も必要になります。これは法務局への相続登記とはまったく別の手続きです。本記事では、口座振替が止まって滞納になっていた事例、登記のない未登記家屋の名義変更、そして住宅用地特例(同349条の3の2)が外れる二つの経路――建物の解体と、特定空家等・管理不全空家等への勧告――まで、条文に即して整理します。死亡時点で未払いの固定資産税が相続税の債務控除の対象になるかどうかも解説します。

相続手続き実務
2026年8月15日

上場株式・投資信託の相続手続き――解約ではなく「移管」が原則、評価は4つのうち最も低い価額、NISA口座と特別口座の落とし穴を完全ガイド

「証券会社から書類が届きました。解約して兄弟で分ければよいのですよね」――このご質問を、私たちは本当によくお受けいたします。しかし上場株式や投資信託は、預貯金のように解約して現金で受け取るのではなく、そのままの形で相続人名義の証券口座へ移す「移管」が原則です。現金で分けたいのであれば、移管したうえで相続人ご自身が売却するという順序を踏まなければなりません。相続人が証券口座をお持ちでなければ、口座開設から始まります。相続税の評価にも独特のルールがあり、上場株式は財産評価基本通達169により、課税時期の最終価格と、当月・前月・前々月の毎日の最終価格の月平均額という4つのうち、最も低い価額で評価できます。死亡日の終値だけで計算してしまう方が本当に多くいらっしゃいます。投資信託は同通達199により、基準価額から源泉徴収されるべき所得税額等と信託財産留保額・解約手数料を控除した「解約したときの手取額」で評価します。本記事では、残高証明書と「ほふり」への開示請求による現状把握、移管の7ステップ、換価分割で協議書に必ず書くべきこと、売却時の取得費は被相続人から引き継ぐこと(所得税法60条1項)まで整理します。あわせて、NISAの非課税は所得税・住民税の制度であって相続税は通常どおりかかること、相続人のNISA口座へは移せないこと、そして証券会社の残高証明書には出てこない「特別口座」、市場で売れない単元未満株、配当期待権(同通達193)といった見落としやすい論点も解説します。

遺言書
2026年8月15日

信託銀行の「遺言信託」とは――信託契約ではありません。兼営法1条1項4号の併営業務、遺言代用信託・家族信託との違い、費用と向き不向きを完全ガイド

「銀行から遺言信託を勧められました。財産を預けておけば、あとは全部やってくれるのですよね」――こうしたお問い合わせが年々増えております。そして、ほとんどの場合、まずお伝えしなければならないのは「そのお名前から想像されるものとは、少し違います」ということです。信託銀行が「遺言信託」の商品名で提供しているサービスは、信託法上の信託契約ではありません。その正体は、金融機関の信託業務の兼営等に関する法律(兼営法)1条1項4号が定める「財産に関する遺言の執行」を中核とする併営業務であり、実質は①遺言書づくりのご相談 ②遺言書の保管と定期的な照会 ③相続開始後の遺言執行という3点セットです。生前、財産の名義はご本人のままですので、認知症への備えにはなりません。本記事では、名前が招く三つの誤解を解いたうえで、信託法90条の遺言代用信託、受託者を家族とする家族信託との違いを表で整理し、さらに法律用語としての「遺言信託」が信託法3条2号の遺言による信託設定を指す別物であることもご説明します。費用は、申込時の基本手数料、毎年の保管料、そして本体である遺言執行報酬の三段階で、公表資料からみた水準もお示しします。あわせて、法人が遺言執行者になれる根拠(民法1009条の欠格事由は未成年者と破産者のみ)、遺言執行者を信託銀行・弁護士・司法書士・税理士・相続人本人のいずれにするかの比較、予備的な指定の重要性、そして遺言信託を使っても遺留分の問題は消えないことまで解説します。

終活
2026年8月13日

墓じまい(改葬)の手続き――墓埋法5条の改葬許可、埋蔵証明書と受入証明書、離檀料に法的な支払義務はあるのかを完全ガイド

「この先、誰があのお墓を守るのでしょうか」――終活のご相談で、もっとも切実に語られるテーマの一つがお墓の行く末です。ここで多くの方が驚かれるのが、ご自身の家のお墓であっても勝手には片付けられないという点です。遺骨を別の場所に移すことは法律上「改葬」にあたり、墓地、埋葬等に関する法律(墓埋法)5条1項により市町村長の許可が必要とされています。しかも申請先は、移す先の市町村ではなく、いま遺骨が現に存する地の市町村長(同条2項)です。許可されると改葬許可証が交付され(8条)、これが遺骨を動かすための通行手形になります。本記事では、改葬許可申請書の記載事項(施行規則2条1項)、埋蔵証明書と受入証明書、ご親族への相談から納骨までの7つのステップと期間の目安、墓石撤去や移転先ごとの費用の目安を整理します。そして現場でもっともこじれる「離檀料」については、支払義務を直接定めた法令の規定はなく、改葬許可の法定の要件でもないという法的整理と、埋蔵証明書が出ないときの実務的な対応をお伝えします。あわせて、お墓を誰が決められるのかという祭祀財産の承継(民法897条)、墓地・墓石が相続税の非課税財産である根拠(相続税法12条1項2号)、承継者がいないまま放置した場合の無縁墳墓の扱いまで解説します。

相続税
2026年8月13日

不整形地の相続税評価――かげ地割合と不整形地補正率、間口狭小・奥行長大との併用ルール(下限0.60)を完全ガイド

「相続税の申告書を見たら、実家の土地が路線価どおりの金額でした。でも、うちの土地は形がいびつなのですが」――こうしたご相談は少なくありません。路線価は、その道路に面する標準的な(=整った形の)宅地の1㎡あたりの価額です。ですから、いびつな形の土地を路線価そのままで評価すると、実態より高い評価額になってしまいます。国税庁の財産評価基本通達20「不整形地の評価」は、この不合理を調整するため不整形地補正率という減額のしくみを定めています。減額の大きさを決めるのが「かげ地割合」=(想定整形地の地積-評価対象地の地積)÷想定整形地の地積という数字で、分母を取り違える誤りが実務では目立ちます。本記事では、想定整形地の取り方、付表4「地積区分表」と付表5「不整形地補正率表」の読み方、路線価20万円・400㎡の土地で約705万円の減額になる計算例、そして実務でもっとも間違いの多い間口狭小補正率・奥行長大補正率との併用ルール(付表5の注3。乗じたうえで最小値0.60、奥行長大の適用があるときは選択適用も可)を、条文に即して整理します。通達20が認める4つの計算方法、地積規模の大きな宅地・無道路地・セットバックなど他の減額規定との関係、申告後に気づいた場合の更正の請求まで解説します。

相続手続き実務
2026年8月12日

貸金庫の相続手続き――相続人全員の立会いが原則、開かないときの事実実験公正証書、中身を持ち出すと相続放棄できなくなる理由を完全ガイド

「父の遺品から銀行の貸金庫の鍵が出てきました。中を確認したいのですが」――このご相談は多くいただきますが、そのほとんどの方が、窓口で断られるとは思っていらっしゃいません。契約者が亡くなったことを金融機関が把握した時点で、貸金庫は利用停止になります。鍵とカードを持っていても、暗証番号を知っていても、相続人の一人というだけでは開けてもらえないのが一般的な運用です。生前に届け出ていた代理人の権限も、本人の死亡によって代理権が終了するため、そのままでは使えません。開扉には原則として相続人全員の同意が必要で、一人でも押印を拒めば止まります。相続人がそろわないときは、公証人に開扉へ立ち会ってもらい中身を記録する「事実実験公正証書」(公証人法35条、事実実験1時間までごとに13,000円が基本・休日夜間の加算や日当旅費は別途)という方法があります。そして最も注意すべきは、中の現金や貴金属を持ち出す行為です。相続財産の処分として法定単純承認(民法921条1号)に当たると評価されるおそれがあり、その後の相続放棄ができなくなる可能性があります。遺言執行者への権限付与、遺言書を貸金庫に入れてはいけない理由、現金・金地金・名義預金という申告漏れの温床まで、実務に即して整理します。

遺言書
2026年8月12日

亡くなった人の遺言書の探し方――公証役場の遺言検索システムと法務局の遺言書保管事実証明書で確実に確認する方法を完全ガイド

「遺言書は、たぶん書いていないと思います」――四十九日を過ぎたころ、ご遺族からこう伺うことがよくあります。けれども「たぶん書いていない」と「書いていないことを確認した」は、まったく違います。遺産分割協議をすべて終えたあとで遺言書が発見されれば、その協議は前提を欠いたものとして、相続登記も預金の解約も含めてやり直しを迫られかねません。幸い、調べる方法は制度として用意されています。公正証書遺言は、日本公証人連合会の遺言検索システムにより全国どこの公証役場からでも検索でき、検索自体の手数料はかかりません(平成元年1月1日以降に作成されたものが対象)。法務局に預けられた自筆証書遺言は、遺言書保管事実証明書(1通800円)で有無を確認でき、保管されていない場合もその旨の証明書が交付されます。内容の確認と相続登記に使えるのが遺言書情報証明書(1通1,400円)ですが、これを請求すると他の相続人全員へ関係遺言書保管通知が届くという重要な効果があります。一方、自宅や貸金庫にある自筆証書遺言はどちらの検索にも出てきません。三つのルートの回り方、封印のある遺言書を開けてはいけない理由(民法1004条3項・1005条)、見つからなかったときの備えまで、法務省・日本公証人連合会の一次情報をもとに整理します。

相続税
2026年8月11日

ゴルフ会員権・貸付金・車・骨董品の相続税評価――「その他の財産」の評価方法を財産評価基本通達で完全ガイド

相続財産は土地・建物・株式・預貯金だけではありません。使わなくなったゴルフ会員権、親族や自分の会社に貸したお金、応接間の掛け軸、ガレージの車、そして電話加入権――これらはすべて「その他の財産」として評価し、申告書に計上しなければならないものです。土地の路線価のような分かりやすい物差しがないため、放置されて申告漏れの温床になりやすいところでもあります。実は、これらにも国税庁の財産評価基本通達に番号のついたルールが用意されています。ゴルフ会員権は取引相場があれば通常の取引価格の70%(通達211)、貸付金・売掛金は元本と既経過利息の合計(通達204)で回収不能分は元本に算入しない(通達205)、家具や家電は1個または1組の価額が5万円以下なら一括評価できる(通達128)、書画骨とう品は売買実例価額と精通者意見価格を参酌する(通達135)。評価しなくてよいゴルフ会員権の類型、役員貸付金という最も見落とされやすい財産、そして2021年1月1日以後に変わった電話加入権の取扱いまで、国税庁の一次情報をもとに整理します。

不動産
2026年8月11日

住所等変更登記の義務化――2026年4月1日スタート、2年以内・5万円以下の過料、スマート変更登記と所有不動産記録証明制度

2026年4月1日から、不動産の所有者として登記されている方が住所や氏名を変えたときは、変更の登記を申請することが法律上の義務になりました(不動産登記法76条の5)。期限は変更があった日から2年以内で、正当な理由なく怠った場合は5万円以下の過料の対象とされています。そしてこれは、これから引っ越す人だけの話ではありません。施行日より前に住所が変わっていて登記が古いままの不動産も対象で、法務省は2028年3月31日までの対応が必要であると案内しています。一方で負担を軽くする仕組みも用意されました。あらかじめ検索用情報を申し出ておけば、法務局が変更を把握して職権で登記を直してくれる「スマート変更登記」です(同法76条の6)。さらに2026年2月2日には、亡くなった方の不動産を全国まとめて探せる所有不動産記録証明制度(同法119条の2)も始まっています。相続登記義務化との関係、手続きと費用、証明書の網羅性の限界まで、法務省の一次情報をもとに整理します。

相続税
2026年8月7日

事業承継税制(法人版)とは――自社株の相続税・贈与税が100%猶予されるしくみと、2027年9月30日に延びた特例承継計画の期限

自社株は、換金できないのに評価額だけが高いという厄介な財産です。後継者は一円も現金を手にしないまま、多額の相続税・贈与税を負担しかねません。これを猶予し、最終的に免除するのが事業承継税制です。特例措置は取得したすべての株式が対象で納税猶予割合は100%、一般措置は発行済議決権株式総数の3分の2までで相続税は80%。2026年度の税制改正により、特例措置の入口である「特例承継計画」の提出期限は2027年9月30日まで延長されましたが、贈与・相続を実行する期限は2027年12月31日のまま据え置かれています。延びたのは入口だけで、実行までは約3か月しかありません。会社・先代経営者・後継者それぞれの要件、都道府県知事の認定を挟む手続きの流れ、申告後5年間の年次報告とその後3年ごとの継続届出、そして猶予が打ち切られる場面まで、中小企業庁・国税庁の一次情報をもとに整理します。

相続の基礎知識
2026年8月7日

前妻の子・再婚家庭の相続――前婚の子の相続分は同じ、連れ子は養子縁組が必要、除いた遺産分割は無効

離婚・再婚を経たご家庭の相続では、「前の奥さまとのお子さまの署名も必要です」と銀行に言われて手が止まる、という場面がほぼ必ず訪れます。結論から申し上げると、前婚のお子さまは現在の配偶者との間のお子さまとまったく同じ相続分の相続人です(民法887条・900条)。離婚で切れるのは夫婦の関係であって、親子の関係は切れません。一方、離婚した元配偶者に相続権はなく(民法890条)、再婚相手の連れ子は養子縁組をしていなければ相続人になりません。20年育てたお子さまが一円も受け取れず、何十年も会っていないお子さまが法定相続分を受け取る――その落差が紛争を生みます。前婚の子を除いた遺産分割協議は無効であること、戸籍の附票をたどる所在調査、遺言を書いても遺留分(民法1042条)は残ること、養子の数の制限(相続税法15条2項)まで、実務の順序にそって整理します。

相続手続き実務
2026年8月4日

相続人が海外にいるときの手続き――署名証明・在留証明の取り方と、遺産分割・相続登記・相続税の実務

相続人が海外にお住まいだと、日本に住民登録がないため印鑑証明書も住民票も取得できません。その代わりとなるのが、日本の大使館・総領事館が発給する「署名証明(サイン証明)」と「在留証明」です。署名証明には、書類と綴り合わせる形式1と、署名のみを単独で証明する形式2があり、相続手続きでは形式1を求められることが多くあります。領事の面前で署名することが前提のため、届いた書類に先にサインしてしまうと証明を受けられず、送り直しになります。遺産分割協議書を相続人ごとに1通ずつ作る方式、相続登記の3年ルールと相続人申告登記、相続税の納税義務の区分と10年ルール、納税管理人の届出(国税通則法117条)まで、実際に進む順序にそって整理します。申告期限は海外在住でも10か月です。

相続税
2026年8月4日

名義株とは――設立時の「名義借り」が招く相続トラブルと、生前に解消する手順

株主名簿には親戚や知人の名前があるけれど、出資したのは社長本人――これが「名義株」です。平成2年商法改正(平成2年法律第64号、1991年4月1日施行)より前は、株式会社の設立に発起人が7人以上必要とされていたため、名前を借りて設立された会社が数多く残っています。相続税の課税実務は名義ではなく実質で財産の帰属を判断しますので、名義株を放置したまま相続が起きると、申告漏れを指摘されるだけでなく、名義人のご遺族から権利を主張されて会社の支配権が揺らぎます。判定材料の5点、財産評価基本通達188による同族株主等の判定と評価方式への影響、そしてみなし贈与(相続税法9条)に注意しながら生前に解消する手順を整理します。

相続の基礎知識
2026年8月3日

内縁の配偶者・事実婚パートナーに相続権はあるのか――借家の承継、特別縁故者、遺言で備える方法

何十年連れ添っても、婚姻届を出していない内縁の配偶者・事実婚パートナーは法定相続人になりません。民法890条の「配偶者」は、民法739条により届出をした配偶者を指すと解されているためです。法定相続分はなく、遺留分もなく、遺産分割協議に参加する立場もありません。一方で、居住用建物の賃借人が相続人なしに亡くなったときの借地借家法36条による承継、相続人がいる場合の賃借権の援用(最判昭和42年2月21日)、相続人が一人もいないときの特別縁故者への財産分与(民法958条の2)といった受け皿もあります。遺族年金は厚生年金保険法3条2項により内縁の配偶者も対象となり得ます。住まいの守り方、公正証書遺言・生命保険・死後事務委任契約という生前の備え、そして相続税の2割加算と使えない特例まで、条文にそって整理します。

相続手続き実務
2026年8月3日

住宅ローンが残ったまま亡くなったら――団体信用生命保険で完済されるしくみと、債務控除できない理由

住宅ローンを返済中の方が亡くなったとき、まず確認すべきは団体信用生命保険(団信)の加入の有無です。団信付きであれば、被保険者の死亡により保険金が支払われてローンは完済されるのが一般的で、ご遺族が返済を引き継ぐことにはなりません。保険金を受け取るのは相続人ではなく金融機関です。ところが相続税では逆の結論になります。国税庁は、団信により返済が免除される住宅ローンは相続人が支払う必要のない債務であるため、債務控除の対象にならないとしています。残高証明書の数字をそのまま申告書に書き写す誤りに注意が必要です。フラット35で団信に入っていない場合の扱い、ペアローンで「片方しか消えない」問題、抵当権抹消登記(不動産1個1,000円)と相続登記の3年まで、一次情報にそって整理します。

相続の基礎知識
2026年8月1日

婚外子・認知された子の相続権――最高裁平成25年9月4日決定で嫡出子と同等に、死後認知3年と価額請求

相続手続きのために戸籍を出生までさかのぼると、家族の誰も知らなかった認知の記載が見つかることがあります。認知された子は法律上の子であり、第一順位の相続人です。かつては嫡出子の2分の1とされていた相続分も、最高裁大法廷の平成25年9月4日決定を受けた民法改正により、いまは嫡出子と同等になりました(平成25年9月5日以後に開始した相続に適用)。父子関係は原則として認知によって生じること(民法779条)、その効力は出生時にさかのぼること(784条)、父の死後に認知を求める訴えには死亡の日から3年という期限があること(787条ただし書)、遺産分割の後に認知された人は価額の支払を請求できること(910条)まで、条文と法務省・国税庁の一次情報にそって整理します。相続税の更正の請求(相続税法32条1項2号・4か月)にも触れます。

不動産
2026年8月1日

相続した不動産を売ったときの譲渡所得税――取得費と取得日の引継ぎ、概算取得費5%、空き家3,000万円控除

「相続税を納めたのに、実家を売ったらまた税金がかかるのですか」――かかります。相続した不動産の売却益にかかる譲渡所得税は、相続税とはまったく別の税金です。しかも相続特有のルールがあります。所得税法60条1項により取得費も取得の時期も被相続人から引き継ぐため、親が長く持っていた土地なら相続してすぐ売っても長期譲渡所得(20.315%)になる一方、取得費も当時の購入代金のままです。契約書が見つからず概算取得費5%しか使えないと、税額は跳ね上がります。相続空き家の3,000万円特別控除(措置法35条3項・国税庁案内では令和9年12月31日までの譲渡が対象、令和6年からは相続人3人以上で2,000万円)と、取得費加算の特例(措置法39条・目安3年10か月)の要件と選択関係まで、国税庁の一次情報にそって整理します。

相続手続き実務
2026年7月30日

遺言と異なる遺産分割はできるのか――全員の合意・受遺者と遺言執行者の同意・贈与税の線引き

遺言書があるのに、家族の今の事情とは合っていない――実務では珍しくない場面です。実務上は、相続人全員(相続人以外の受遺者がいればその方も含む)の合意があれば、遺言と異なる遺産分割に組み替えられると整理されています。国税庁の質疑応答事例でも、相続人全員の協議で遺言と異なる分割をした場合は原則として贈与税の課税は生じないとされています。ただし、遺言執行者がいる場合の民法1013条(執行を妨げる行為は無効)、「相続させる」旨の遺言(特定財産承継遺言・最判平成3年4月19日)の扱い、いったん取得してから渡すと贈与税になる線引き、相続登記の順序という4つの関門があります。誰の同意が必要か、税金と登記の注意点まで、条文と一次情報にそって整理します。

不動産
2026年7月30日

セットバック・都市計画道路予定地・私道の相続税評価――道路がらみで下がる3つの減額

相続した土地の評価は、路線価に地積を掛けて終わりではありません。「道路」との関係で評価額を下げられる場合があり、代表的なのがセットバックを必要とする宅地(財産評価基本通達24-6)、都市計画道路予定地の区域内にある宅地(同24-7)、私道(同24)の3つです。セットバックは「その部分の地積÷総地積×0.7」を乗じた金額を控除、都市計画道路予定地は地区区分・容積率・地積割合で決まる補正率を乗じ、私道は100分の30、不特定多数の者の通行の用に供されているときは評価しません。前提となる建築基準法42条2項道路と接道義務、都市計画法53条・54条の建築制限、通達24-7の補正率表、公図・路線価図・道路台帳・都市計画図という調べ方まで、通達の本文にそって整理します。

遺言書
2026年7月29日

遺言書の付言事項とは――法的効力はある?家族への想いを残し「争族」を防ぐ書き方と例文

付言事項(ふげんじこう)とは、遺言書に添えて、遺言者が家族への想いや遺産の分け方の理由を書き残す部分です。付言に法的効力はなく、相続人が従う義務は生じません。それでも、遺言者本人の言葉で「なぜこう分けたのか」「これまでありがとう」を伝えることで、家族の納得を得て、いわゆる「争族」を防ぐ効果が期待できます。とくに遺留分がからむ偏った配分では、理由と想いを添えた一文が、感情的な対立を和らげる鍵になります。付言に書くとよい5つの内容、遺留分に配慮する書き方、公正証書遺言・自筆証書遺言での扱い、そのまま参考にできる例文、責める言葉を避けるなどの注意点まで、わかりやすく整理します。

相続手続き実務
2026年7月29日

戸籍の広域交付制度とは――2024年3月開始、最寄りの役所で全国の戸籍が一度に取れるしくみ

戸籍の広域交付制度とは、本籍地が遠方でも、最寄りの市区町村の窓口で全国の戸籍謄本をまとめて請求できるしくみです(2024年3月1日開始・戸籍法の改正)。相続では、亡くなった方の「出生から死亡まで」の連続した戸籍を集める必要があり、従来は本籍地を転々とたどる大変な作業でしたが、この制度で一つの窓口に集約しやすくなりました。一方、請求できるのは本人・配偶者・直系尊属・直系卑属に限られ、兄弟姉妹は対象外、郵送・オンライン・代理は不可、附票やデータ化前の古い戸籍は取れないなどの注意点もあります。誰がどこでどう請求するか、取れる戸籍・取れない戸籍まで、一次情報をもとに整理します。

相続手続き実務
2026年7月28日

相続回復請求権とは――民法884条、他人に奪われた相続を取り戻す権利と「5年・20年」の期間

本当は自分も相続人のはずなのに、いつの間にか他人が遺産を占有していた――そんなとき、本当の相続人(真正相続人)が奪われた相続財産の回復を求められるのが「相続回復請求権」(民法884条)です。請求の相手は、相続権がないのに相続人らしく振る舞う「表見相続人」。この権利には期限があり、侵害された事実を知った時から5年、相続開始の時から20年で消滅するとされます。共同相続人どうしの独占でも問題になり得ますが、相手の認識しだいで結論が分かれます。時効の起算点、ほかの手続きとの関係、そして「もう手遅れ」と自己判断せず早めに確かめることの大切さまで、一次情報をもとに整理します。

相続の基礎知識
2026年7月28日

同時死亡の推定とは――民法32条の2、親子が同時に亡くなったときの相続・代襲相続・生命保険の扱い

事故や災害で家族が同時に亡くなり、どちらが先だったか分からない――そんなとき、法律は「同時に死亡したものと推定する」というルールを用意しています(民法32条の2)。同時死亡と推定される者どうしの間では、互いに相続は起こりません。そのため誰が相続人になり、相続分がどう変わるのかが大きく動きます。一方で、亡くなった子に子(孫)がいれば代襲相続は起こり、「相続がゼロ」になるわけではありません。生命保険金や遺言の扱い、そして「みなす」ではなく「推定」だからこそ反証で覆せる点まで、具体例を交えて一次情報をもとに整理します。

相続の基礎知識
2026年7月28日

胎児の相続権とは――「既に生まれたものとみなす」民法886条、死産のとき・遺産分割・相続税の扱い

「夫が急に亡くなったとき、お腹に赤ちゃんがいた。まだ生まれていないこの子にも相続の権利はあるの?」――結論から言えば、胎児にも相続権があります。民法886条1項は「胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす」と定め、被相続人の死亡時に胎児だった子も相続人になります。ただし死体で生まれたとき(死産)は適用されません(886条2項)。判例・通説では、胎児は生きて生まれてはじめて相続開始時にさかのぼって相続人になるため、実務では出生を待って遺産分割を行うのが原則です。生まれた後は母との利益相反で特別代理人が必要になることが多く、胎児への遺贈(民法965条)や胎児認知(民法783条)という備えもあります。遺産分割の進め方・代襲相続・相続税の扱いまで一次情報で整理します。

遺言書
2026年7月28日

遺言能力とは――何歳から遺言できる?認知症でも有効な遺言、成年被後見人と医師2人の立会い

「認知症の父が書いた遺言は有効なのか」「遺言は何歳から書けるのか」――遺言をめぐっては、そもそも遺言をする力(遺言能力)があったかがしばしば争いになります。民法961条により満15歳から遺言でき、民法963条により遺言能力は「遺言をする時」に備わっていなければなりません。ここで大切なのは、認知症の診断があっても直ちに無効になるわけではなく、遺言時に判断する力があったかで決まるということ。成年被後見人が遺言するには能力を一時回復し、医師2人以上の立会いが必要です(民法973条)。被保佐人・被補助人は同意なしに遺言できます。遺言能力の考え方、認知症と遺言、成年被後見人の特別ルール、遺言無効確認の訴えまで一次情報で整理します。

相続手続き実務
2026年7月27日

相続の「使途不明金」とは――親の預金が使い込まれていたら、取り戻せる?不当利得返還と民法906条の2

「亡くなった親の預金が、いつのまにか減っていた」――相続の現場では、こうした使途不明金・使い込みのトラブルが後を絶ちません。使途不明金とは、被相続人の預金が引き出され、使い道がはっきりしないお金のこと。とくに同居・介護していた相続人による使い込みが疑われるケースが典型で、遺産分割をこじらせます。無断で使い込まれたお金は、不当利得返還請求(民法703条)や不法行為による損害賠償請求(民法709条)で取り戻せる可能性があります。2019年施行の民法906条の2により、遺産分割前に処分された財産も相続人全員の同意で遺産分割の対象に含められるようになりました。証拠となる預金取引履歴の集め方、消滅時効(不法行為は3年)、管理する側が疑われないための備えまで一次情報で整理します。

終活
2026年7月27日

遺贈寄付とは――遺言で財産を社会に遺すしくみ、相続税がかからない理由と「みなし譲渡課税」の落とし穴

遺贈寄付とは、遺言によって財産の一部または全部を、公益法人・NPO・自治体・母校などに無償で寄付することです。おひとりさまや子のないご夫婦の増加を背景に関心が高まっています。相続税は「個人」にかかる税のため、法人が遺贈を受けても相続税はかかりません。相続人が相続財産を申告期限までに国や特定の公益法人へ寄付すると相続税が非課税になる制度(租税特別措置法70条)もあります。一方、土地や株式など含み益のある財産を法人に遺贈すると、みなし譲渡所得課税(所得税法59条)で相続人に思わぬ税負担が生じることがあります。包括遺贈と特定遺贈の違い、遺留分への配慮、寄付先への事前相談まで、遺贈寄付のしくみと落とし穴を一次情報で整理します。

相続税
2026年7月25日

財産評価基本通達「総則6項」とは――路線価が否認される「伝家の宝刀」、最高裁令和4年判決とタワマン節税の限界

「借入で不動産を買えば相続税が大きく減る」――その先に待つのが「伝家の宝刀」と呼ばれる財産評価基本通達の総則6項です。相続税では土地を原則として路線価などで画一的に評価しますが、極端な節税で通達評価と実勢価格が大きく乖離する場合、国税当局が総則6項を発動し鑑定評価などで評価し直すことがあります。最高裁令和4年4月19日判決は、借入でマンションを購入し相続税をほぼゼロと申告した事案について、通達評価との乖離だけでなく租税負担の軽減を意図した行為があったとして、総則6項による評価を適法としました。2024年のマンション評価通達との関係、行き過ぎた節税の限界まで一次情報で整理します。

相続手続き実務
2026年7月25日

身近な人が亡くなったらすぐやる手続き――死亡届7日・世帯主変更14日・年金停止、期限つき手続きの一覧

身近な人が亡くなった直後には、法律で期限が定められた届出が数多くあります。死亡届は死亡を知った日から7日以内(戸籍法86条・87条)に市区町村へ提出し、これを出すことで火葬(埋葬)許可証が交付されます。世帯主変更届や健康保険・介護保険の資格喪失届は14日以内、年金の受給停止(年金受給権者死亡届)は厚生年金10日・国民年金14日以内が目安です。未支給年金の請求、口座凍結による引き落とし停止への注意、その先に続く準確定申告4か月・相続放棄3か月・相続税申告10か月の期限まで、死亡直後の手続きの全体像を一次情報で整理します。

終活
2026年7月23日

財産管理委任契約・見守り契約とは――判断能力があるうちから財産管理を託すしくみと任意後見との違い

「まだ元気だが入院で銀行に行けない」「ひとり暮らしで、もしものときに気づいてくれる人がいない」――そんな不安に応えるのが財産管理委任契約と見守り契約です。財産管理委任契約は民法の委任契約(643条)を基礎に、判断能力があるうちから財産管理や生活上の事務を第三者に託す私的な契約。判断能力の低下後に効力が生じる任意後見(家庭裁判所が任意後見監督人を選任してはじめて発効)と違い、元気なうちから使えるのが特徴です。見守り契約や、委任契約と任意後見をつなぐ「移行型任意後見」、監督人がなく権限濫用のリスクがある点まで、一次情報で整理します。

遺言書
2026年7月23日

負担付遺贈とは――「ペットの世話」「親の扶養」を条件に財産を渡す遺贈のしくみと落とし穴

「残していくペットの世話を条件に預金を渡したい」「弱った妻の扶養を条件に自宅を譲りたい」――こうした見返りのある財産の渡し方を遺言で実現するのが負担付遺贈です。受遺者が負う義務は遺贈の目的の価額を超えない限度まで(民法1002条1項)、遺贈はいつでも放棄でき(同986条1項)、放棄すれば負担の利益を受ける人が受遺者になれます。受遺者が負担を果たさないときは、相続人が催告のうえ家庭裁判所に遺言の取消しを請求できます(同1027条)。ペット・扶養・お墓の活用例や相続税・贈与税、7つの落とし穴まで一次情報で解説します。

不動産
2026年7月22日

無道路地の評価とは――道路に接しない土地の相続税評価、通路開設費用の控除(40%上限)

相続財産の中には「道路に接していない土地(無道路地)」が意外に多く見つかります。建物を建てるには、建築基準法上の道路(原則、幅員4m以上/同法42条)に2m以上接する接道義務(同法43条1項)を満たす必要があり、これを満たさない土地は利用が制限されるため評価が下がります。根拠は財産評価基本通達20-3。不整形地の評価などで計算した価額から、接道義務を満たす最小限の通路開設費用相当額(路線価×通路部分の地積)を控除しますが、控除の上限はその価額の40%。見落とすと相続税を払いすぎる典型論点を、計算例と落とし穴まで一次情報で解説します。

遺言書
2026年7月22日

遺留分の生前放棄とは――家庭裁判所の許可が必要な理由、相続放棄との違い・要件・落とし穴

「家業を継ぐ長男に財産を集中させたい。ほかの子には遺留分を放棄しておいてもらえないか」――事業承継の場面でよくいただくご相談です。相続開始前に遺留分を放棄するには、家庭裁判所の許可を受けたときに限り効力が生じます(民法1049条1項)。当事者間の念書だけでは無効です。遺留分の放棄は「最低限の取り分」の放棄にとどまり、相続人の地位は失わない点で相続放棄とは別物。家裁は自由意思・合理性・代償を審査し、一人が放棄しても他の相続人の遺留分は増えません(1049条2項)。事業承継での活用と落とし穴まで一次情報で解説します。

相続手続き実務
2026年7月21日

亡くなった人の年金の手続き――未支給年金と遺族年金、相続財産になるか・税金はかかるか

年金受給者が亡くなったときの「未支給年金」と「遺族年金」を整理します。未支給年金は生計を同じくしていた遺族(配偶者→子→父母…の順)が自己固有の権利として請求するもので、相続財産には含まれません(最高裁平成7年11月7日判決)。税務上は受け取った遺族の一時所得で相続税はかからず、請求の時効は5年。一方、遺族基礎年金・遺族厚生年金は所得税も相続税も非課税で、遺族厚生年金は報酬比例部分の4分の3が基本額。年金受給権者死亡届はマイナンバー収録済みなら原則不要。手続きと落とし穴まで一次情報で解説します。

相続税
2026年7月21日

相続税の更正の請求――払い過ぎた相続税を取り戻す手続き、通則法23条の5年と相続税法32条の4か月

相続税を払い過ぎたときは「更正の請求」で還付を受けられます。通常の更正の請求は国税通則法23条1項により法定申告期限から5年以内。一方、相続税法32条1項は相続特有の後発的事由(未分割の分割確定・遺留分侵害額請求の確定・認知等による相続人の異動・遺贈の放棄など)が生じた場合の特則で、事由を知った日の翌日から4か月以内が期限です。申告期限後3年以内の分割見込書を添付していれば、分割確定後に配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を事後適用できます。修正申告との違い、必要書類、還付までの流れまで一次情報で解説します。

相続税
2026年7月20日

貸家建付地・貸家の相続税評価――アパートの敷地はなぜ下がるのか、通達26・93・94の算式と賃貸割合

同じ広さの土地でも、自宅の敷地と賃貸アパートの敷地では相続税の評価額が変わります。人に貸している建物の敷地は「貸家建付地」として、財産評価基本通達26により「自用地としての価額 − 自用地としての価額 × 借地権割合 × 借家権割合 × 賃貸割合」で評価するためです。借家権割合は通達94により国税局長の定める割合(現在はすべての国税局で30%)、賃貸割合は戸数ではなく各独立部分の床面積で計算し、継続的に賃貸されていた部屋が課税時期に一時的に空室だった場合は賃貸中に含めて差し支えないとされています。建物側は通達93による貸家の評価。一方で、現実に貸し付けられていない家屋の敷地、社宅の敷地、親族への無償の貸付け(使用貸借)は減額できません。小規模宅地等の特例(貸付事業用宅地等200㎡・50%減額)と、相続開始前3年以内に貸付けを始めた土地を原則除外する「3年縛り」まで、通達の原文にさかのぼって整理します。

相続の基礎知識
2026年7月20日

借金・保証債務の相続――可分債務は「当然に分割」される、連帯保証・根保証・身元保証の分かれ目

「遺産分割協議で借金は長男が全部引き受けると決めたから、妹たちに請求は来ない」――これは相続でもっとも危険な誤解のひとつです。被相続人の金銭債務のような可分債務は、遺産分割を待たずに相続開始と同時に法定相続分に応じて当然に分割承継されます(最高裁昭和34年6月19日第二小法廷判決・民集13巻6号757頁)。相続人間の合意は内部の取り決めにすぎず、債権者には主張できません。債権者にも効かせるには民法472条の免責的債務引受により債権者の契約または承諾を得る必要があります。あわせて、連帯保証債務の相続、個人根保証の極度額(民法465条の2第2項)と保証人の死亡による元本確定(民法465条の4第1項3号)、身元保証の一身専属性、相続税の債務控除(相続税法13条・14条1項、相基通14-3)、団体信用生命保険付き住宅ローンの扱いまで一次情報で整理します。

相続手続き実務
2026年7月19日

遺産分割前に生じた家賃・配当は誰のものか――最高裁平成17年9月8日判決と遺産共有中の「果実」の扱い

相続が起きてから遺産分割がまとまるまでの間も、賃貸アパートには家賃が入り、株式には配当が支払われます。この「空白期間」に生まれたお金は誰のものでしょうか。最高裁平成17年9月8日判決は、遺産である賃貸不動産から相続開始後・遺産分割前に生じた賃料債権は遺産とは別個の財産であり、各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得し、その帰属は後の遺産分割の影響を受けない(民法909条の遡及効が及ばない)と判断しました。一方、被相続人の預貯金債権は最高裁平成28年12月19日大法廷決定により遺産分割の対象とされており、結論が逆になります。賃料の所得税の申告、相続人全員の合意による取扱いと民法906条の2、遺産共有中の株式(民法898条2項・会社法106条)まで、一次情報に沿って整理します。

相続税
2026年7月19日

非上場株式(取引相場のない株式)の相続税評価――類似業種比準方式・純資産価額方式・配当還元方式を完全ガイド

中小企業のオーナーが亡くなったとき、最も評価が難しいのが自社株です。上場していない「取引相場のない株式」には市場価格がないため、財産評価基本通達178〜189に沿って評価します。まず「誰が取得したか」で分かれ、同族株主等は原則的評価方式、同族株主以外の株主等は配当還元方式となります(通達188)。次に会社規模を大会社・中会社・小会社に区分し(通達178。従業員数70人以上は大会社)、その区分に応じて評価方式が決まります(通達179。中会社はLの割合0.90・0.75・0.60による併用方式)。類似業種比準方式(通達180・斟酌率0.7/0.6/0.5)、純資産価額方式(通達185。評価差額に対する法人税額等相当額の控除割合は通達186-2が定め、令和8年4月1日以後に取得した財産の評価から37%→38%)、株式等保有特定会社など特定の評価会社(通達189)までを整理します。

相続税
2026年7月18日

住宅取得等資金の贈与の非課税特例とは――親・祖父母から最大1,000万円を非課税でもらうしくみを完全ガイド

父母や祖父母から住宅の新築・取得・増改築の資金をもらったとき、一定額まで贈与税が非課税になるのが「住宅取得等資金の贈与の非課税特例」(租税特別措置法70条の2・国税庁タックスアンサーNo.4508)です。非課税限度額は省エネ等住宅で1,000万円、それ以外の住宅で500万円。2026年7月現在の適用期限は令和8年(2026年)12月31日までの贈与です。受贈者は贈与を受けた年の1月1日に18歳以上、合計所得金額2,000万円以下などが要件で、床面積は原則40㎡以上240㎡以下。暦年課税の基礎控除110万円や相続時精算課税とも併用でき、非課税とされた金額は生前贈与加算の対象になりません。ただし贈与税が0円でも申告が必須です。要件と落とし穴を国税庁の一次情報に沿って整理します。

相続の基礎知識
2026年7月18日

配偶者短期居住権とは――相続開始後も最低6か月は自宅に住み続けられる権利を完全ガイド

配偶者を亡くしたとき、残された配偶者が真っ先に不安に思うのが「この家に住み続けられるのか」ということです。これを守るのが「配偶者短期居住権」(民法1037条〜1041条・令和2年4月1日施行)。被相続人の建物に無償で住んでいた配偶者は、遺言や合意がなくても、遺産分割が終わるまで、あるいは最低でも相続開始から6か月間は、その家に無償で住み続けられます。財産的価値のない権利のため相続税の課税対象にならず、配偶者の取り分を減らすこともありません。相続放棄をしても成立し、成立しないのは配偶者居住権の取得・相続欠格(民法891条)・廃除の3つの場合のみ。名前の似た配偶者居住権(長期)との違いも一次情報に沿って整理します。

相続税
2026年7月17日

地積規模の大きな宅地の評価――三大都市圏500㎡・それ以外1,000㎡から使える「広い土地の減額」を完全ガイド

広い土地は、分譲するときに道路や公園にする「潰れ地」が必要になるため、路線価どおりの評価では高すぎます。これを調整するのが「地積規模の大きな宅地の評価」(財産評価基本通達20-2)。平成30年1月1日以後に取得した宅地から適用され、旧「広大地の評価」(旧通達24-4)に代わって新設されました。面積要件は三大都市圏で500㎡以上、それ以外の地域で1,000㎡以上で、判定は「筆」ではなく「1画地」ごと。市街化調整区域・工業専用地域・指定容積率400%(東京都特別区は300%)以上の宅地は対象外です。規模格差補正率=(A×B+C)÷A×0.8(小数点以下第2位未満切捨て)。要件と計算を国税庁の一次情報に沿って整理します。

不動産
2026年7月17日

借地権を相続したら――旧法と新法の分かれ目、存続期間、相続税評価、地主への承諾料の落とし穴

親が土地を借りて建てた家を相続するとき、一緒に受け継ぐのが「借地権」です。借地権は相続税がかかるれっきとした財産で、自用地としての価額の6割から9割になることもあります。平成4年8月1日施行の借地借家法(新法)と、それ以前に設定された旧借地法とで扱いが分かれます。普通借地権の存続期間は30年、最初の更新後は20年、その後は10年(借地借家法3条・4条)。相続税評価は自用地としての価額×借地権割合(財産評価基本通達27)、地主側の貸宅地(底地)は自用地としての価額×(1−借地権割合)(同25)。そして最大のポイントは、相続による承継は民法612条の「譲渡」にあたらないため、地主の承諾も承諾料も原則として不要という点です。

遺言書
2026年7月16日

「相続させる」と「遺贈する」はどう違う――特定財産承継遺言の意味と、登録免許税・農地・対抗要件の落とし穴

「甲不動産を長男に相続させる」という遺言は、2018年改正相続法で「特定財産承継遺言」と呼ばれます(民法1014条2項)。最高裁平成3年4月19日判決は、これを「遺贈」ではなく「遺産分割方法の指定」と位置づけました。相続人への承継なら登録免許税は1000分の4、相続人以外への遺贈は1000分の20。農地は相続なら農地法の許可不要、賃借権は賃貸人の承諾不要という違いもあります。一方、2019年施行の民法899条の2により、法定相続分を超える部分は登記などの対抗要件を備えないと第三者に対抗できません。書き方の違いと注意点を条文・判例に沿って整理します。

相続手続き実務
2026年7月16日

相続財産の調べ方――不動産は名寄帳、預金は残高証明、株は「ほふり」、保険は生命保険契約照会制度で漏れなく把握する

相続の第一歩は、亡くなった方の財産をもれなく洗い出す「財産調査」です。不動産は市区町村の名寄帳(固定資産課税台帳)、預貯金は金融機関の残高証明書、上場株式・投資信託は証券保管振替機構(ほふり)への開示請求、生命保険は生命保険協会の生命保険契約照会制度(1件あたりWEB申請6,000円・書面申請7,000円/2026年4月改定)、借金・負債はCIC・JICC・KSCの3信用情報機関への開示請求で調べられます。相続放棄の3か月、相続税申告の10か月という期限との関係もふまえ、プラスの財産もマイナスの財産も見落とさない調査の進め方を公的制度に沿って解説します。

相続手続き実務
2026年7月15日

遺産分割協議のやり直しはできるのか――合意解除・無効・取消しの違いと、税金という最大の落とし穴

いったん成立した遺産分割協議も、相続人全員が合意すれば解除して分け直すことができます(最高裁平成2年9月27日判決)。一方で「介護すると約束したのに守らない」といった債務不履行を理由に、一方的に解除することはできません(最高裁平成元年2月9日判決)。相続人を一人でも欠いた協議は原則として無効、だまされた・思い違いだった場合は錯誤・詐欺・強迫による取消しの余地があります。そして最大の落とし穴が税金――全員合意でやり直して財産を分け直すと、税務上は相続ではなく相続人どうしの贈与・譲渡と扱われ、贈与税や譲渡所得税がかかり得ます。判例と条文に沿って整理します。

相続税
2026年7月15日

相続税を申告しない・払い遅れるとどうなる――無申告加算税・過少申告加算税・重加算税・延滞税を完全ガイド

相続税の申告期限(10か月)に遅れたり、申告額が少なかったり、財産を隠したりすると、本来の相続税に加えて「加算税」と「延滞税」が課されます。無申告加算税は原則15%・20%・30%、過少申告加算税は10%・15%、悪質な隠蔽・仮装があれば重加算税35%・40%(繰り返しはさらに10%加重)。さらに納付が遅れた日数分の延滞税が別にかかります。一方で、税務調査の通知が来る前に自分から申告すれば大きく軽くなり、期限から1か月以内の一定要件を満たせば無申告加算税がかからない特例もあります。国税通則法の一次情報に沿って解説します。

相続税
2026年7月14日

マンションの相続税評価が2024年から変わった――「居住用の区分所有財産の評価」通達のしくみを完全ガイド

マンションは市場価格に比べ相続税評価額が低くなりやすく、その乖離を是正するため国税庁が評価方法を見直しました。2024年(令和6年)1月1日以後に相続・遺贈・贈与で取得した居住用の分譲マンションが対象で、築年数・総階数・所在階・敷地持分狭小度の4指標から評価乖離率・評価水準を求め、区分所有補正率を掛けて評価額を市場価格のおおむね60%まで補正します。対象・対象外の財産、補正のしくみ、路線価ベースは変わらない点まで一次情報に沿って解説します。

相続手続き実務
2026年7月14日

相続放棄をしても残る「保存義務」とは――2023年改正民法940条で変わった管理責任の範囲を完全ガイド

相続放棄をすれば「はじめから相続人でなかった」ことになりますが、放棄後もすぐに責任が消えるわけではありません。2023年(令和5年)4月1日施行の改正民法940条は、放棄の時に「現に占有している」相続財産について、次に受け継ぐ人へ引き渡すまで「自己の財産と同一の注意」で保存する義務を定めています。改正前の広い「管理義務」から「保存義務」へどう変わったか、占有していない場合はどうなるか、義務から確実に解放されるにはどうすればよいかを条文に即して解説します。

相続税
2026年7月13日

取得費加算の特例とは――相続した土地や株を売るとき相続税を取得費に足せる特例の要件・3年の期限・計算を完全ガイド

相続した土地や株を売ると、相続税を払った財産にさらに譲渡所得税がかかります。この二重の負担をやわらげるのが「取得費加算の特例」(租税特別措置法39条)。売却した財産にかかった相続税額の一部を、譲渡所得の「取得費」に加算でき、税負担を軽くできます。使えるのは「相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日まで」に売却したときなど。3つの適用要件、加算額の計算式、空き家の3,000万円特別控除との選択、確定申告の必要性まで具体例で解説します。

終活
2026年7月13日

死後事務委任契約とは――葬儀・納骨・行政手続きを託す契約の内容・費用・遺言との違いを完全ガイド

死後事務委任契約は、自分が亡くなった後の葬儀・納骨・役所の手続き・公共料金やサブスクの解約などを、信頼できる人にあらかじめ委任しておく契約です。委任は原則として委任者の死亡で終了しますが(民法653条1号)、判例により死後の事務処理を目的とする委任は当然には終了しないとされています。おひとりさまや家族に負担をかけたくない方に有効な備え。遺言・任意後見との違い、任せられること、公正証書・預託金・費用の目安、注意点まで解説します。

終活
2026年7月12日

成年後見制度とは――法定後見(後見・保佐・補助)と任意後見の違い・手続き・注意点を完全ガイド

認知症などで判断能力が不十分になった方を法律で支えるのが成年後見制度です(2000年施行)。すでに判断能力が低下した方の「法定後見」は、程度に応じて後見・保佐・補助の3類型に分かれ、家庭裁判所が後見人を選任。元気なうちに自分で後見人を決めておく「任意後見」もあります。代理権・同意権・取消権の違い、申立て手続きや報酬、「途中でやめにくい」「本人のための相続対策はできない」といった注意点まで解説します。

相続税
2026年7月12日

おしどり贈与(贈与税の配偶者控除)とは――婚姻20年で最高2,000万円まで非課税・要件と落とし穴を完全ガイド

通称「おしどり贈与」=贈与税の配偶者控除は、婚姻20年以上の夫婦間で居住用不動産やその取得資金を贈与すると、基礎控除110万円のほかに最高2,000万円まで贈与税がかからない制度です(相続税法21条の6)。同じ配偶者からは一生に一度、贈与税が0円でも申告が必須。控除を受けた部分は生前贈与加算の対象外という利点がある一方、不動産取得税・登録免許税がかかり「必ず得」とは限りません。要件・手続き・落とし穴を解説します。

相続税
2026年7月11日

死亡退職金と弔慰金の相続税とは――非課税枠「500万円×法定相続人」と弔慰金の非課税範囲を完全ガイド

会社員だった方が亡くなり、勤務先から遺族に支払われる「死亡退職金」は、死亡後3年以内に支給が確定すると相続税の対象(みなし相続財産)になります。ただし「500万円×法定相続人の数」までは非課税で(相続税法12条)、この枠は生命保険金の非課税枠とは別枠。両方を受け取れば二つの500万円が使えます。「弔慰金」は原則非課税ですが、業務上は普通給与の3年分、業務外は6か月分を超える部分は退職金扱い。非課税枠の計算と落とし穴を解説します。

遺言書
2026年7月11日

遺言書の撤回・書き直しとは――いつでも撤回できるしくみと民法の5つのルールを完全ガイド

一度書いた遺言書は、遺言者が生きている間ならいつでも、何度でも撤回・書き直しができます(民法1022条)。撤回の方式は前の遺言と同じでなくてもよく、公正証書遺言を自筆証書遺言で撤回することも可能です。前後の遺言が食い違うとき(1023条)、遺言書を破棄したとき(1024条)、撤回した遺言が原則復活しないこと(1025条)、撤回する権利は放棄できないこと(1026条)まで、5つのルールをわかりやすく解説します。

相続税
2026年7月9日

相続税の2割加算とは――誰が対象か、孫・兄弟姉妹・甥姪が2割増しになるしくみを完全ガイド

相続税には、財産を取得した人が「一親等の血族(子・父母)と配偶者」以外の場合、税額が2割(20%)増しになる制度があります(相続税法18条)。兄弟姉妹・甥姪・内縁の配偶者・第三者への遺贈が対象で、とくに孫を養子にした「孫養子」も原則2割加算です。一方、代襲相続人となった孫は加算されません。誰が対象で誰が対象外か、計算方法、孫に遺すときの注意点までわかりやすく解説します。

遺言書
2026年7月9日

遺言書の検認とは――家庭裁判所での手続きの流れ・費用・勝手に開封するとどうなるかを完全ガイド

自筆の遺言書が見つかったら、その場で開けてはいけません。まず家庭裁判所での「検認」という手続きが必要です(民法1004条)。検認は遺言書の状態を確認・記録して偽造や変造を防ぐもので、有効・無効を判断する手続きではありません。公正証書遺言や法務局保管の遺言は検認不要。封のある遺言書を勝手に開けると5万円以下の過料も。申立ての流れ・費用・必要書類・よくある誤解まで解説します。

相続手続き実務
2026年7月8日

相続分の譲渡とは――遺産分割前に取り分を譲る方法、放棄・相続放棄との違いと取戻権を完全ガイド

相続分の譲渡とは、遺産分割が終わる前に、自分の相続分(プラスの財産もマイナスの債務も含む割合的な持分)を、他の相続人や第三者に有償・無償で譲る方法です。譲れば遺産分割協議から離脱できますが、被相続人の借金については債権者に対する責任を当然には免れません。第三者に譲ったときは他の相続人に取戻権(民法905条・1か月)があります。似て非なる「相続分の放棄」「相続放棄」との違い、書面や税金の注意点まで、正確に整理します。

相続税
2026年7月8日

名義預金とは――家族名義でも相続財産、税務調査で最も指摘される預金の見分け方と対策を完全ガイド

子や孫、配偶者の名義で貯めた預金でも、実際にお金を出して管理していたのが被相続人なら「名義預金」として相続財産に含まれ、相続税の対象になります。名義預金は相続税の税務調査で最も指摘されやすい典型論点。誰の財産かは、原資(誰のお金か)・管理・利息の帰属・贈与の認識という4つのポイントで総合的に判断されます。専業主婦の「へそくり」やタンス預金の扱い、名義預金にしないための有効な生前贈与の成立要件まで、わかりやすく解説します。

相続税
2026年7月7日

遺産分割がまとまらないまま相続税申告するとき――未分割申告と「3年以内の分割見込書」を完全ガイド

遺産分割が相続税の申告期限(10か月)までにまとまらないときは、いったん法定相続分で分けたものとして「未分割申告」をします(相続税法55条)。この未分割申告では配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例が使えず、税額は高めになります。しかし申告書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付しておけば、後日、分割が確定したときに特例を適用し、更正の請求で払い過ぎた税金を取り戻せます。見込書の添付を忘れる怖さ、3年でも分割できないときの承認申請まで、正確に解説します。

相続手続き実務
2026年7月7日

法定単純承認とは――相続放棄ができなくなる「してはいけない行為」を完全ガイド

相続放棄を考えているのに、うっかり亡くなった方の預金を使ったり、遺品を処分したりすると、法律上「単純承認したもの」とみなされ(法定単純承認・民法921条)、もう相続放棄ができなくなることがあります。①財産の処分、②熟慮期間(3か月)の経過、③放棄後の隠匿という3つのパターンを図解し、社会通念上相当な葬儀費用や価値のない形見分けとの線引き、相続放棄を守るために「してよいこと・してはいけないこと」まで丁寧に整理します。

相続の基礎知識
2026年7月6日

相続人がいないとき――相続財産清算人・特別縁故者・国庫帰属のしくみを完全ガイド

亡くなった方に相続人が一人もいない「相続人不存在」の場合、遺された遺産はどうなるのでしょうか。家庭裁判所が選ぶ「相続財産清算人」(2023年の改正で相続財産管理人から名称変更)が財産を清算し、内縁の配偶者や事実上の親子などの「特別縁故者」に分与された後、残りは国庫に帰属します。本記事では、相続人不存在の意味、手続きの流れ、特別縁故者への財産分与の申立てと期限、共有持分の扱い、そして望む人に財産を遺すための生前対策(遺言)まで、法律に基づき丁寧に解説いたします。

相続手続き実務
2026年7月6日

遺産分割の4つの方法――現物分割・代償分割・換価分割・共有分割の違いと選び方を完全ガイド

遺産の分け方には「現物分割」「代償分割」「換価分割」「共有分割」の4つの方法があります。財産をそのまま分ける現物分割、一人が不動産を取り他の相続人に代償金を払う代償分割、売って現金で分ける換価分割、共有のまま残す共有分割――それぞれの意味・メリット・デメリット、財産の種類別の選び方、代償金や売却益にかかる税金の注意点、そして知らないと後悔しかねない7つの落とし穴を、法律に基づき分かりやすく解説いたします。

相続手続き実務
2026年7月5日

相続に未成年者がいるときの特別代理人――親が代理できない「利益相反」・選任手続き・必要書類を完全ガイド

相続人の中に未成年の子がいて、その親(親権者)も同じ相続の相続人である場合、親は子の代わりに遺産分割協議を進めることができません。これを「利益相反」といい、民法826条により、家庭裁判所で「特別代理人」を選任する必要があります。この手続きを飛ばした遺産分割協議は無効になるおそれも。本記事では、なぜ親が代理できないのか、特別代理人の選任手続き・必要書類・費用(収入印紙800円)、未成年の子が複数いる場合、認知症の相続人の場合、そして7つの落とし穴を、法律に基づき正確に解説いたします。

相続税
2026年7月5日

相続税の連帯納付義務――他の相続人が払わないと自分に請求される?限度額・5年ルール・解除条件を完全ガイド

相続税には、同じ被相続人から相続・遺贈を受けた人どうしが互いの相続税を連帯して支払う「連帯納付義務」(相続税法34条)があります。自分の分をきちんと納めていても、他の相続人が滞納すれば税務署から請求されることがあります。本記事では、誰が誰の分まで負うのか、限度額(受けた利益の価額)、平成24年改正で導入された5年ルール・延納・納税猶予による解除、延滞税ではなく利子税になる特例、税務署からの通知の流れ、そして7つの落とし穴を、法律に基づき正確に解説いたします。

相続手続き実務
2026年7月3日

遺産分割前の預貯金の払戻し制度――口座凍結中でも引き出せる150万円・計算式・必要書類を完全ガイド

亡くなった方の口座は凍結され、原則として遺産分割が終わるまで相続人でも自由に引き出せません。しかし2019年7月施行の「遺産分割前の預貯金の払戻し制度」(民法909条の2)を使えば、家庭裁判所の判断を経ずに、相続人が単独で一定額(相続開始時の預金額×1/3×法定相続分、金融機関ごとに上限150万円)を引き出せます。本記事では、制度のしくみ、引き出せる金額の計算式と具体例、必要書類、家庭裁判所の保全処分との違い、そして7つの落とし穴を、法律に基づき正確に解説いたします。

相続の基礎知識
2026年7月3日

お墓・仏壇・遺骨は誰が継ぐ?――祭祀財産の承継、相続財産との違い・祭祀主宰者の決め方・相続税を完全ガイド

「お墓や仏壇は長男が継ぐもの」と思われがちですが、法律上、お墓・墓地・仏壇・位牌・遺骨などの「祭祀財産」は、預貯金や不動産とはまったく別のルールで承継されます。遺産分割の対象にならず、承継者(祭祀主宰者)は被相続人の指定→慣習→家庭裁判所の順で決まります(民法897条)。本記事では、祭祀財産の意味、承継者の決め方、遺骨の扱い、相続税の非課税、相続放棄との関係、墓じまいの可否、そして7つの落とし穴を、法律に基づき正確に解説いたします。

不動産
2026年7月1日

農地・山林を相続したら――農業委員会・市町村への届出、納税猶予、手放し方を完全ガイド

田舎の実家を相続したら、宅地だけでなく田畑や裏山までついてきた――地方の相続では珍しくない話です。農地や山林は、相続登記に加えて役所への「届出」が必要で、農地は農業委員会へ(おおむね10か月以内)、森林は市町村長へ(90日以内)届け出ないと過料の対象になることも。本記事では、農地・山林それぞれの届出、農業を続ける人の相続税の納税猶予、評価と管理の注意点、売却や相続土地国庫帰属制度による手放し方、そして7つの落とし穴を、法律に基づき正確に解説いたします。

相続税
2026年7月1日

相続税が払えないとき――延納と物納のしくみ・要件・手続きを完全ガイド

相続したのは自宅の土地と建物ばかりで現金はわずか、それなのに相続税は数百万円――そんなときの救済策が、税金を分割で納める「延納」と、財産そのもので納める「物納」です。ただし、どちらも自由に選べるわけではなく、金銭一括納付が困難であることや担保・財産の要件、期限内の申請といった厳格な条件があります。本記事では、延納の要件・期間・利子税、物納できる財産の順位と管理処分不適格財産、延納から物納への切替え(特定物納制度)、そして7つの落とし穴を、法律に基づき正確に解説いたします。

相続手続き実務
2026年6月30日

数次相続とは、相続が連続して起きたときの遺産分割・相続登記・相続税を完全ガイド

父の遺産分割が終わらないうちに母も亡くなる――こうして相続が連続して重なる状態を数次相続といいます。よく似た代襲相続とは「相続人が亡くなったのが被相続人の死亡の前か後か」で区別します。数次相続では遺産分割協議の当事者が増え、戸籍収集も膨大になり、手続きが一気に複雑化します。本記事では、代襲相続との違い、当事者の範囲、相続放棄の考え方、中間省略登記が認められる場合、相続税の申告期限の延長と相次相続控除、そして7つの落とし穴を正確に解説いたします。

遺言書
2026年6月30日

自筆証書遺言書保管制度とは、法務局が遺言書を預かるしくみ・手数料・メリットを完全ガイド

自分で書いた遺言書を法務局が預かってくれる自筆証書遺言書保管制度は、2020年7月に始まりました。紛失・改ざんを防げ、相続開始後の家庭裁判所の検認も不要になります。手数料は保管申請1件3,900円と手ごろです。本記事では、制度を使う5つのメリット、本人出頭・予約などの手続きの流れ、保管申請や各種証明書の手数料、A4・余白・片面・ページ番号といった様式ルール、死亡後の通知制度、そして7つの落とし穴を、法律に基づき正確に解説いたします。

相続の基礎知識
2026年6月24日

特別寄与料とは、相続人以外の親族が介護の貢献を金銭で請求できる制度を完全ガイド

「亡き義父を介護したのは長男の妻なのに何ももらえない」――こうした不公平を解消するのが特別寄与料です。民法1050条に基づき2019年7月に新設され、相続人以外の親族が無償の介護などで財産の維持・増加に貢献した場合、相続人へ金銭を請求できます。本記事では、請求できる人と要件、相続人の貢献を評価する寄与分との違い、請求の手続きと見落とせない6か月・1年の期限、金額の考え方、かかる相続税(2割加算)、そして7つの落とし穴を、民法の条文に基づき正確に解説いたします。

不動産
2026年6月24日

相続土地国庫帰属制度とは、いらない土地を国に引き取ってもらう手続き・費用・対象を完全ガイド

「相続したが誰も使わず、売ることも貸すこともできない土地」に悩む方へ。相続土地国庫帰属制度は、相続・遺贈で取得した不要な土地を、一定の要件を満たせば国に引き取ってもらえる制度で、2023年4月に施行されました。相続放棄と違い「いらない土地だけ」を手放せるのが特徴です。本記事では、申請できる人と対象、引き取ってもらえない土地(却下要件・不承認要件)、手続きの流れ、審査手数料と負担金、相続放棄・売却・寄付との違い、7つの落とし穴を法律に基づき正確に解説いたします。

相続の基礎知識
2026年6月23日

姻族関係終了届(死後離婚)とは、配偶者の死後に義実家との関係を断つ手続きと相続・年金への影響を完全ガイド

配偶者が亡くなっても、義父母など姻族との親族関係は自動では終わりません。これを終わらせる「姻族関係終了届」、いわゆる「死後離婚」は、民法728条2項に基づき、相手の同意も期限もなく生存配偶者が単独で役場に提出できます。重要なのは、すでに受けた相続財産や相続権、遺族年金は失わないこと。本記事では、手続きの方法、義父母との扶養義務の消滅、相続・遺族年金への影響、姓を戻す復氏届や子・お墓との違い、そして判断を誤らないための7つの落とし穴を、民法の条文に基づき正確に解説いたします。

認知症対策
2026年6月23日

家族信託(民事信託)とは、認知症に備える財産管理のしくみと費用・注意点を完全ガイド

「親が認知症になると預金が下ろせない・実家が売れない」という資産凍結の不安に応えるのが家族信託(民事信託)です。信頼できる家族に財産の管理・処分を託す契約で、本人が元気なうちに結べば、判断能力が低下しても受託者が契約の範囲で財産を活用できます。本記事では、委託者・受託者・受益者の三者のしくみ、成年後見制度との違い、公正証書での契約手順と不動産の信託登記、受託者の義務、費用相場、損益通算の制限などのデメリットと7つの落とし穴を、信託法に基づき分かりやすく解説いたします。

相続税
2026年6月22日

教育資金の一括贈与の非課税特例は2026年3月で終了、終了後の教育資金援助と相続対策を完全ガイド

祖父母から孫へ最大1,500万円を非課税で渡せた「教育資金の一括贈与の特例」は、令和8年度税制改正で延長されず2026年(令和8年)3月31日をもって終了しました。本記事では、制度終了の経緯と確定した内容、3月末までに拠出した資金の経過措置、贈与者が亡くなった場合の相続税の取り扱い、そして終了後も使える「扶養義務者による都度の教育費贈与(非課税)」や暦年贈与など、これからの教育資金援助と相続対策の選択肢を、国税庁の一次情報に基づき分かりやすく解説いたします。

相続手続き実務
2026年6月22日

国際相続の基礎とは、海外資産・外国籍がからむ相続の準拠法と相続税を完全ガイド

海外に不動産や預金がある、相続人や被相続人が外国籍・海外在住——そんな「国際相続」は、どの国の法律が適用されるか(準拠法)、どこまでの財産に日本の相続税がかかるかが複雑に絡み合います。本記事では、「法の適用に関する通則法」による準拠法の決まり方、相続税の納税義務者の区分と「10年ルール」、外国税額控除による二重課税の調整、英米法系で必要になるプロベート手続きまで、国際相続の基礎を体系的に整理いたします。

遺言書
2026年6月22日

遺贈と死因贈与の違いとは、遺言で財産を渡す2つの方法と税金の差を完全ガイド

「遺贈」と「死因贈与」は、どちらも亡くなったときに財産を渡す方法ですが、片方は遺言による単独行為、もう片方は生前の契約という決定的な違いがあります。本記事では、包括遺贈・特定遺贈と死因贈与の法的な性質の違い、方式や撤回のしやすさ、放棄の方法、そして相続税・不動産取得税・登録免許税といった税金面での差まで、民法の条文に沿って表で分かりやすく比較いたします。

相続の基礎知識
2026年6月21日

相続欠格と廃除とは、相続権を失う・奪うしくみと代襲相続への影響を完全ガイド

一定の重大な非行があった人から相続権を失わせる制度が「相続欠格」と「廃除」です。本記事では、手続き不要で当然に相続権を失う欠格(民法891条)の事由と、被相続人が家庭裁判所に請求して相続権を奪う廃除(民法892条)の違いを整理し、いずれの場合も子へ代襲相続が起こる点、相続放棄との違い、遺言による廃除の方法までを分かりやすく解説いたします。

相続税
2026年6月21日

養子縁組と相続とは、節税効果と「法定相続人に数えられる養子の数」の制限を完全ガイド

養子縁組は相続人を増やして基礎控除や生命保険の非課税枠を広げる節税策として知られますが、相続税法では「法定相続人の数」に数えられる養子の数に制限があります(実子がいれば1人、いなければ2人まで)。本記事では、養子の相続権と相続分、節税のしくみと数の制限、制限を受けない養子のケース、孫養子の2割加算、税務上否認されるリスクまで、民法と相続税法の両面から分かりやすく解説いたします。

相続税
2026年6月20日

相次相続控除とは、10年以内に相続が重なったとき相続税を軽くするしくみを完全ガイド

短い期間に親から子、子から孫へと相続が続くと、同じ財産に何度も相続税がかかり負担が重くなります。これを和らげるのが「相次相続控除」です。本記事では、10年以内に2回以上の相続があったときに前回の相続税の一部を今回の相続税から差し引ける仕組み、適用できる人の要件、控除額の計算式と各記号の意味、経過年数による逓減まで、国税庁の一次情報に基づき具体例つきで解説いたします。

相続税
2026年6月20日

葬儀費用は相続財産から引ける?債務控除の対象になるもの・ならないものを完全ガイド

葬儀にかかった費用は、相続税の計算で「債務控除」として遺産から差し引くことができます。ただし、対象になる費用とならない費用の線引きには注意が必要です。本記事では、通夜・告別式・火葬・お布施・戒名料など控除できるものと、香典返し・初七日法要・墓地墓石の購入費など控除できないものを表で整理し、控除できる人の範囲や香典の税務上の扱い、相続放棄した人の取り扱いまで分かりやすく解説いたします。

相続手続き実務
2026年6月19日

行方不明の相続人がいるときの遺産分割とは、不在者財産管理人と失踪宣告を完全ガイド

相続人の中に長年音信不通で行方の分からない人がいると、相続人全員の参加が原則の遺産分割協議が進められません。本記事では、まず戸籍の附票で住所を追跡する方法から、家庭裁判所に「不在者財産管理人」を選任してもらい協議に参加させる方法、生死不明が7年続いた場合の「失踪宣告」まで、行方不明の相続人がいるときの具体的な進め方と注意点を、民法の条文に沿って分かりやすく解説いたします。

不動産相続
2026年6月19日

不動産の共有相続のリスクと解消方法とは、塩漬けを防ぐ遺産分割と共有物分割を完全ガイド

自宅や土地を相続人みんなの「共有」にしておくと、その場は丸く収まっても、売却や建て替えに全員の同意が必要になり、世代交代で共有者が増えて「塩漬け」になりがちです。本記事では、共有がもたらすリスク(民法251条・252条)、遺産分割や共有物分割による解消方法、2023年施行の改正民法で新設された所在等不明共有者の持分取得制度、そして共有を避けるための予防策まで分かりやすく解説いたします。

相続税
2026年6月18日

障害者控除と未成年者控除とは、相続税から直接引ける税額控除のしくみと計算方法を完全ガイド

相続人に未成年者や障害のある方がいる場合、相続税から直接差し引ける「未成年者控除」「障害者控除」が使えます。本記事では、(18歳−年齢)×10万円で計算する未成年者控除と、(85歳−年齢)×10万円(特別障害者は20万円)で計算する障害者控除のしくみ、控除しきれない分を扶養義務者の税額から引ける仕組み、過去に控除を受けた場合の調整まで、計算例を交えて分かりやすく解説いたします。

不動産相続
2026年6月18日

相続登記を自分でやる全手順|司法書士に頼まず本人申請する方法・必要書類・登記申請書の書き方

相続登記は相続人ご本人でも申請できます(本人申請)。司法書士に依頼すれば数万円〜十数万円の報酬がかかりますが、ご自身で行えば登録免許税(評価額の0.4%)と実費だけに抑えられます。本記事では、①相続人の確定(戸籍の集め方)、②不動産の調査、③遺産分割協議書の作成、④必要書類、⑤登記申請書の書き方(記載例つき)、⑥登録免許税の計算、⑦法務局への申請・補正・完了まで、本人申請の全手順を法務局・法務省の一次情報に基づき分かりやすく解説いたします。自分でできるケースと専門家に任せたほうがよいケースの見極め方もお伝えします。

暮らしとお金
2026年6月17日

日銀利上げで住宅ローンは「借りすぎ」に? 返済比率30%超が危険ラインとなる理由を完全ガイド

日銀が政策金利を1%程度へ引き上げ、住宅ローンの変動金利も今秋から上昇する見込みです。本記事では、銀行が貸してくれる「借りられる額」と家計が無理なく返せる「借りていい額」の違い、金利が上がると毎月返済額がいくら増えるか、手取りに占める返済額の割合(返済比率)の目安、負担感が強まる30%超のライン、5年ルール・125%ルールの落とし穴、繰り上げ返済と手元資金のバランスまで、日本経済新聞の試算データをもとに分かりやすく解説いたします。

相続手続き実務
2026年6月17日

限定承認とは、プラスの財産の範囲でだけ借金を引き継ぐ相続の選び方を完全ガイド

限定承認とは、相続で得たプラスの財産の範囲でのみ、亡くなった方の借金などの債務を弁済する条件付きの相続です(民法922条)。借金が財産を上回っても相続人の持ち出しはなく、清算後に財産が残れば受け取れます。本記事では、単純承認・相続放棄との違いと位置づけ、相続人全員で3か月以内に財産目録を添えて家庭裁判所へ申述する要件、申述後の公告・弁済などの清算手続き、自宅を鑑定評価額で残せる「先買権」、みなし譲渡所得課税(所得税法59条)と準確定申告4か月の税務上の注意点、利用が少ない理由と使いどころまで、民法の条文に基づき分かりやすく整理いたします。

遺言書
2026年6月11日

遺言執行者とは、遺言の内容を実現する人の役割・権限・選び方を完全ガイド

遺言執行者とは、亡くなった方の遺言の内容を実現するために、相続財産の管理や名義変更などの手続きを行う人です。本記事では、遺言執行者とは何か(民法1006条以下)、2019年改正で明確化された権限(民法1012条、遺贈の履行は執行者のみ)、誰がなれるか(未成年者・破産者以外)、遺言での指定と家庭裁判所による選任、就任後に相続人へ遺言内容を通知する義務、遺言執行者がいると相続人は勝手に遺産を処分できないこと、認知・廃除など遺言執行者が必須になるケース、報酬まで、民法の条文に基づき分かりやすく整理いたします。

相続の基礎知識
2026年6月10日

配偶者居住権とは、残された配偶者が自宅に住み続けられる権利と相続税メリットを完全ガイド

配偶者居住権は、2020年4月に新設された、残された配偶者が亡くなった方の自宅に無償で住み続けられる権利です。自宅の権利を「配偶者居住権(住む権利)」と「負担付き所有権(持つ権利)」に分けられるため、配偶者は住みながら預貯金も確保しやすくなります。本記事では、配偶者居住権とは何か(民法1028条)、なぜできたのか、成立要件と取得方法(遺産分割・遺贈・死因贈与・審判)、原則終身の存続期間と登記による対抗、配偶者短期居住権との違い、権利を分けて評価する相続税メリットと二次相続での消滅、見落としやすい注意点まで、民法の条文に基づき分かりやすく整理いたします。

相続税
2026年6月9日

相続時精算課税制度とは、2500万円の特別控除と2024年の110万円基礎控除を完全ガイド

相続時精算課税制度は、60歳以上の親・祖父母から18歳以上の子・孫への贈与について、累計2,500万円まで贈与税を非課税にし、贈与者の相続時に精算する制度です。本記事では、適用要件、2,500万円の特別控除と超過分一律20%の贈与税、2024年(令和6年)1月に新設された年110万円の基礎控除(申告不要・相続財産に加算されない)、相続時に贈与時の価額で加算するしくみ、一度選ぶと暦年課税に戻れない注意点、暦年課税の7年ルールとの違いと使い分けまで、国税庁・相続税法の一次情報に基づき分かりやすく整理いたします。

終活
2026年6月8日

デジタル遺産とデジタル終活とは、ネット口座・暗号資産・SNSの相続と備えを完全ガイド

デジタル遺産とは、ネット銀行・ネット証券、暗号資産(仮想通貨)・NFT、電子マネー・ポイント、SNS・メールアカウント、スマホやPC内のデータなど、デジタル上に存在する財産や遺品のことです。本記事では、デジタル遺産の種類と「見つけられない」リスク、暗号資産が相続税の課税対象で相続開始時の時価で評価されること、二重課税や取得価額の注意点、ネット口座の相続手続き、サブスクの解約・SNSの追悼や削除、そしてエンディングノートとパスワード管理によるデジタル終活の進め方まで、一次情報に基づき分かりやすく整理いたします。

相続の基礎知識
2026年6月7日

おひとりさま・子のいない人の相続とは、相続人がいないときの流れと生前対策を完全ガイド

おひとりさまや子のいない夫婦の相続では、「誰が相続人になるか」「相続人がいないとき財産はどうなるか」が大きな問題になります。本記事では、子のいない夫婦の相続人(配偶者+親、または配偶者+兄弟姉妹)と法定相続分、兄弟姉妹に遺留分がないこと、相続人がいないときの流れ(相続財産清算人=2023年改正で名称変更・特別縁故者への財産分与・国庫帰属)、内縁の配偶者は相続人にならないこと、そして遺言・任意後見・死後事務委任といった生前対策まで、民法の条文に基づき分かりやすく整理いたします。

相続手続き実務
2026年6月6日

相続の戸籍収集と法定相続情報一覧図とは、相続人確定の進め方と必要書類を完全ガイド

相続手続きのほぼすべてに共通する最初の関門が、戸籍を集めて相続人を確定することです。本記事では、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍と相続人全員の戸籍、戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍の違い、2024年3月開始の戸籍の広域交付制度、2017年5月開始の法定相続情報証明制度(戸籍の束の代わりに1枚で証明・無料で何通でも・複数手続きを並行)、一覧図の作り方と申出先の法務局、相続登記や預貯金・名義変更・相続税申告など代用できる手続きまで、法務省・法務局の公表資料に基づき分かりやすく整理いたします。

相続の基礎知識
2026年6月5日

代襲相続とは、孫が親に代わって相続するしくみと範囲・相続分を完全ガイド

代襲相続とは、本来相続人になるはずだった子が先に亡くなっているとき、その子(孫)が代わって相続人になるしくみです。本記事では、代襲が起きる3つの原因(死亡・相続欠格・廃除)と相続放棄が含まれないこと、被相続人の子の系統は孫・ひ孫と何代でも続く(再代襲)が兄弟姉妹は甥・姪までの一代限りであること、代襲相続人の相続分(被代襲者の取り分を頭割り)、養子の子が代襲するかの縁組前後の違い、数次相続との違い、代襲の孫が相続税の2割加算の対象外であることまで、民法の条文に基づき分かりやすく整理いたします。

相続税
2026年6月4日

相続税の税務調査とは、来る時期・割合・名義預金など狙われるポイントと対策を完全ガイド

相続税の税務調査は、申告のおおむね1〜2年後にやってくる確認で、実地調査に入られると約8割超のケースで申告漏れなどが指摘されます。本記事では、実地調査の割合と指摘率、来る時期と任意調査・事前通知の流れ、最大の指摘原因である「名義預金」(名義は家族でも実質が被相続人の財産)、現金・タンス預金・生前贈与・海外資産など狙われるポイント、さかのぼれる期間(除斥期間は原則5年・不正は7年)、そして書面添付制度(税理士法33条の2)による備えまで、国税庁の公表資料など一次情報に基づき分かりやすく整理いたします。

相続手続き実務
2026年6月3日

相続の名義変更とは、自動車・株式・生命保険・年金の手続きと必要書類を完全ガイド

相続では、預貯金や不動産以外にも、自動車・株式・生命保険・年金など、財産ごとに名義変更や請求の手続きが必要で、窓口も必要書類もそれぞれ異なります。本記事では、共通して必要になる戸籍や遺産分割協議書と全体の段取り、普通車(運輸支局・査定100万円以下の簡素化)と軽自動車(軽自動車検査協会)の移転登録、上場株式の証券口座への移管、受取人が請求する生命保険金、未支給年金・遺族年金、ゴルフ会員権・電話加入権まで、各窓口と必要書類を一次情報に基づき分かりやすく整理いたします。

相続税
2026年6月2日

相続財産の評価方法とは、土地(路線価)・家屋・株式・預貯金の評価を完全ガイド

相続税は、相続財産を「相続開始日(死亡日)の時価」で評価した金額をもとに計算します。評価の物差しとなるのが国税庁の財産評価基本通達です。本記事では、土地(宅地)の路線価方式と倍率方式、路線価方式の計算と奥行・不整形などの各種補正、家屋=固定資産税評価額×1.0、上場株式は死亡日の終値と当月・前月・前々月の月平均の4つのうち最も低い額、預貯金は残高+既経過利子、そして貸宅地・貸家建付地・貸家の評価減まで、一次情報に基づき分かりやすく整理いたします。

相続手続き実務
2026年6月1日

特別受益と寄与分とは、生前贈与や介護の貢献を遺産分割で公平に調整するしくみを完全ガイド

特別受益と寄与分は、生前贈与を受けた相続人や、介護・家業で被相続人を支えた相続人がいるときに、遺産分割を公平にするための調整制度です。特別受益の持ち戻し(民法903条)の対象と「みなし相続財産」を使った計算方法、持ち戻し免除の意思表示と婚姻20年以上の配偶者への自宅贈与の特例、寄与分(民法904条の2)が認められる4つの類型と高いハードル、相続人以外の親族(長男の妻など)が請求できる特別寄与料(民法1050条)と短い請求期限、そして令和5年施行で「相続開始から10年を過ぎると主張できなくなる」新ルールまで、民法など一次情報に基づき分かりやすく整理いたします。

相続手続き実務
2026年5月31日

準確定申告とは、亡くなった人の所得税を4か月以内に申告するしくみと注意点を完全ガイド

準確定申告とは、亡くなった人(被相続人)のその年1月1日から死亡日までの所得について、相続人が代わりに行う所得税の確定申告です。期限は「相続の開始を知った日の翌日から4か月以内」と、相続税の10か月より早い点に注意が必要です。申告が必要・不要・還付になるケース、年金収入400万円以下の特例、相続人全員が連署する付表の書き方、対象期間と控除(医療費控除・社会保険料控除)の取り扱い、納めた所得税や還付金と相続税(債務控除)の関係、見落としやすい7つの落とし穴まで、一次情報に基づき分かりやすく整理いたします。

相続税
2026年5月30日

相続税の申告と納付、10か月の期限・現金一括の原則・延納と物納・ペナルティを完全ガイド

相続税は「相続の開始を知った日の翌日から10か月以内」に被相続人の住所地の税務署へ申告し、同じ期限までに現金で一括納付するのが原則です。申告書の提出先、納付方法、一括で払えないときの延納(分割払い)の4要件・期間・利子税、最後の手段である物納の要件と順位、延納から物納への変更、期限後申告で課される無申告加算税・延滞税・重加算税、相続人どうしの連帯納付義務まで、一次情報に基づき分かりやすく整理いたします。

手続き
2026年5月29日

亡くなった人の預貯金の相続手続き、口座凍結の解除・必要書類・払戻し制度を完全ガイド

家族が亡くなると、その人の銀行口座は凍結され、相続手続きが終わるまで原則お金を引き出せなくなります。なぜ口座が凍結されるのか、凍結前に勝手に引き出す危険性、必要な戸籍・印鑑証明書・法定相続情報一覧図、払戻しまでの5ステップ、葬儀費用などに使える「遺産分割前の預貯金払戻し制度(民法909条の2)」の計算式と150万円の上限、家庭裁判所の保全処分まで、一次情報に基づき分かりやすく整理いたします。

相続税
2026年5月28日

二次相続とは、「配偶者に全部」が子の相続税を重くする理由と対策

二次相続とは、両親のうち後に亡くなった方の相続のことです。一次相続で「配偶者に全部」と分けると、二次相続では配偶者の税額軽減が使えず、基礎控除も600万円減り、相続税が一気に重くなります。税が増える3つの理由、配偶者に寄せすぎると損をするケースの試算、二次相続を軽くする5つの対策、7つの落とし穴まで、一次情報に基づき分かりやすく整理いたします。

事業承継
2026年5月26日

事業承継とは、親族内・従業員・M&Aの3つの選択肢と進め方

会社の経営と資産を後継者へどう引き継ぐか。承継する3つの要素(人・資産・知的資産)、親族内承継・従業員承継・第三者承継(M&A)の3つの選択肢、後継者不在による黒字廃業の問題、事業承継計画と早期着手の重要性、経営者保証の解除、事業承継税制の概要、公的支援機関まで、経営者向けに一次情報に基づき分かりやすく整理いたします。

終活
2026年5月26日

エンディングノートの書き方、遺言との違い・書くべき項目・デジタル遺品まで終活の第一歩

エンディングノートは、自分の情報・希望・想いを家族に書き残す終活の第一歩です。遺言書との決定的な違い(法的効力の有無)、書く5つのメリット、財産・医療・介護・葬儀・お墓・連絡先などの書くべき項目、見落としがちなデジタル遺品(スマホ・ネット口座・サブスク)、書き方のコツと保管の注意点、遺言・家族信託との使い分けまで、分かりやすく整理いたします。

生前対策
2026年5月26日

認知症に備える相続対策、成年後見制度と家族信託の違い・使い分け

親が認知症になると、預金の引き出し・不動産の売却・遺言・生前贈与・遺産分割協議が原則できなくなり、財産が「凍結」されます。認知症で起こる資産凍結のリスク、備えの2本柱である成年後見制度(法定後見・任意後見)と家族信託のしくみ、それぞれのメリット・注意点・費用、どう使い分けるべきかまで、一次情報に基づき分かりやすく整理いたします。

不動産相続
2026年5月25日

実家・空き家を相続したらどうする、住む・貸す・売る・手放すの判断と3,000万円控除

親の実家を相続したとき、住む・貸す・売る・手放すのどれを選ぶべきか。相続登記から始まる初動、空き家放置のリスク、2023年改正で固定資産税が最大6倍になる特定空家・管理不全空家、売却時に使える相続空き家の3,000万円特別控除の要件と2027年末までの期限、取得費加算の特例、要らない土地を国に返せる相続土地国庫帰属制度まで、一次情報に基づき分かりやすく整理いたします。

遺産分割
2026年5月24日

遺産分割でもめたら、調停・審判の進め方と「2023年・10年ルール」の注意点

遺産分割の話し合いがまとまらないときは、家庭裁判所の調停・審判で解決します。協議・調停・審判の3段階、調停の申立て費用・必要書類・期間、遺産の分け方4種類、もめる原因になる特別受益と寄与分、相続人以外の特別の寄与、2023年改正で新設された「相続開始から10年で特別受益・寄与分が主張できなくなる」ルール、遺産分割前の預貯金払い戻し制度まで、一次情報に基づき分かりやすく整理いたします。

遺言書
2026年5月23日

公正証書遺言の作り方、公証人が作る「もっとも確実な遺言」の費用・必要書類・流れ

公正証書遺言(民法第969条)は、公証人が関与して作成する、もっとも確実で無効になりにくい遺言です。検認不要などの5つのメリット、自筆証書遺言との比較、相談から完成までの6ステップ、必要書類、証人になれない人(民法第974条)、公証人手数料の早見表、2025年から始まったウェブ会議での作成、遺留分・予備的遺言・遺言執行者の注意点まで、一次情報に基づき分かりやすく整理いたします。

相続税
2026年5月22日

生命保険を使った相続対策、非課税枠「500万円×法定相続人」の正しい活かし方

死亡保険金には「500万円×法定相続人の数」の非課税枠があります(相続税法第12条)。みなし相続財産としての課税のしくみ、非課税枠が使えない相続放棄者・相続人以外の落とし穴、契約形態で相続税・所得税・贈与税が変わる3パターン、受取人指定で確実に渡せる強み、納税資金・代償分割の原資としての活用、生命保険金と特別受益・遺留分の関係まで、一次情報と判例に基づき分かりやすく整理いたします。

相続税
2026年5月21日

生前贈与の「7年ルール」完全ガイド――2024年改正で何が変わったか、いつまでに何をすべきか

2024年改正で生前贈与加算が「相続開始前3年以内」から「7年以内」に延長されました。本記事では7年ルールの段階的経過措置、4〜7年前の贈与に100万円控除がある仕組み、相続時精算課税に新設された年間110万円の基礎控除、暦年贈与と精算課税の使い分け、名義預金と認定されない贈与契約書の作り方まで、一次情報に基づき分かりやすく整理いたします。

相続税
2026年5月20日

小規模宅地等の特例、自宅80%減額のしくみと「家なき子」の本当の要件

被相続人の自宅や事業用地の評価を最大80%減額できる「小規模宅地等の特例」(租税特別措置法第69条の4)を、4種類の宅地区分、配偶者・同居親族・家なき子の取得者要件、平成30年改正後の家なき子の正確な条件、二世帯住宅と老人ホーム入居中の論点、複数併用時の限度面積調整、申告と分割見込書まで、一次情報に基づき分かりやすく整理いたします。

相続税
2026年5月18日

配偶者の税額軽減、1億6,000万円まで非課税のしくみと「二次相続」の落とし穴

配偶者が取得した遺産が1億6,000万円または法定相続分相当額まで相続税が非課税となる「配偶者の税額軽減」(相続税法第19条の2)を、軽減額の決まり方、3つの適用要件、税額ゼロでも申告が必要な理由、申告期限後3年以内の分割見込書、配偶者がすべて相続すると二次相続でかえって損をする落とし穴まで、一次情報に基づき分かりやすく整理いたします。

手続き
2026年5月17日

相続登記の義務化、3年以内の申請義務・10万円以下の過料・相続人申告登記の完全ガイド

2024年4月から始まった相続登記の義務化を、3年以内の申請期限(不動産登記法第76条の2)、過去の相続も対象となる2027年3月31日の期限、正当な理由なく怠った場合の10万円以下の過料、遺産分割がまとまらないときの相続人申告登記、手続きの流れと必要書類まで、一次情報に基づき分かりやすく整理いたします。

相続
2026年5月10日

遺留分とは、最低限保障される取り分

配偶者・子・直系尊属に法律で保障される最低限の取り分について、割合の計算方法、2018年改正で金銭債権化された「遺留分侵害額請求権」、行使期限(1年・10年)まで、一次情報に基づき分かりやすく整理いたします。

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