きれいな四角の土地は、実はめったにない

相続税の土地評価というと、多くの方が「路線価に面積を掛ければ出るもの」と思っておられます。実際、国税庁の路線価図を見て、「20万円」と書かれた道路に面する300㎡の土地だから6,000万円だな――そう計算される方は珍しくありません。

けれども、これはあくまで出発点にすぎません。路線価は、その道路に面する標準的な宅地の1㎡あたりの価額として付けられています。「標準的」とは、平たく言えば整った長方形で、間口も奥行もほどよく、道路に普通に接している土地のことです。

ところが、現実の宅地はどうでしょうか。相続の現場で図面を拝見していると、きれいな長方形の土地に出会うほうがむしろ稀です。角が斜めに切れている。奥がへこんでいる。旗のように細い通路の先に敷地が広がっている。三角形に近い。分筆を繰り返した結果、L字型になっている――こうした土地のほうが、はるかに多いのです。

路線価は「標準的な宅地」の値段
形がいびつなら、そのままでは高すぎる
= だから財産評価基本通達20が「不整形地補正」という調整を用意している

形がいびつな土地は、同じ面積でも使い勝手が落ちます。建物を建てようとしても、有効に使えない部分が出てきます。売ろうとしても、整形地より安くなるのが通常です。その実態を評価額に反映させるのが、不整形地の評価という考え方です。

[見落とすと、払いすぎになります]
不整形地補正は、納税者が申告の際に自ら適用するものです。適用を忘れて申告したからといって、税務署のほうから「この土地は不整形ですから減額しましょう」と教えてくれるわけではありません。払いすぎに気づいた場合は、更正の請求という手続きで取り戻せる可能性がありますが、期限があります。詳しくは相続税の更正の請求の記事をご覧ください。

不整形地とは何か――財産評価基本通達20の考え方

まず、根拠となる通達を確認しておきます。国税庁の財産評価基本通達20「不整形地の評価」が、この論点の出発点です。

通達20は、不整形地(三角地を含みます)の価額について、通達15(奥行価格補正)から通達18(三方又は四方路線影響加算)までの定めによって計算した価額に、不整形地補正率を乗じて計算した価額により評価するという組み立てを定めています。

ここで大事なのは、補正には順序があるという点です。まず奥行価格補正などの基本的な調整(通達15〜18)を済ませ、そのうえで形のいびつさによる補正を掛けます。なお、地積規模の大きな宅地(通達20-2)に該当する土地では、不整形地補正まで済ませた価額に、さらに規模格差補正率を乗じます。不整形地補正が常に最後というわけではありませんので、この点は第7章もあわせてご覧ください。

路線価 1㎡あたりの価額 × 奥行価格補正率 通達15・付表1 ± 側方・二方路線加算等 通達16〜18 × 不整形地補正率 通達20・付表4・付表5 × 地積(㎡) = 評価額
不整形地の評価の基本的な流れ(財産評価基本通達20の組み立て)

どの程度いびつなら「不整形地」なのか

通達に「かげ地割合が◯%を超えたら不整形地」といった明確な線引きはありません。実務では、後述するかげ地割合を計算し、付表5の不整形地補正率表に当てはめたときに補正率が1.00未満になれば、不整形地として減額するという扱いになります。

逆に言えば、わずかに角が欠けている程度で、かげ地割合が表の最初の区分に届かなければ、補正率は1.00となり減額はありません。国税庁の質疑応答事例にも、不整形の程度が軽微で、付近にある宅地との均衡を考えると不整形地としての評価を行わないことが相当な場合がある、という趣旨の考え方が示されています。「少しでもいびつなら必ず下がる」というものではない点は、正しく理解しておく必要があります。

「不整形地」と「無道路地」は別のものです

形がいびつな土地と、そもそも道路に接していない土地(無道路地)は、通達上は別の項目です。不整形地は通達20、無道路地は通達20-3で、それぞれ別の考え方で評価します。旗竿地(細い通路の先に敷地がある土地)は、通路部分がきちんと道路に接していれば不整形地として扱われますが、他人の土地を通らなければ道路に出られない場合は無道路地の問題になります。無道路地については無道路地の評価の記事で詳しく解説しています。

想定整形地とかげ地割合――減額の大きさを決める数字

不整形地の減額の大きさは、「どれくらいいびつか」を数値化した「かげ地割合」で決まります。そして、かげ地割合を出すために必要なのが「想定整形地」という考え方です。

想定整形地とは

想定整形地とは、評価しようとする宅地の全域を囲む、正面路線に面する矩形(長方形)または正方形の土地をいいます。

言葉にすると難しく感じますが、やっていることは単純です。いびつな土地の図面の上に、その土地がすっぽり収まる長方形を、正面の道路に沿ってかぶせる――それだけです。ポイントは二つ。①正面路線に面する(=道路と平行になるように置く)こと②評価対象地の全域を囲む最小の長方形にすることです。

正面路線(道路) 間口 16m 評価対象地 400㎡ かげ地 100㎡ ――― 想定整形地(500㎡) 評価対象地の全域を囲む、 正面路線に面する長方形 (間口16m × 奥行31.25m = 500㎡) かげ地割合 =(500-400)÷500 = 20%
想定整形地とかげ地割合の関係(模式図)

かげ地割合の計算式

想定整形地が決まれば、かげ地割合は次の式で求めます。

かげ地割合 =
想定整形地の地積 - 評価対象地の地積)
÷ 想定整形地の地積
分母は「想定整形地の地積」です。評価対象地の地積ではありません
[分母を間違えると、減額が小さくなります]
かげ地割合の計算で最も多い誤りが、分母に評価対象地の地積を置いてしまうことです。上の例で言えば、正しくは (500-400)÷500=20% ですが、誤って (500-400)÷400 と計算すると25%になります。分母は必ず「想定整形地の地積」――これは通達の定めですので、覚えておいてください。

不整形地補正率表の読み方――地区区分と地積区分(付表4・付表5)

かげ地割合が出たら、次は不整形地補正率表(付表5)に当てはめます。ただし、表を引くには、その前に二つの「区分」を確定させる必要があります。

  1. 地区区分を確認する路線価図に記号で示されています。ビル街地区、高度商業地区、繁華街地区、普通商業・併用住宅地区、普通住宅地区、中小工場地区、大工場地区の7区分です。住宅地の多くは普通住宅地区にあたります。
  2. 地積区分(A・B・C)を確認する付表4「地積区分表」で、地区区分ごとに定められた面積の基準に応じてA・B・Cのいずれかに当てはめます。
  3. 付表5「不整形地補正率表」で補正率を引く「地区区分」×「地積区分」×「かげ地割合」の3つの交点が、その土地の不整形地補正率です。

普通住宅地区の地積区分(付表4)

もっとも登場頻度の高い普通住宅地区の地積区分は、次のとおりです。

地積区分普通住宅地区の面積基準
A500㎡未満
B500㎡以上 750㎡未満
C750㎡以上

面積基準は地区区分ごとに異なりますので、普通住宅地区以外の土地については、必ず付表4そのものをご確認ください。

不整形地補正率の例(普通住宅地区・地積区分A)

普通住宅地区で地積区分がAの場合、かげ地割合に応じた不整形地補正率は、たとえば次のようになります。

かげ地割合(以上)不整形地補正率(普通住宅地区・A)
10%以上0.98
15%以上0.96
20%以上0.94
25%以上0.92
30%以上0.90
(かげ地割合が大きくなるほど低下)
表に定める最小値0.60
[表の値は必ず原典でご確認ください]
上の表は、普通住宅地区・地積区分Aの一部を抜き出したものです。実際の申告では、国税庁が公表している付表5「不整形地補正率表」そのものを参照してください。地区区分・地積区分の組み合わせによって値は変わりますし、通達は改正されることがあります。

計算してみます(普通住宅地区・かげ地割合20%の例)

先ほどの模式図の土地で、実際に評価額を出してみます。

奥行25mは、付表1「奥行価格補正率表」の普通住宅地区で24m以上28m未満の区分にあたり、奥行価格補正率は0.97です。かげ地割合20%・地積区分Aの不整形地補正率は0.94。間口16mですので間口狭小補正はなく、奥行25m÷間口16m=約1.56倍で奥行長大補正もありません。

200,000円 × 0.97 × 0.94 = 182,360円/㎡
182,360円 × 400㎡ = 72,944,000円
補正をしなければ 200,000円 × 400㎡ = 8,000万円 → 差額は約705万円

評価額が約705万円下がるということは、相続税の税率が20%の方であれば、税額にしておよそ140万円の違いになります。形の補正を入れるかどうかは、決して小さな話ではありません。相続税の税率については相続税の計算方法の記事をご覧ください。

間口狭小・奥行長大との併用ルール――乗じたうえで下限0.60

ここからが、実務でもっとも間違いの多いところです。土地の形の悪さには、「いびつさ」以外にも「間口が狭い」「奥行が長すぎる」という別の要素があり、それぞれに補正率が用意されています。

補正の種類根拠着目している点
不整形地補正率 財産評価基本通達20
付表4・付表5
土地の形がどれだけいびつか(かげ地割合)
間口狭小補正率 財産評価基本通達20-4
付表6
道路に接している幅(間口距離)が狭いこと
奥行長大補正率 財産評価基本通達20-4
付表7
間口に比べて奥行が長すぎること(奥行距離÷間口距離)

通達20-4は「不整形地を除く」と書いてあるのに、なぜ併用できるのか

ここで、条文を丁寧に読んだ方ほど混乱される点があります。通達20-4の本文は、その対象を「不整形地及び無道路地を除く」宅地としているのです。文字どおり読めば、不整形地には間口狭小補正も奥行長大補正も使えないように見えます。

この疑問に答えているのが、付表5「不整形地補正率表」に付されている(注)です。そこには、次の趣旨のことが書かれています。

付表5(注)3 の定め――ここが併用のルールです

間口狭小補正率の適用がある場合は、この表により求めた不整形地補正率に間口狭小補正率を乗じて得た数値を、不整形地補正率とする。ただし、その最小値は、この表に定める不整形地補正率の最小値(0.60)とする。

奥行長大補正率の適用がある場合は、選択により、不整形地補正率を適用せず、間口狭小補正率に奥行長大補正率を乗じて得た数値によって評価して差し支えない。

整理すると、こういうことです。不整形地であっても、間口狭小補正率は「乗じる」形で必ず反映させます。そのうえで、奥行長大補正率の適用もある土地に限り、二つの計算のどちらか(=納税者に有利な、低いほうの数値)を選べるという構造になっています。

① 不整形地補正率 × 間口狭小補正率
② 間口狭小補正率 × 奥行長大補正率(奥行長大補正の適用があるときのみ選択可
いずれか低いほうを採用(ただし①の最小値は0.60)
なお②は間口狭小補正率と奥行長大補正率の積ですので、計算上0.60を下回ることはありません

選択で差が出る計算例

実際に、どちらを選ぶかで数値が変わる例を見てみます。

選択肢計算採用する数値
① 不整形地補正率 × 間口狭小補正率 0.94 × 0.94 = 0.8836 0.88
② 間口狭小補正率 × 奥行長大補正率 0.94 × 0.90 = 0.846 0.84

この例では、②を選んだほうが0.04だけ補正率が低くなり、評価額が下がります。路線価20万円・200㎡(奥行価格補正は考慮外とした場合の単純比較)で言えば、おおむね160万円ほどの差です。「①しか計算していない」という申告書は、実務でしばしば見かけます。

[補正率の端数処理]
実務では、補正率を掛け合わせた結果は小数点以下2位未満を切り捨てて用いるのが一般的な取扱いです(上の例では0.8836→0.88、0.846→0.84)。端数処理の詳細は、国税庁が公表している土地及び土地の上に存する権利の評価明細書の書き方に沿ってご確認ください。

評価額を出す4つの計算方法――通達20の(1)〜(4)

ここまで、かげ地割合と補正率の話をしてきました。最後に残るのが、「そもそも、いびつな土地の1㎡あたりの価額(=奥行価格補正を掛ける前の基礎)を、どうやって求めるのか」という問題です。

長方形なら「奥行何m」と一意に決まりますが、いびつな土地の「奥行」は一つに決まりません。そこで通達20は、次の4つのいずれかの方法によることを認めています。

  1. 区分した整形地を基として計算する方法いびつな土地を、いくつかの長方形(整形地)に切り分け、それぞれについて奥行価格補正を行って合計する方法です。もっとも素直な方法ですが、切り分け方によって結果が変わります。
  2. 計算上の奥行距離を基として求めた整形地により計算する方法「地積 ÷ 間口距離」で計算上の奥行距離を求め、その奥行の整形地とみなして計算する方法です。実務でもっともよく使われます。本記事の計算例もこの方法によっています。
  3. 近似整形地を基として計算する方法評価対象地に近い形の長方形(近似整形地)を想定し、それを基に計算する方法です。
  4. 差引計算により求めた近似整形地を基として計算する方法近似整形地と、そこからはみ出す(または欠ける)部分を差引計算して求める方法です。

方法②の「計算上の奥行距離」には上限があります

方法②で求めた計算上の奥行距離が、想定整形地の奥行距離を超える場合には、想定整形地の奥行距離を用いるという取扱いがあります。細長い土地では、地積÷間口距離が想定整形地の奥行より長くなることがあり、そのまま使うと実態から離れてしまうためです。具体的な当てはめは、国税庁の評価明細書の記載要領および税理士等の専門家にご確認ください。

どの方法を選ぶかによって、評価額は変わり得ます。納税者側で複数の方法を試算し、合理的な範囲で有利な方法を選ぶことは、通達が認めているところです。ただし、「合理的な範囲で」というのが前提であり、実態とかけ離れた区分の仕方は認められません。この点は、税理士に依頼される場合でも、土地評価の経験がどれだけあるかで結果が変わる領域だとご理解ください。

ご相談事例

※ 以下は、実際のご相談を踏まえて構成した架空の事例です。特定の個人・団体とは関係ありません。

「申告が済んだあとに、実家の土地の形を見てもらいました」

ご相談にいらしたのは、60代のご長男の方でした。お父さまを亡くされ、相続人はお母さまとご長男・ご次男の3人。相続財産の中心は、郊外にあるご実家の土地と建物、そして預貯金でした。

相続税の申告は、お父さまの顧問だった税理士の先生に依頼され、期限内に無事に済んでおられました。ご相談の内容は、申告そのものではなく「これから遺産分割をどう進めるか」というものでした。その打ち合わせの中で、私たちが登記簿と公図、そして測量図を拝見していたときのことです。

ご実家の土地は、道路に面した部分から奥に向かって、右側が大きく斜めに切れている形をしていました。奥のほうは、隣地の建物を避けるように、L字にへこんでいます。面積は約380㎡。「これは、かなりいびつな土地ですね」――そう申し上げると、ご長男は少しきょとんとしておられました。「昔からこの形でしたので、特に気にしたことはありませんでした」と。

申告書を拝見すると、土地の評価額は路線価に奥行価格補正だけを掛けた金額で計算されていました。不整形地補正の欄は、空欄でした。

そこで、測量図から想定整形地を起こしてみたところ、想定整形地の地積はおよそ520㎡。かげ地割合は、(520-380)÷520=約26.9%となりました。地積は500㎡未満ですので地積区分はA、地区区分は普通住宅地区。付表5に当てはめると、補正率は1.00ではなく、明らかに減額の対象になる水準でした。

ご長男には、払いすぎた相続税は「更正の請求」という手続きで取り戻せる可能性があること、ただし期限があることをご説明しました。そのうえで、土地評価に強い税理士に、あらためて評価を見直してもらうことをお勧めしました。担当された先生を責めるためではありません。土地の評価は、現地と図面を突き合わせる手間のかかる作業で、専門とされていない先生が見落とされることは、残念ながらよくあるのです。

この事案では、見直しによって評価額は下がり、ご家族は還付を受けられました。もっとも、見直しによって評価額が下がるかどうか、還付を受けられるかどうかは、土地の状況や当初の申告内容によって異なります。ご長男が仰ったのは、「土地の形が税金に関係するなんて、考えたこともありませんでした」という一言でした。この事案でお伝えしたかったのは、相続税の申告書は「出して終わり」ではないということ、そして土地の評価は、図面を一度きちんと見てもらう価値があるということです。

― 私たちから一言 ―

「土地の評価は、机の上ではなく、図面と現地にあります」

相続税の申告の中で、もっとも金額が動きやすく、もっとも担当者の力量が出るのが土地の評価です。預貯金は残高証明書のとおりですし、上場株式もルールどおりに計算すれば誰がやっても同じ数字になります。けれども土地だけは違います。同じ土地を、同じ路線価で評価しても、担当する人によって数百万円、場合によっては一千万円を超える差が出る――これは、決して大げさな話ではありません。

その差の多くは、「気づいたかどうか」から生まれます。この土地は形がいびつではないか。間口が狭くないか。奥行が長すぎないか。道路との高低差はないか。セットバックが必要な部分はないか。都市計画道路の予定地が掛かっていないか。――こうした一つひとつを、公図と測量図を広げ、必要であれば現地に立って確認する。地味で手間のかかる作業ですが、ここを飛ばすと、路線価に面積を掛けただけの評価額になってしまいます。

ご家族の側でできることも、実はあります。ご自宅や貸地の「形」を、一度、上から見た図で確認していただきたいのです。今はインターネットの地図でも、おおよその形は分かります。「うちの土地、四角ではないな」と思われたら、それは専門家に伝えるべき情報です。「形がいびつなのですが、不整形地の補正は入っていますか」――申告をお願いする際に、この一言を添えていただくだけで、見落としはずいぶん減ります。

そして、すでに申告を終えられた方も、あきらめる必要はありません。払いすぎた相続税は、更正の請求という手続きで取り戻せる可能性があります。ただし期限がありますので、思い当たる節のある方は、早めにご相談ください。当センターでは、土地評価の経験が豊富な税理士と連携し、図面の確認から見直しのご相談までお手伝いしております。「うちの土地は、形がいびつなのですが」――そのご相談から、どうぞお気軽にお電話ください。

一般社団法人相続なんでも相談センター 代表理事 宮野 宏樹

他の減額規定との関係――地積規模の大きな宅地・無道路地・セットバック

不整形地補正は、土地の評価を下げる規定の一つにすぎません。一つの土地に、複数の減額規定が同時に当てはまることは珍しくありません。主なものを整理しておきます。

規定根拠(財産評価基本通達)不整形地補正との関係
地積規模の大きな宅地の評価 20-2 三大都市圏は500㎡以上、それ以外の地域は1,000㎡以上などの要件を満たす宅地について、規模格差補正率を適用します。不整形地補正とは別の規定で、要件を満たせば併せて検討します。
無道路地の評価 20-3 道路に接していない土地の評価。通路開設費用の控除という別の考え方で減額します。
間口狭小・奥行長大 20-4 本記事の第5章のとおり、付表5の(注)に従って併用します。
がけ地等を有する宅地 20-5 平坦部分に比べて著しく傾斜している部分がある宅地について、がけ地補正率を適用します。
セットバックを必要とする宅地/都市計画道路予定地 24-6/24-7 道路がらみの減額として、別途の割合による控除があります。
小規模宅地等の特例 租税特別措置法69条の4 通達ではなく法律上の特例です。評価額を出したあとに、その額から一定割合を減額します。順序としては最後です。
[評価と特例は、別の段階の話です]
不整形地補正などの通達による評価は「その土地の値段を決める作業」小規模宅地等の特例は「決まった値段から一定割合を引く作業」です。段階が違いますので、どちらか一方しか使えないということはありません。特例の適用がある土地でも、まず評価額を正しく下げておくことに意味があります(特例は限度面積があるため、超える部分には評価額がそのまま効いてきます)。

不整形地の評価でよくある7つの落とし穴

当センターへのご相談の中で見えてきた、不整形地の評価をめぐるよくある誤解と落とし穴を7つに整理いたしました。

  1. 路線価×面積で計算して、それで終わりにしてしまう 路線価は「標準的な宅地」の1㎡あたりの価額です。形・間口・奥行・接道の状況によって、通達は複数の補正を用意しています。掛け算一回で終わる土地のほうが、むしろ少数です。
  2. かげ地割合の分母を、評価対象地の地積にしてしまう 正しくは(想定整形地の地積-評価対象地の地積)÷想定整形地の地積です。分母を取り違えると、かげ地割合が実際より大きく出て、誤った補正率を使うことになります。
  3. 想定整形地を、道路と関係なく置いてしまう 想定整形地は正面路線に面する矩形または正方形で、評価対象地の全域を囲むものです。土地の長辺に合わせて斜めに置くといった作図は、通達の想定するところではありません。
  4. 間口狭小補正率を「掛け忘れる」または「二重に掛ける」 付表5の(注)により、不整形地補正率には間口狭小補正率を乗じます。一方で、そこで乗じたものを、さらに評価明細書の別の欄でもう一度掛けてしまう誤りも見かけます。乗じたあとの数値が、その土地の不整形地補正率です。
  5. 奥行長大補正率がある場合の「選択」を検討しない 奥行長大補正率の適用がある土地では、不整形地補正率を使わず「間口狭小補正率×奥行長大補正率」による方法も選べます。両方を計算して低いほうを採らないと、下げられるはずの評価額を下げ損ねます。
  6. 補正率の下限0.60を超えて下げてしまう 不整形地補正率に間口狭小補正率を乗じる場合、その最小値は付表5に定める0.60です。計算上0.60を下回っても、0.60でとどめます。
  7. 申告が済んだからと、見直しをあきらめてしまう 土地の評価の誤りに気づいた場合、更正の請求によって払いすぎた相続税の還付を受けられる可能性があります。ただし期限がありますので、心当たりがあれば早めに専門家にご相談ください。

この記事のまとめ

  • 路線価は、その道路に面する標準的な宅地の1㎡あたりの価額である。形がいびつな土地(不整形地)は、財産評価基本通達20により、不整形地補正率を乗じて減額して評価する。
  • 通達20は、通達15(奥行価格補正)から通達18(三方又は四方路線影響加算)までの定めにより計算した価額に、不整形地補正率を乗じて評価する組み立てになっている。なお、地積規模の大きな宅地(通達20-2)に該当する場合は、不整形地補正まで済ませた価額にさらに規模格差補正率を乗じるため、不整形地補正が常に最後の補正というわけではない。
  • 想定整形地とは、評価対象地の全域を囲む、正面路線に面する矩形または正方形の土地をいう。
  • かげ地割合=(想定整形地の地積-評価対象地の地積)÷想定整形地の地積。分母は想定整形地の地積である。
  • 不整形地補正率は、付表4「地積区分表」で地積区分(A・B・C)を確定し、付表5「不整形地補正率表」で「地区区分×地積区分×かげ地割合」の交点を引いて求める。
  • 普通住宅地区の地積区分は、A=500㎡未満、B=500㎡以上750㎡未満、C=750㎡以上。面積基準は地区区分ごとに異なる。
  • 付表5の不整形地補正率の最小値は0.60である。
  • 付表5の(注)により、間口狭小補正率の適用がある場合は、不整形地補正率に間口狭小補正率を乗じた数値を不整形地補正率とする。ただしその最小値は0.60。
  • 同じく付表5の(注)により、奥行長大補正率の適用がある場合は、選択により、不整形地補正率を適用せず「間口狭小補正率×奥行長大補正率」によって評価して差し支えない。両方を計算し、低いほうを採用するのが実務である。
  • 通達20は、不整形地の評価の基礎となる価額の求め方として、①区分した整形地による方法、②計算上の奥行距離(地積÷間口距離)による方法、③近似整形地による方法、④差引計算による近似整形地による方法の4つを認めている。
  • 不整形地補正は、地積規模の大きな宅地の評価(20-2)、無道路地の評価(20-3)、がけ地等(20-5)、セットバック(24-6)・都市計画道路予定地(24-7)などとは別の規定であり、要件を満たせばそれぞれ検討する。
  • 小規模宅地等の特例は、通達による評価額が出たあとに、その額から一定割合を減額する法律上の特例であり、評価の補正とは段階が異なる。
  • 不整形地補正は納税者が自ら適用するものであり、税務署から教えてもらえるものではない。適用漏れに気づいた場合は、更正の請求による還付の可能性がある(期限あり)。
  • 補正率の値、地積区分の面積基準、端数処理は、国税庁が公表する付表および評価明細書の記載要領に従う。通達は改正されることがあるため、申告時点の最新の内容を必ず確認する。

参考文献(一次情報)

※本記事は一般的な解説を目的としたものであり、個別の事情により取り扱いが異なる場合がございます。本記事に掲載した補正率の数値・地積区分の面積基準・端数処理は、記事執筆時点で国税庁が公表している付表等に基づく一部の抜粋です。実際の申告にあたっては、必ず国税庁の付表そのものと、その年分の路線価図・評価倍率表をご確認ください。財産評価基本通達および関係法令は改正される可能性があります。また、想定整形地の取り方、4つの計算方法のいずれによるか、他の減額規定との適用関係は、土地の個別事情によって判断が分かれ得るところです。本記事の内容は2026年8月時点の情報に基づいていますが、最新は国税庁等の一次情報でご確認のうえ、必ず税理士などの専門家にご相談ください。本記事の情報を利用したことによる損害等について、当センターは責任を負いかねます。

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