個人版事業承継税制とは――事業用の財産にかかる税を「いったん止める」制度

個人版事業承継税制は、正式には「個人の事業用資産についての贈与税・相続税の納税猶予及び免除」といいます。

贈与税 …… 租税特別措置法70条の6の8
相続税 …… 租税特別措置法70条の6の10
青色申告(正規の簿記の原則によるものに限る)に係る事業の用に供されていた
特定事業用資産に対応する税額の全額が納税猶予の対象とされています

「猶予」であって、その場の「免除」ではありません

ここが、この制度でいちばん誤解されるところです。

納税猶予は「税金が消える」制度ではありません

申告のときに税額が計算され、その納付が先送りされる。それが納税猶予です。後継者が亡くなったときなど、法律の定める免除事由に当たってはじめて、猶予されていた税額が免除されます。

逆に、事業をやめた、資産を事業に使わなくなった、青色申告の承認を取り消された、届出書を出し忘れた――といった事情が生じると、猶予が打ち切られ、猶予されていた税額に加えて利子税を納めることになります。

「使ったら終わり」ではなく、「使ったら始まる」制度だとお考えください。適用の可否と継続の管理は、必ず税理士にご確認ください。

法人版との違い

法人版事業承継税制個人版事業承継税制
対象になる財産非上場会社の株式等特定事業用資産(事業用の宅地・建物・一定の減価償却資産)
猶予の割合特例措置では、対象株式の全株について100%特定事業用資産に対応する税額の全額
計画の提出期限特例承継計画/2027年9月30日まで個人事業承継計画/2028年9月30日まで
贈与・相続の期限特例措置は2027年12月31日まで2028年12月31日まで

名前は似ていますが、対象も期限も別の制度です。会社にしておられるか、個人事業のままかで、進むべき道が分かれます。法人版については、当センターの記事「事業承継税制(法人版)とは」もあわせてご覧ください。

なぜ必要なのか――個人事業の資産は「売れないのに課税される」

個人事業の承継が難しい理由は、はっきりしています。

[ご相談で、実際にうかがったお話]
「父は町工場をやっておりました。工場の土地と建物、それに機械が数台。預金はほとんどありません。私が事業を継ぐつもりでおりますが、相続税の見積りを聞いて、青くなりました。土地を売れば払えますが、売ったら工場が続けられません」
――事業用資産は、売れば納税できるが、売れば事業が終わる。この板ばさみが、個人事業の承継のいちばんの壁です。

会社なら株、個人事業なら「土地・建物・機械」そのもの

会社であれば、事業用の財産は法人の名義で持っていますから、相続の対象になるのは株式です。株式は、事業を続けたまま後継者に渡すことができます。

ところが、個人事業では、工場の土地も、建物も、機械も、すべて事業主個人の名義です。事業主が亡くなれば、それらが一つひとつ相続財産として評価され、相続税の対象になります。「事業を続けるために手放せない財産に、そのまま課税される」――これが、個人版事業承継税制がつくられた理由です。

STEP 1事業用資産に
相続税がかかる
STEP 2納税資金がない
STEP 3資産を売れば
事業が続けられない
STEP 4廃業してしまう

この流れを断ち切るために、「事業を続けているあいだは、税の納付を止めておく」という考え方が採られました。それが納税猶予です。

対象になる「特定事業用資産」――宅地400㎡・建物800㎡・減価償却資産

納税猶予の対象になるのは、特定事業用資産と呼ばれるものにかぎられます。

区分内容と上限
宅地等事業の用に供されていた土地または土地の上に存する権利で、面積400㎡までの部分
建物事業の用に供されていた建物で、床面積800㎡までの部分
その他の減価償却資産機械・器具備品、車両・運搬具、生物、無形固定資産(特許権など)といった、一定の減価償却資産

「青色申告書の貸借対照表に計上されていること」が前提です

単に事業に使っていればよい、というものではありません。贈与または相続の日の属する年の前年分の事業所得に係る青色申告書の貸借対照表に計上されているものであることが求められます。

つまり、帳簿に載っていない資産は、対象になりません。ここは、生前の準備でいちばん差が出るところです。ご自分の資産が対象になるかどうかは、必ず税理士にご確認ください。

不動産貸付業等は対象外です

中小企業庁は、対象となる事業を「青色申告(正規の簿記の原則によるものに限る)に係る事業(不動産貸付業等を除く)」と説明しています。

[ご注意]
アパート経営、駐車場業などの不動産貸付業は、この制度の対象になりません。「事業用の土地だから使えるはず」とお考えになる方が多いのですが、貸付けを内容とする事業は除かれています。この点は、必ず税理士にご確認ください。

期限は二段構え――計画は2028年9月30日、贈与・相続は2028年12月31日まで

この制度は、期限が二つあるところが分かりにくい点です。しかも、その二つは別々の役所に向けたものです。

何の期限かいつまでかどこへ
個人事業承継計画の提出・確認2028年(令和10年)9月30日まで先代事業者の主たる事務所の所在地を管轄する都道府県庁
贈与・相続等が行われること2028年(令和10年)12月31日まで―(実際の承継の期限)

計画の期限は、令和8年度税制改正で延長されました

個人事業承継計画の提出期限は、当初は令和6年3月31日まででした。その後、令和6年度税制改正で令和8年(2026年)3月31日までとされ、さらに令和8年度税制改正により2年6か月延長され、令和10年(2028年)9月30日までとなっています。

個人事業承継計画の提出期限
2028年(令和10年)9月30日
令和8年度税制改正により、2026年3月31日から2年6か月延長されました
※期限は改正により変わり得ます。最新の期限は必ず中小企業庁のホームページでご確認ください

「計画を出せば必ず使える」という制度ではありません

個人事業承継計画は、この制度を使うための入口の手続きです。計画を提出しておけば、その後に贈与や相続が起きたときに、認定の申請ができるようになります。

しかし、計画を出したからといって、必ず納税猶予が受けられるわけではありません。先代事業者・後継者の要件、資産の要件、青色申告の要件、期限内の申請と申告――そのすべてを満たしてはじめて適用されます。

そして、計画を出していなければ、そもそも申請すらできません。「まだ先の話だから」と後回しになさっているうちに期限が来てしまう、という例が、法人版でも数多くありました。個人事業を営んでいらっしゃるなら、いま一度ご検討ください。

同一生計親族等からの承継には、さらに期間の制限があります

先代事業者と生計を一にする親族などからの贈与・相続等については、原則として、先代事業者からの贈与・相続等の日から1年を経過する日までに行われたものに限るという取扱いが定められています。ご夫婦で共有なさっている事業用資産などがある場合は、順序と時期が重要になります。必ず税理士にご相談ください。

適用の要件――先代事業者と後継者、そして「正規の簿記による青色申告」

要件は、先代事業者と後継者の両方に置かれています。以下は骨格であり、実際の適用にあたっては細かな要件があります。

[「正規の簿記の原則による青色申告」とは]
青色申告であればどれでもよい、というものではありません。複式簿記による記帳に基づく青色申告であることが求められます。簡易な記帳による青色申告では要件を満たさないことになりますので、いま現在の記帳の方法が、この要件を満たしているかどうかを、まず税理士にご確認ください。これは、今日から準備を始められることの一つです。

手続きの流れ――計画の確認、知事の認定、申告と担保、3年ごとの継続届出

手続きは、都道府県庁と税務署の二か所に向かって進みます。ここを取り違えると期限を落とします。

相続の場合、いちばん危ないのは「8か月」です

相続税の申告期限は10か月です。多くの方が、この10か月を目安に動かれます。

ところが、この制度で必要な都道府県知事への認定申請は、相続開始の日の翌日から8か月以内。申告期限より2か月早いのです。

「相続税の相談に来られたのが9か月目だった」――それだけで、この制度は使えなくなります。事業を営んでいらした方が亡くなられたときは、できるだけ早く税理士にご相談ください。

免除される場合と、打ち切られる場合

主な事由
猶予税額が
免除される主な場合
後継者が死亡した場合/一定の障害の事由により事業を継続できなくなった場合/一定期間の事業継続の後に、法令の定める要件を満たして事業用資産を譲渡した場合など。事由ごとに、範囲も申請の期限も異なります。
猶予が
打ち切られる主な場合
特定事業用資産を事業の用に供しなくなった場合/事業を廃止した場合/資産を譲渡・贈与した場合/青色申告の承認が取り消された、または青色申告をやめた場合/継続届出書を期限内に提出しなかった場合/担保に関する要件を満たさなくなった場合など。

打ち切られると、猶予されていた税額の全部または一部に加えて、利子税を納付することになります。「あのとき猶予にしなければよかった」ということにならないよう、継続の管理までを含めて、必ず税理士にご相談ください。

小規模宅地等の特例との関係――特定事業用宅地等を使う人がいると使えません

ここは、この制度でもっとも重要な判断の分かれ目です。

「同じ土地に重ねて使えない」だけではありません

国税庁の説明では、特定事業用宅地等について小規模宅地等の特例の適用を受ける者がある場合には、この特例(個人版事業承継税制)の適用を受けることはできないとされています。

文言は「同じ宅地について適用を受ける場合」ではなく、「適用を受ける者がある場合」です。つまり、その相続で、相続人等のうちどなたか一人でも特定事業用宅地等の特例を使えば、後継者は個人版事業承継税制を使えないということになります。

相続人全体で、どちらを選ぶかを決めなければならない――これが、この制度の設計です。

小規模宅地等の特例の区分個人版事業承継税制への影響
特定事業用宅地等適用を受ける者がある場合には、納税猶予の適用を受けることはできません。
特定同族会社事業用宅地等納税猶予の対象にできる宅地等の限度面積が調整されます。
貸付事業用宅地等その面積等を考慮して、納税猶予の対象にできる宅地等の限度面積が調整されます。
特定居住用宅地等適用の制限はありません。

どちらが有利かは、一概には言えません

小規模宅地等の特例(特定事業用宅地等)は、400㎡までの部分について評価額を80%減額する制度です。その場で税額が確定し、その後の管理がいりません。

これに対して、個人版事業承継税制は、対応する税額の全額を猶予しますが、事業を続けているあいだ、届出と要件の維持がずっと続きます。建物や機械も対象になるという利点がある一方、途中で打ち切られる可能性を抱えることになります。

[判断のときに考えていただきたいこと]
・後継者は、本当に長く事業を続けられるか。後継者の年齢、健康、後継者のさらに次の世代。
・対象になる資産は、宅地だけか、建物や機械もあるか。宅地だけなら小規模宅地等の特例で足りることもあります。
・ほかの相続人が、居住用の宅地について特例を使いたいか。特定居住用宅地等であれば制限はありません。
・3年ごとの届出を、確実に続けられる体制があるか。
どちらが有利かの判定は、必ず税理士にご確認ください。選択を誤ると、後から取り返しがつかないことがあります。
ご相談事例
※以下は、実際のご相談を参考に構成した架空の事例です。特定の個人・団体とは関係ありません。

「工場は継げますが、税金が払えません」――Sさまのご相談

Sさま(40代・男性)は、お父さまが営んでこられた金属加工の町工場を継ぐことになり、ご相談にお越しになりました。お父さまはご健在で、70代でいらっしゃいます。

ご相談の入口は、「父の工場を継ぎたいのですが、土地と建物と機械を合わせると、相続税がかなりの額になると聞きました。父には預金がほとんどありません」というお話でした。

私はまず、「お父さまは、青色申告をなさっていますか」とお尋ねしました。Sさまは、「はい、しております」とお答えになりました。

私は、「その青色申告は、複式簿記による記帳でなさっていますか。それとも、簡易なほうでしょうか」と重ねてお尋ねしました。Sさまは、少し戸惑われて、「そこまでは、わかりません。税理士さんにお願いしております」とおっしゃいました。

私は、「そこが、いちばん最初に確かめるべきところなのです」と申し上げました。「個人版事業承継税制という制度がございまして、事業用の土地・建物・機械にかかる相続税の納付を猶予するしくみがあります。ただ、その入口の要件が、正規の簿記の原則による青色申告なのです」と。

Sさまは、「それは、いつまでに何をすればよいのですか」とお尋ねになりました。

私は、「二つの期限がございます」とご説明しました。「一つは、都道府県に個人事業承継計画を出す期限。これは2028年9月30日までです。もう一つは、実際に贈与や相続が行われる期限で、2028年12月31日まで。この二つは、別の話です」と。

Sさまは、「父はまだ元気ですから、相続はずっと先だと思います。それでも、いま計画を出しておくのですか」とおっしゃいました。

私は、「そこが、この制度のいちばんの落とし穴です」と申し上げました。「計画を出していなければ、いざというときに申請ができません。出しておいて使わなかったとしても、それで困ることはありません。逆は、取り返しがつかないのです」と。

そのうえで、私はもう一つ申し上げました。「あわせて、小規模宅地等の特例との比較も必要です。特定事業用宅地等の特例を使う方がいらっしゃると、この納税猶予は使えなくなります。ご兄弟がいらっしゃるなら、そこも含めて、税理士に試算していただいてください」と。

Sさまは、深くうなずかれました。そして、「父が元気なうちに相談してよかったです」とおっしゃいました。

この制度は、相続が起きてから慌てて調べる方が、いちばん多い制度です。けれども、いちばん効くのは、その前です。

― 私たちから一言 ―

「制度があること」より、「入口が閉まっていないこと」が大事です

個人版事業承継税制のご相談で、私どもがいちばん多く申し上げているのは、「まず、入口が開いているかを確かめましょう」ということです。

この制度には、先に済ませておかないと、あとから絶対に取り返せない手続きが三つあります。

一つめは、正規の簿記の原則による青色申告。これは、今日から変えられます。けれども、亡くなってからでは変えられません。

二つめは、個人事業承継計画の提出。2028年9月30日までという期限があります。出しておいて使わなくても、何も困りません。出していなければ、申請の資格そのものがありません。

三つめは、相続開始から8か月という認定申請の期限です。相続税の申告期限は10か月ですから、多くの方が10か月を目安に動かれます。その2か月の差で、この制度を逃してしまう。私どもが、いちばん残念に思う場面です。

もう一つ、正直に申し上げておきたいことがあります。この制度は、誰にでもおすすめできるものではありません。

納税猶予は、事業を続けているかぎり続く義務でもあります。3年ごとの届出、資産を事業に使い続けること、青色申告を続けること。後継者のさらに次の世代まで見通せないご事情であれば、小規模宅地等の特例で確定させてしまうほうが、心穏やかに過ごせる場合もあります。

大事なのは、選べる状態にしておくこと。入口さえ開けておけば、あとから選べます。閉まってしまえば、選ぶことすらできません。個人事業を営んでいらっしゃるなら、どうか一度、税理士とご一緒にご検討ください。

一般社団法人相続なんでも相談センター 代表理事 宮野 宏樹

個人版事業承継税制でよくある7つの落とし穴

  1. 「猶予」を「免除」だと思ってしまう 納税猶予は、税額の納付が先送りされる制度です。後継者の死亡など、法律の定める免除事由に当たってはじめて免除されます。事業の廃止、資産を事業の用に供しなくなったこと、青色申告の承認の取消し、継続届出書の未提出などがあると、猶予税額に加えて利子税を納めることになります。
  2. 個人事業承継計画を出さないまま、期限が来る 計画を提出していなければ、そもそも認定の申請ができません。提出期限は2028年(令和10年)9月30日までとされています(令和8年度税制改正により2年6か月延長されたものです)。出しておいて使わなくても不利益はありません。期限は改正により変わり得ますので、最新の期限は必ず中小企業庁のホームページでご確認ください。
  3. 相続税の申告期限(10か月)だけを見ていて、認定申請(8か月)を落とす 都道府県知事への認定申請は、原則として相続開始の日の翌日から8か月以内です。申告期限より2か月早く来ます。事業を営んでいらした方が亡くなられたときは、できるだけ早く税理士にご相談ください。
  4. 簡易な記帳の青色申告で、要件を満たしていると思い込む 対象となる事業は「青色申告(正規の簿記の原則によるものに限る)に係る事業」とされています。青色申告をしていれば足りる、というものではありません。いまの記帳の方法が要件を満たしているかどうか、まず税理士にご確認ください。
  5. 不動産貸付業でも使えると考える 不動産貸付業等は、この制度の対象から除かれています。アパート経営や駐車場業は、事業用の土地を使っていても対象になりません。ご自分の事業が対象になるかどうかは、必ず税理士にご確認ください。
  6. 小規模宅地等の特例と「同じ土地でなければ両方使える」と考える 特定事業用宅地等について小規模宅地等の特例の適用を受ける者がある場合には、個人版事業承継税制の適用を受けることはできないとされています。同じ土地かどうかではなく、その相続で「適用を受ける者がいるかどうか」が問われます。特定同族会社事業用宅地等・貸付事業用宅地等については限度面積の調整、特定居住用宅地等については制限がないとされています。選択の有利不利は、必ず税理士に試算していただいてください。
  7. 帳簿に載っていない資産まで対象になると思い込む 特定事業用資産は、贈与または相続の日の属する年の前年分の青色申告書の貸借対照表に計上されているものであることが求められます。宅地は400㎡まで、建物は床面積800㎡までという上限もあります。「事業で使っているから対象になるはず」という思い込みは、危険です。

この記事のまとめ

  • 個人版事業承継税制は、青色申告(正規の簿記の原則によるものに限る)に係る事業の用に供されていた特定事業用資産を後継者が取得した場合に、これに対応する贈与税・相続税の全額の納税を猶予し、一定の場合に免除する制度です。
  • 根拠は租税特別措置法70条の6の8(贈与税)および租税特別措置法70条の6の10(相続税)です。
  • 対象となる贈与・相続等は、2019年(平成31年)1月1日から2028年(令和10年)12月31日までに行われたものとされています。
  • 個人事業承継計画は、先代事業者の主たる事務所の所在地を管轄する都道府県庁へ提出し、確認を受けます。提出期限は2028年(令和10年)9月30日まで(令和8年度税制改正により、2026年3月31日から2年6か月延長されたものです)。
  • 特定事業用資産は、宅地等は400㎡まで、建物は床面積800㎡まで、そのほか機械・器具備品、車両・運搬具、生物、無形固定資産などの一定の減価償却資産で、贈与・相続の日の属する年の前年分の青色申告書の貸借対照表に計上されているものが対象とされています。
  • 不動産貸付業等は対象から除かれています。
  • 相続の場合の都道府県知事への認定申請は、原則として相続開始の日の翌日から8か月以内です。相続税の申告期限(10か月)より早く来ます。
  • 税務署へは、申告期限までに納税猶予の適用を受ける旨を記載した申告書等を提出し、猶予される税額および利子税の額に相当する担保を提供します。
  • 猶予を続けるためには、3年ごとに継続届出書を所轄税務署長に提出します。国税庁の取扱いでは、申告期限の翌日から3年を経過するごとの日を基準日とし、その翌日から3か月以内とされています。
  • 特定事業用宅地等について小規模宅地等の特例の適用を受ける者がある場合には、この納税猶予の適用を受けることはできないとされています。特定居住用宅地等については適用の制限はなく、特定同族会社事業用宅地等・貸付事業用宅地等については限度面積が調整されます。
  • 猶予税額が免除される主な場合は、後継者の死亡、一定の障害の事由、一定期間の事業継続後の要件を満たした譲渡などです。事由ごとに範囲も申請期限も異なります。
  • 猶予が打ち切られる主な場合は、事業の廃止、資産を事業の用に供しなくなったこと、資産の譲渡・贈与、青色申告の承認の取消し、継続届出書の未提出などで、猶予税額に加えて利子税を納付することになります。
  • 適用の可否、小規模宅地等の特例との選択、継続の管理は、必ず税理士にご確認ください。認定の手続きは都道府県庁、申告は税務署と、窓口も期限も別です。
  • 制度の内容と期限は税制改正により変わり得ます。最新の情報は国税庁および中小企業庁のホームページ、最新の法令はe-Gov法令検索でご確認ください。

参考文献(一次情報)

※本記事は一般的な解説を目的としたものであり、個別の事情により取り扱いが異なる場合がございます。本記事は税務上または法律上の助言を提供するものではなく、特定の方が個人版事業承継税制の適用を受けられること、猶予税額が最終的に免除されること、特定の税額となることを保証するものではありません。納税猶予の適用の可否、特定事業用資産の範囲、限度面積の判定、小規模宅地等の特例との選択の有利不利、免除事由・打切り事由への該当は、事業の内容・記帳の方法・資産の帳簿計上の状況・相続人等の構成・各種期限の遵守など、個別の事実関係によって結論が変わり得る事項です。とくに、個人事業承継計画の提出期限、認定申請の期限、継続届出書の提出期限は、いずれも徒過すると回復できない性質のものです。本文中の説明は、制度の骨格をご理解いただくために単純化したものであり、要件のすべてを網羅したものではありません。記載した法令名・条項・期限・数値は執筆時点で確認したものですが、法令・通達・実務の取り扱いは税制改正により変更される可能性があります。条文の号の番号は法改正により繰り上がり・繰り下がりが生じることがあります。本記事の内容は2026年9月時点の情報に基づいていますが、実際にご検討される際は、必ずe-Gov法令検索、国税庁、中小企業庁などの一次情報で最新の内容をご確認のうえ、課税関係については必ず税理士に、契約や法律関係については必ず弁護士に、登記については必ず司法書士にご確認ください。本記事の情報を利用したことによる損害等について、当センターは責任を負いかねます。

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